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研究で取り上げられた亜鉛による13の効果

著者:リー・シェルギェヴィッチ博士、自然療法医

この記事の内容:


‌‌‌‌亜鉛とは?

亜鉛は、人体の多様な生物学的プロセスに不可欠な抗炎症性・抗酸化性栄養素です。亜鉛が免疫系サポートに良いことは比較的よく知られていますが、実は他にも、リプロダクティブ・ヘルス(性と生殖に関する健康)を筆頭に、乳幼児の正常な成長・発育、骨の健康、視力、聴力、消化器系の健康、皮膚、発毛にも非常に重要な役割を果たします。

‌‌‌‌亜鉛が不足するとどうなるのでしょう。

亜鉛が欠乏すると、子供の成長遅延をはじめ、食欲不振、脱毛、体重減少、下痢、ブレインフォグ(脳霧)、うつ病、不妊症(男女ともに)、ホルモンバランスの乱れ、震え、傷が治りにくい、免疫力低下、味覚障害など、さまざまな非特異的症状につながるおそれがあります。

特に亜鉛欠乏症のリスクが高いと考えられるのは、カロリー摂取量が少ない方や、特定の消化器疾患患者、消化管の手術歴がある方、肝疾患、腎疾患、特定の血液疾患の既往歴がある方、アルコール依存症患者、菜食を実践するベジタリアンなどです。また、高齢者にとっては適切な亜鉛吸収が困難な場合が多いものです。

亜鉛は体内で貯蔵できないため、摂取量が不足するとあっという間に欠乏症になりやすくなります。重度の亜鉛欠乏症は稀ですが、軽度から中等度の欠乏症は比較的よく見られます。亜鉛は銅と生化学的に連携作用するため、長期間にわたって亜鉛を過剰摂取すると銅欠乏症になることがあります。亜鉛と銅のサプリメントの併用摂取が推奨されるのはそのためです。特に亜鉛の摂取量が多い方にお勧めします。

‌‌‌‌亜鉛を多く含む食物

亜鉛は食物から摂取する必要がありますが、亜鉛供給源の中でも圧倒的な含有量を誇るのが牡蠣です。とはいえ、亜鉛のほとんどを赤身肉や鶏肉から摂る人が大半です。亜鉛は穀類、ナッツ類種子類豆類にも含まれていますが、これらの食物は、亜鉛と結合して吸収を妨げるフィチン酸が豊富なためバイオアベイラビリティ(生物学的利用能)が低いのが難点です。そこで、ベジタリアンの方にお勧めしたいのが、調理前に穀類や豆類を数時間水に浸しておくことです。こうすることで、フィチン酸の結合を抑えて亜鉛のバイオアベイラビリティ向上を図ることができます。なお、成人の亜鉛必要摂取量は食事で1日8~11mg、妊娠中・授乳中の方は12mgが目安です。

‌‌‌‌亜鉛は免疫系に効果があるのでしょうか。

2012年に行われたシステマティックレビューとメタアナリシスでは、亜鉛補給と風邪予防に関する研究が評価されました。計2121人が参加した17件の試験では、亜鉛サプリメントで成人の風邪の罹患期間が短縮されたものの、子供には同様の効果が見られませんでした。このレビューの質は中程度とされ、同研究者らはこの主題についてのさらなる研究を提案しています。

‌‌亜鉛は髪の健康に効果があるのでしょうか。

脱毛を伴う疾患の多くは、亜鉛欠乏症と関連するものか、少なくとも亜鉛欠乏によって悪化すると考えられます。あるレビュー論文では、微量栄養素欠乏症と男性型脱毛症(AGA)、円形脱毛症(AA)、休止期脱毛症(TE)などの毛髪疾患との間に相関関係があることを示した多くの研究が引用されています。

非常に高用量の亜鉛が使用された研究でプラス効果が見られなかったことからもわかる通り、重要なのは適切な摂取量です。甲状腺疾患を原因とする脱毛も多いものですが、亜鉛を補給することで改善が期待できます。

‌‌‌‌亜鉛はニキビに効果があるのでしょうか。

亜鉛は、ニキビ関連のバクテリアであるアクネ菌(Propionibacterium acnes)の増殖を遅らせることが示されています。これにより、皮膚疾患を引き起こそうとバクテリアが利用する炎症マーカーが低下します。亜鉛が亜鉛欠乏症患者のニキビを改善することは複数の研究で示されています。

また、2019年の研究では、乾癬(かんせん)患者は血中亜鉛濃度が低く、銅濃度が比較的高い傾向にあり、この不均衡を是正することで皮膚疾患の症状改善に役立つ可能性があることがわかりました。アトピー性皮膚炎(湿疹)と亜鉛の濃度を評価した研究を対象として2019年に行われたシステマティックレビューとメタアナリシスでは、相反する結果が出ています。つまり、効果が認められたケースもあれば、その逆もありました。

そのため、皮膚の健康に関連するさまざまなニーズに応じて、効果度が異なる亜鉛サプリメントの形があることにも注意が必要です。

亜鉛濃度は男性の生殖能力に影響を与えるのでしょうか。

‌‌あるシステマティックレビューとメタアナリシスでは、不妊症男性は精液中の亜鉛濃度が有意に低いことが判明しました。そして、亜鉛を補給することで、正常な精子形態、精液量、精子の運動性が大幅に向上することがわかりました。男性の適切な亜鉛濃度は、健康な受胎に重要な要素であると考えられます。

‌‌‌‌亜鉛が妊娠中の女性および乳幼児に欠かせない理由とは?

亜鉛は、DNA、タンパク質合成、細胞分裂に関与しているため、胎児の発育に極めて重要です。妊娠中の亜鉛濃度が低いと、流産、胎児の発育不良、早産につながるとされています。あるシステマティックレビューでは、亜鉛補給で早産のリスクが有意に低下したことが示された研究に言及しています。ただし、この結果は、早産の原因となり得る母体の感染症リスクを下げることと関係している可能性があります。

‌‌亜鉛は腸に良いのでしょうか。

食事性亜鉛の吸収には適切な胃腸機能が鍵となります。亜鉛欠乏症は、クローン病、潰瘍性大腸炎、セリアック病、消化性潰瘍、下痢といった重篤な慢性消化器疾患に多いと思われます。亜鉛が不足すると消化器感染症にかかりやすくなる可能性があるため、亜鉛欠乏が疾患の原因となるのか、逆に疾患が欠乏を引き起こしたのかを判断するのは困難な場合があります。

世界保健機関(WHO)は、感染症のリスクが高い子供に亜鉛補給を推奨しています。亜鉛サプリメントを摂取すると、小児下痢症の重症度、頻度、持続期間が減少することが示されています。

‌‌亜鉛は糖尿病に有効なのでしょうか。

糖尿病患者は、1型・2型ともに亜鉛が不足しがちで、亜鉛を補給することで症状が改善することがあります。抗酸化物質は血糖コントロールの改善を後押しすることで知られていますが、2015年の研究論文では、1日30mgの亜鉛を3~6ヶ月間補給すると、糖尿病患者の酸化ストレスマーカーが有意に減少することが報告されています。

‌‌亜鉛欠乏は甲状腺機能に影響を及ぼすのでしょうか。

亜鉛が不足すると甲状腺機能異常のリスクが高まるおそれがあります。甲状腺は、亜鉛を正常に利用する上で一翼を担う器官です。亜鉛は、甲状腺ホルモンを体内で有用な活性型に変換するという中心的役割を果たすことで、限られた貯蔵量の亜鉛をより迅速に利用できることが複数の研究でわかっています。正常な甲状腺機能の維持には、最適濃度の亜鉛が肝心です。

‌‌亜鉛はうつ病に役立つのでしょうか。

2013年に大うつ病性障害患者を対象に行われた研究では、抗うつ薬+プラセボ服用群と抗うつ薬+亜鉛(25mg)服用群が比較されました。結果として、6週間と12週間経過後、いずれも亜鉛サプリメント摂取群にプラセボ群より有意な改善が見られました。

‌‌‌‌亜鉛は聴覚に効果があるのでしょうか。

2011年の研究では、原因不明の突発性難聴に亜鉛の効果が期待できることがわかりました。この研究では、66人の参加者が各33人の2群に分けられました。そのうちの1群は副腎皮質ステロイドの単独治療を受け、もう1群には副腎皮質ステロイドと亜鉛サプリメントが投与されました。被験者らは治療前後に血中亜鉛濃度が測定されました。その結果、亜鉛濃度の上昇と聴力の回復・改善率の高さが密接に相関していることがわかりました。

‌‌‌‌亜鉛は視力にも重要でしょうか。

亜鉛は眼中に存在し、最適な眼機能を維持する上で重大な役割を果たしています。ただし、健康な視力を目的とする亜鉛補給には矛盾する結果が出ています。眼障害への亜鉛の効果に関する研究には亜鉛以外の栄養素も含まれていることが多いため、効果を発揮しているのが単一物質か複数の物質かを判断することが困難です。

‌‌亜鉛は骨の健康に良いのでしょうか。

血液疾患の一つであるサラセミア・メジャー(重症型サラセミア)の患者を対象とした研究では、亜鉛を1日25mg摂取すると、18ヶ月後には骨ミネラル量が大幅に改善されたという結果が出ています。同研究者らは、他の集団でも同様の効果があるかどうかを見極めるための亜鉛補給に関する研究の実施を奨励しています。

‌‌亜鉛は味覚変化に役立つでしょうか。

2013年のランダム化プラセボ対照試験では、頭頸部がんの放射線治療を受けている患者を対象とする亜鉛補給に関する研究が行われました。結論として、硫酸亜鉛50mgを1日3回摂取した参加者は、放射線治療による味覚喪失を大幅に予防することができました。

結論

亜鉛の血液検査は必ずしも信頼できるとは限らないため、亜鉛補給が自分に適しているかどうかについて、まずかかりつけ医に相談することが大切です。医師が亜鉛補給を勧める理由として、吸収不良性の消化器疾患診断、免疫不全、亜鉛欠乏を伴う他の疾患の存在、亜鉛欠乏症を引き起こす可能性のある処方薬の使用などが挙げられます。爪に白い斑点があるなら、亜鉛欠乏症の兆候かもしれません。

肝心なのは適量を摂取することです。過剰に摂取すると有害な症状を引き起こすおそれがあり、摂取量が不十分だと効果が得られません。亜鉛サプリメントは、単独で摂取すると消化不良を引き起こしやすいため、常に食事と共に摂取することをお勧めします。なお、栄養を十分に確保するには、肉、野菜、果物、穀物などバラエティに富んだ新鮮な自然食品を中心に、健康的な食生活を送ることが何より大切と言えるでしょう。

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