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NACとグルタチオンが免疫系やその他の健康にとって重要である理由

著者:エリック・マドリッド医学博士

この記事の内容 :


N-アセチルシステイン (NAC、N-アセチル-L-システインとも) は、天然アミノ酸由来の強力な 抗酸化物質 です。NACは通常、パラセタモール(アセトアミノフェン、商品名タイレノール)の過剰摂取治療に使用される成分ですが、NACとその前駆体 グルタチオン 、またはそのいずれかのサプリメント摂取で、他にも健康効果が期待できるようです。研究者らが注目する特殊分野は、免疫系に対するNACによる効果です。 

NACを摂取した体は、安定性の高いNACを、比較的安定性の低いグルタチオンに変換します。この構成成分は、3種類の アミノ酸であるグリシン、 システイン、 グルタミン酸です。グルタチオンは、人間をはじめ、動植物や菌類に自然に存在し、酸化ダメージからの細胞保護を助けます。さらにグルタチオンは、体が ビタミンE と Cを、いわばリサイクルするよう促進します。特に高齢者において、血中グルタチオン濃度が高いほど疾患リスクが低い可能性があることが研究で示されています。 

以下のような硫黄を豊富に含む食物を摂ることで、最適な血中グルタチオン濃度の維持を図れるでしょう。それでも十分でない場合は、サプリメント摂取をお勧めします。 

硫黄の多い野菜と果物:

  • アボカド
  • ブロッコリー
  • キャベツ
  • カリフラワー
  • ニンニク
  • グレープフルーツ
  • ケール
  • タマネギ
  • トマト

鶏肉、七面鳥、ヨーグルト、チーズ、卵、 ヒマワリの種、豆類といったシステイン豊富な食物も、グルタチオンの血中濃度を高めるのに有用でしょう。 NAC は通常、グルタチオン濃度上昇に役立てる目的で摂取されるサプリメントです。中には、さらに グルタチオン サプリメントをプラスして備える人もいます。 

NAC /グルタチオンには、以下の働きがあると考えられています。

免疫系と感染症

ウイルス、細菌、真菌など、私達の日常生活を脅かす危険な病原体を撃退するには、健康な免疫系が必要です。自然免疫と適応免疫に左右される免疫の健康は、運動・睡眠習慣から食生活やストレス管理に至るまで、さまざまなライフスタイルの要因に影響されるものです。 

また、 グルタチオン には、強い免疫力の維持に重要な役割を果たす可能性があるというエビデンスもあります。肝臓内で自然に生成されるグルタチオンは、白血球すなわちリンパ球が、感染・疾患予防に向けて態勢を備えておくよう補助するのに不可欠であることが研究で示されています。 

2011年の研究では、血中グルタチオン濃度が低いと、以下の疾患を引き起こしやすいことが示されました。

  • 急性肺損傷/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)
  • 慢性気管支炎
  • 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
  • 嚢胞性線維症
  • 特発性肺線維症(IPF)
  • 多様な細菌・ウイルス感染 

硫黄とシステイン豊富な食物を取り入れた食事は、体内のグルタチオンを高めるのに効果的と考えられます。食事だけで グルタチオン 濃度が十分に上がらない場合は、サプリメントを摂ると良いでしょう。 

呼吸器の健康

肺気腫や慢性気管支炎を含む慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、概して喫煙を原因とする一般的な呼吸器疾患です。この炎症性肺疾患患者の呼吸緩和の補助に役立つ医薬品はあるものの、なるべく自然な方法での緩和を望む人は少なくありません。 

最も使用者の多いNACのようなサプリメントに加えて、処方薬を併用するケースが多いようです。 NAC は経口サプリメントとして摂取できますが、調剤薬局で経口液剤を調合してもらい、ネブライザー(喘息の患者が薬剤を経口吸入するための器具)で使用することもできます。

2012年の研究では、脆弱な患者の肺に形成された過剰な粘液を分解するのに、NACが一役買う見込みがあることが示され、Chest誌の2013年の研究では、COPD患者の肺における効果も示されました。Respiratory Medicine誌に発表された2016年の研究では、「NACは抗菌性に優れ、バイオフィルム(固体や液体の表面に付着した微生物が形成する生物膜 )形成を妨害して分裂させる能力がある」と結論付けられています。ただし、同研究者らは、さらなる研究が必要だと述べています。 

2014年の研究では、NACがCOPD悪化を軽減し、抹消気道の機能改善に役立つエビデンスについて考察しています。Expert Review of Respiratory Medicine誌の2016年の研究では、COPD患者にNACを1日1200mg以上投与すると、急性増悪(風邪のような身近な感染症などがきっかけで、間質性肺炎が急激に悪化すること)の予防が期待できるという結論に至っています。これは、慢性肺疾患患者の多くが、急性発作中に入院することになるため、大変重要なことです。さらに、慢性気管支炎患者の安定補助には、1日600mgのNACで十分であったことも記録されています。 

ただし、2015年の研究と、2018年に行われた別の研究では、肺疾患患者へのNACの有意な効果は、経口・吸入いずれにも見られませんでした。なお、有害性は報告されていないため、これから始めようと思う方にNACは安全と言えるでしょう。試してみて、効果を感じたら続けると良いかもしれません。何もメリットがないようなら、摂取を中止しましょう。 

肝臓の健康

体の主要な血液フィルターである肝臓は、危険なおそれがある化学物質(農薬、アルコール、薬物など)を血液から除去する役割を果たします。 NAC は、特にアセトアミノフェン(パラセタモール)やアルコールなどの環境化学物質の毒素から肝臓を保護するのに役立ちます。また、体が グルタチオンの細胞内濃度を高めるよう、NACが後押しすることで、肝臓が化学物質を解毒できるようになります。

慢性疼痛(ずきずきする痛み)にアセトアミノフェン(パラセタモール、商品名タイレノール)を服用する習慣がある方は、頻用により肝臓が余分なストレスを受け、グルタチオン濃度が下がる可能性があることに注意が必要です。肝臓ストレスを最小限に抑えるには、NAC(N-アセチルシステイン)のサプリメント摂取をお勧めします。

心臓の健康

心疾患は、アメリカ、ヨーロッパ、アジアの主要な死因です。残念ながら、先祖代々の食事に代わって欧米のライフスタイルを取り入れる国が増えるにつれて、心疾患が増え続ける一方です。心臓血管疾患による死亡者は、米国だけでも毎年100万人近くにのぼります。心臓発作と、その結果生じる心臓障害は、心疾患が原因です。 

糖尿病や高血糖も心臓に悪影響を及ぼし、心臓発作のリスクを高めます。ラットを用いた2016年の研究では、NACを投与された個体は、心臓組織への「糖質誘発性損傷」が最小限に抑えられたことがわかりました。つまり、NACで糖尿病患者の心臓保護が期待できるというわけです。 

ラットを使った2018年の研究では、心臓への酸素流欠乏による損傷軽減にNACが役立つことが示されました。同年に行われた別の研究では、心臓発作から心臓組織を保護するNACの効果が示されました。 

2018年のヒト研究では、心臓肥大のうち、特に肥大型心筋症(HCM)と呼ばれる疾患の患者が評価されました。二重盲検ランダム化性別一致プラセボ対照試験では、患者にプラセボ錠剤またはNACが1日2400mg投与されました。計12カ月続いた同研究では、患者29人がNACを摂取し、13人がプラセボ群に割り当てられました。その結果、若干の改善が見られたものの、限られた患者数の研究であるため、確固たる結論には至りませんでした。 

2019年の研究では、 NAC が、抗がん化学療法薬の副作用からラットの心臓を保護するのに役立つ可能性があることが示されました。重要事項:がん治療中の方は、あらゆるサプリメントを摂取する前に必ず主治医にご相談ください。 

メンタルヘルス

不安、うつ病、統合失調症といった精神障害は、患者自身はもちろん、家族や地域社会も困難を伴うものです。最適なメンタルヘルスとウェルビーイングの確保には適切な食事と運動が不可欠であり、化学的不均衡の治療補助には、医師による薬剤処方が一般的です。これらの処方薬は概ね有効ではあるものの、副作用への懸念から、医師が推奨する薬剤を服用しない人が少なくありません。自然療法が求められる中、NACが広く使用されています。そして、その効果が期待できると思われます。

2018年の研究では、NACが双極性障害のうつ状態の治療に有用である可能性が示され、2016年の研究では、通常の統合失調症治療薬と併せてNACを摂取すると効果が期待できることが示唆されています。 

別の2018年の研究でも、統合失調症の患者が評価されました。この研究は、12週間の二重盲検ランダム化プラセボ対照臨床試験でした。同研究の目的は、従来の統合失調症治療薬の追加療法として、1200mgのN-アセチルシステイン(NAC)またはプラセボの有効性を評価することでした。計84人の慢性統合失調症患者が研究対象となりました。その結果、NAC摂取群に、プラセボ群より全体的な改善が見られました。 

Psychological Medicineの2017年の研究では、「NAC治療群で、プラセボ群より作業記憶に有意な改善が見られたことから、NACには精神病の認知能力に影響を与える可能性がある」と結論付けられました。 

受胎能力

受胎能力の問題は、世界中で数千万もの人が直面する一般的な問題です。受胎能力の問題、つまり不妊には多くの原因があり、男女共に影響を受ける問題です。 NAC は、 抗酸化物質 濃度が高いことから、受胎能力に大切な役割を果たしているかと思われます。 

多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)はよくある不妊原因の一つです。幸い、この疾患は、食事やライフスタイルを原因とすることが多いため、減量するなど、日常習慣を見直すことで妊娠成功率の向上を図ることができます。ただし、薬物治療が必要となる場合もあります。

2017年の研究では、一般的なPCOS治療薬であるクロミフェンとNACを併用すると、妊娠を望む女性に有効である可能性が示されました。注:サプリメント使用前に、必ず医師にご相談ください。 

2020年の研究では、別のPCOS治療薬メトホルミンとNACが比較されました。その結果、NACは体重減少だけでなく、女性においてテストステロン濃度低下にも役立つことがわかりました。NACはメトホルミンの代替と考えられるだろうというのが同研究者らの結論です。 妊娠率は両群において、いずれも同等の結果が出ました。

2019年の研究では、精子の質が万全とは言えない男性にもいくらか希望が示されました。同研究では、精子数と運動性の両方に改善が見られ、「NAC 補給により、不妊男性の精子パラメーターと酸化/抗酸化状態が改善する可能性がある。」と結論付けられています。

血糖コントロール

世界中に4億2200万人以上の糖尿病患者が存在します。その大多数(90〜95%)が、栄養バランスの悪い食事や運動不足といった生活要因による2型糖尿病患者です。1型糖尿病は一度発症すると阻止不可能で、免疫系が誤って膵臓を攻撃し、膵臓のインスリン分泌を阻むと発生します。 

American Journal of Cardiovascular Drugs誌の2018年の研究では、 NAC を補給すると、糖尿病患者の心臓保護が高まることが示されました。具体的に、「NACは、酸化ストレスを抑制することで心筋梗塞リスクのある糖尿病患者の心臓を保護する可能性が多いにある」と研究者はコメントしています。 

さらに、Pharmacological Research誌に掲載された2019年のレビュー記事では、NACがインスリン抵抗性がある個人をはじめ、前糖尿病および糖尿病患者のインスリン感受性の改善に役立つことを実証するエビデンスについて考察しています。 

糖尿病対策サプリメントは、一部の症状には有効かもしれませんが、 健康的な生活習慣への見直しこそが、血糖値コントロールの基本です。くれぐれも、糖尿病がある方は、主治医の指示がない限り服薬を中断しないでください。

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