この頃、ビタミンKの力で自然に骨を形成し、心臓の健康を増進し、できてしまったあざをなるべく早く治そうとする方が多いようですが、それも当然の傾向と言えるかもしれません。というのも、ビタミンKは全身に優れた効果を発揮する重要な栄養素だからです。この記事では、ビタミンKに関する科学的エビデンスを元に、安全かつ自然に健康を増進させる方法をご紹介します。

‌‌‌‌体内でのビタミンKの働き

ビタミンKは、体内で3種類の重要なタンパク質を生成する上で不可欠な脂溶性ビタミンです。これらのビタミンK依存性タンパク質の働きは以下の通りです。

  • オステオカルシン(骨の非コラーゲン性タンパクの25%を占めるカルシウム結合タンパク質)を調節して丈夫な骨を形成
  • プラークの石灰化(血管壁に脂肪が溜まってできたかゆ状のプラークにカルシウムが沈着してさらに硬くなった状態)を抑えることで血管を保護
  • プロトロンビン(血漿【けっしょう】タンパク質の一つ)の生成を促進することで、負傷時に血栓を形成。実際、このビタミンは血液凝固過程に極めて重要なことから、ドイツ語で凝固を意味するKoagulationの頭文字を取ってビタミンKと名付けられたほどです。

骨粗しょう症を予防したり、心臓の健康を維持し、けがをじっくり治したいとお考えの方なら、ビタミンK摂取の重要性がお分かりいただけるのではないでしょうか。

‌‌‌‌ビタミンKの種類

ビタミンKには、K1(別名 フィロキノン)とK2群(メナキノン、あるいはMK-4、MK-7、MK-9などのようにMKとも呼ばれる)の2種類があります。ビタミンKは名前が多すぎて大変そうという方は、K2とMKは同じものであり、要はビタミンKにはK1とK2(MK)という2つの形しかないことを覚えておくと良いでしょう。

ビタミンKの食物源

K1が緑色葉野菜に含まれる一方で、K2はほぼすべての種類がヒトの腸内のプロバイオティクス(善玉菌)によって作られています。また、ヒト以外でも、K2は動物の肝臓や乳製品などの動物性食品に少量含まれています。なお、成人の健康維持に必要なビタミンKの摂取量は1日90〜120mcg(マイクログラム、またはμg)です。ではここで、食物の薬効を活かしたいという方に、特にビタミンKを豊富に含む食品をご紹介しましょう。

代表的なビタミンKの食物源

  • 納豆:85gあたり850mcg(MK-7)
  • コラードグリーン:1/2カップあたり530mcg
  • カブ菜:1/2カップあたり426mcg
  • ホウレンソウ:生のもの1カップあたり145mcg
  • ケール:生のもの1カップあたり113mcg
  • ブロッコリー:調理済みのもの1/2カップあたり110mcg
  • ニンジンジュース:3/4カップあたり28mcg
  • 枝豆:1/2カップあたり21mcg
  • カボチャ:缶詰1/2カップあたり20mcg
  • 肉類:85gあたり6mcg(K2)

食事からできるだけ多くのビタミンKを摂取するコツ

ビタミンKは脂溶性ビタミンであることから、脂質の多い食事や軽食と一緒に摂ると吸収率が高くなると考えられます。例えば、普段の食事でビタミンKを増やすなら、葉野菜にオイルベースのドレッシングをかけたり、ブロッコリーやニンジンの軽食にナッツ・種子類を添えてみてはいかがでしょうか。

さらに、ビタミンKが豊富な食品をもっと簡単に取り入れるには、濃緑色葉野菜のグリーンパウダーを朝一番に飲むスムージーのプロテインミックスをはじめ、焼き菓子用ミックスやオートミールなどに加えてみてください。外出先なら、サッとつまめる枝豆やケールチップスがお勧めです、また、葉野菜とお肉を炒めた植物とタンパク質たっぷりの昼食や夕食も、手軽で健康的なビタミンKの摂取方法と言えるでしょう。

サプリメントでビタミンKを補給

健康的な食生活を送っている限りビタミンK1が不足することはまずありませんし、ビタミンK2欠乏も稀です。これは、適切なプロバイオティクスを摂取していれば、腸内細菌の代謝によってビタミンKが内因的に(生体内で)生成されるためです。ただし、長期にわたる吸収不良症候群、セリアック病、炎症性腸疾患、嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)などの持病がある方や、抗生物質または胆汁分泌抑制薬の慢性使用、あるいはビタミンK欠乏の症状(出血や血液凝固の問題)がある方は、欠乏の根本原因を治療するまで錠剤または粉末でビタミンKを補給することをお勧めします。

ビタミンKサプリメントを選ぶ際、私が常々患者に勧めているのはバイオアベイラビリティ(摂取されたビタミンやミネラルが吸収・利用される能力)が高いメナキノン型で、特にMK-7を含むフルスペクトラムビタミンK製品です。毎日の食事で葉野菜を十分に摂っていて、K1を増やす必要がない方は、K2のみのサプリメントを選ぶと良いでしょう。

おそらく、最も簡単なビタミンKの補給方法は、ビタミンKを配合したマルチビタミンまたはK2を含む骨の健康用サプリメントを摂取することではないでしょうか。現在出回っている多くのカルシウムサプリメントには骨基質の形成を助けるビタミンKが含まれているため、1錠で多様な栄養素が一度に摂取できます。ビタミンKを選ぶ際はラベルの内容成分を確認し、経口ビタミンKサプリメントを購入する前に必ずかかりつけ医に相談することが大切です。なお、ビタミンKのサプリメントは、ワルファリン(商品名クマジン他)のような抗凝固薬と相互作用する可能性があり、薬剤の血中濃度を変化させて重篤な副作用を引き起こすおそれがあります。

ビタミンKクリーム

最近の研究で、ビタミンKクリームは、あざの発生を予防したり、最小限に抑えるために使用できることが示されています。このことから、ビタミンKクリームは目の下のクマを目立たなくするのにも役立つのではないかと考えられています。クマは、あざと同様に血管から液体が漏れ出すことで生じるためです。そこで、朝と夜にビタミンKクリームを目の下に塗ってみましょう。4〜6週間後にはクマが気にならなくなっているかもしれません。目の下のお手入れをさらに健康的なものにしたい場合は、抗酸化作用のあるビタミンKクリームに、フルーツエキスの他、アロエなどの創傷治癒作用のあるハーブを配合した製品を使ってみてはいかがでしょう。

ここで、特にこれから出産予定の方にお伝えしたいのですが、ビタミンK欠乏性出血症(新生児から乳児期に見られる出血性疾患)を予防するために、新生児のビタミンK補給についてかかりつけの産婦人科医の指示に従うことをお勧めします。ビタミンKは胎盤を通して吸収されにくい上に、母乳に含まれるビタミンKは少ない傾向にあるため、多くの乳児(特に母乳で育てられている赤ちゃん)は、生後数週間のうちにビタミンKを補給しないと致命的な出血性疾患を発症するリスクがあります。ビタミンKを乳児に投与する方法としては、特定の用量を一度だけ筋肉内に注射するのが一番です。小児科医または産科医のアドバイスに従って、命を救う可能性のあるこのビタミンを早めに補給してあげましょう。

まとめ

このように、ビタミンKは骨や血液の健康と心血管機能に極めて重要です。しかも、食事を楽しみながら摂りやすい栄養素であり、1日の推奨摂取量を満たすのに役立つ優れたサプリメントも販売されていますので、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考文献:

  1. FoodData Central. Usda.gov, 2021, fdc.nal.usda.gov/fdc-app.html#/?component=1183. Accessed 16 July 2021.
  2. “Office of Dietary Supplements - Vitamin K.” Nih.gov, 2017, ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminK-HealthProfessional/. Accessed 15 July 2021.
  3. Vitamin K. “Vitamin K.” Linus Pauling Institute, 22 Apr. 2014, lpi.oregonstate.edu/mic/vitamins/vitamin-K. Accessed 16 July 2021.