ビタミンDは、体内で数多くの重要な働きを担う脂溶性のビタミンです。食物から摂取できるビタミンDは、体内で作ることもできるユニークな栄養素でもあります。実際に、ビタミンDを摂取する方法には日光、食物、サプリメントの3通りがあります。

紫外線を浴びると、皮膚のコレステロールがビタミンDの一種であるビタミンD3に変換されます。次に、そのビタミンD3が血液に入り、肝臓と腎臓に運ばれると、生理活性型のビタミンD3(カルシトリオール)になります。このように、ビタミンDは日光を浴びることで体内で自然に作られるため、太陽のビタミンと呼ばれています。

‌‌‌‌体内でのビタミンDの働き

一般に、ビタミンDは骨の成長に重要であると認識されていますが、まさにその通りです。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助け、丈夫な骨の形成と維持に役立ちます。ビタミンDが不足すると、子供の場合はくる病、大人は骨軟化症などの疾患リスクが高まります。1930年代にアメリカ政府が牛乳をビタミンDで強化するようになったのは、当時くる病が大きな問題となっていたためです。

そんなビタミンDですが、骨の健康だけでなく、実は筋肉、神経、免疫系の健康維持の他にも、適切な細胞増殖を調節するなど、体内で重要な働きを多数担っています。また、ビタミンDは、多発性硬化症などの自己免疫疾患のリスクを抑え、糖尿病、心血管疾患、認知症の他、一部のがんを予防する効果も期待できます。ただし、このようなエビデンスの多くは観察研究(従来の治療効果などについて情報を収集して観察する研究)から得られたものであるため、これらの疾患に対するビタミンDの役割を明確に判断するには、今後ビタミンD補給に関してさらなる介入研究(対象者に治療的介入などを行う研究)が行われる必要があります。

‌‌ビタミンDの必要摂取量

年齢層

推奨摂取量

生後0〜12ヶ月

10mcg (400 IU)

1~13歳の子供

15mcg (600 IU)

14〜18歳の青少年

15mcg (600 IU)

19〜70歳の成人

15mcg (600 IU)

71歳以上の成人

20mcg (800 IU)

妊娠中および授乳中の女性

15mcg (600 IU)

ビタミンDの最適な摂取量については、現在科学的な議論が盛んに交わされています。米国医学研究所(IOM)が定めた公式の推奨食事許容量は、19〜70歳の成人で1日600 IU(国際単位)、71歳以上では800 IUです。この推奨食事許容量は、健常者が健康な骨と正常なカルシウム代謝を維持するのに必要な1日の摂取量を示しており、最小限の日光曝露(日光浴)を前提としています。一方で、最新の研究結果に基づき、多くの機関がIOMの推奨量を大幅に上回るビタミンD量を奨励しています。例えば、米国内分泌学会では、適切な血清濃度のビタミンDを得るには1日1,500〜2,000 IUもの高用量を推奨しています。

‌‌ビタミンD欠乏の兆候と症状

ビタミンDを十分摂取するのに最適な方法については、まず太陽光を浴びることで、わずか10~15分程度の日光曝露で3,000~20,000 IUのビタミンDが得られます。ただし、日光浴で得られるビタミンDの量は地理的緯度や肌の色などによって大きく異なります。一般に、高緯度地域は太陽光が弱い傾向にあるため、ビタミンDの合成量が少なめです。また、肌の色が濃い人は、日光からビタミンDを生成する能力がメラニンによって低下するため、ビタミンDを合成するにはさらに多くの日光曝露が必要となります。

ビタミンD欠乏は世界的な健康問題として再浮上しています。というのも、全世界で約10億人にビタミンDが欠乏しているからです。一部の専門家によると、ビタミンDの摂取量不足に加え、紫外線を浴びる機会を制限する生活習慣(屋内で過ごす時間の増加、日焼け止めの使用、紫外線防止効果のある衣類の着用など)もビタミンD不足が増える原因となっています。特にビタミンD欠乏のリスクが高いのは、高齢者、入院中の患者、介護施設入所者です。高齢者の多くは日光曝露が十分でないだけでなく、食事によるビタミンD摂取量が不足しがちの上、腎機能が低下している可能性もあることから、活性型ビタミンDへの変換が正常に行われていないと考えられます。

ビタミンD欠乏症患者の多数は無症状ですが、筋肉痛やけいれんの他、骨痛、脱力感、倦怠感、気分の変化などの兆候または症状が見られるケースもあります。ビタミンD欠乏が続くと、乳幼児の場合は骨が柔らかくなり、脚が曲がるなど骨格が変形するくる病にかかりやすくなります。成人の場合、長期にわたるビタミンD欠乏は骨がもろく柔らかくなる骨軟化症を引き起こし、骨折しやすくなります。

‌‌‌‌ビタミンDを含む食品6種

紫外線を浴びる機会が少ない環境にある方は、ビタミンDを十分に摂取して欠乏症を予防することが大切です。とはいえ、天然のビタミンD源は比較的少なく、アメリカ人が食事から摂るビタミンDのほとんどは栄養強化食品によるものです。ビタミンDの摂取に最適な食品は以下の通りです。

1. サケ、マス、サバなどの脂肪の多い魚

例えば、1食分のニジマス85gで645 IUのビタミンDを摂取できますが、これは1日の必要摂取量の100%以上に相当します。また、新鮮なサケなら、種類によって85gあたり383〜570 IUのビタミンDを摂取できます。さらに、天然のサケは養殖サケよりもはるかに多くのビタミンDを含む可能性を示す研究がいくつかあります。この他にも、ビタミンDを多く含む鮮魚として、オヒョウ、コイ、メカジキ、ナマズなどが挙げられます。

2. マグロ、イワシ、ニシンなどの魚の缶詰

缶詰の魚にも実はビタミンDが豊富に含まれおり、しかも手頃な製品が多いため、新鮮な魚介類が食べられない場合は是非お勧めしたい食品です。マグロの水煮である、いわゆるライトツナ缶には、85gあたり約154 IUのビタミンDが含まれています。

マグロの缶詰には、多くの魚類に見られるメチル水銀が含まれていますが、ライトツナのような特定の種類のツナはそのリスクが低いとされています。なお、安全とみなされるツナ缶の摂取量は1週間あたり最大170gです。

一方、イワシのオイル漬け(オイルサーディン)の缶詰には164 IUのビタミンDが含まれています。ニシンの酢漬けもビタミンDが豊富ですが、ナトリウムが多く含まれている可能性があります。

3. タラ肝油

タラ肝油はタラの肝臓から抽出された脂肪分で、歴史的には1920年代初頭にくる病の予防と治療に広く用いられていました。大さじ1のタラ肝油に1360 IUのビタミンDが含まれています。

4. キノコ類

栄養強化食品を除いて、ベジタリアン向けの天然ビタミンD供給源はキノコ類だけです。キノコ類は、人類と同様に紫外線を浴びるとビタミンDを合成しますが、私達とは異なる形のビタミンD(D3ではなくD2)を生成します。

野生のキノコが日光を浴びて自然にビタミンDを合成する一方、商業的に栽培されているキノコは紫外線ランプの照射でビタミンDが合成されます。

商業栽培されているキノコは通常暗所で栽培されていますが、収穫後に紫外線を照射することでビタミンDの含有量が大幅に増加します。こうして紫外線を受けたクレミニマッシュルーム(別名ブラウンマッシュルーム)1カップには1110 IUものビタミンDが含まれています。

5. 卵

卵は、手軽にビタミンDを摂取でき、幅広い料理に取り入れられる食材です。ただ、卵のビタミンDは白身ではなく黄身に含まれているため、黄身を無駄にしないように摂取しましょう。

卵黄1個に約41 IUのビタミンDが含まれています。米国農務省は、現在の卵のビタミンD含有量は2002年の分析時よりも64%多いと発表しています。これは、卵生産者がビタミンDを強化した餌を使用するなど、鶏の飼料が改善されたことと関係しています。また、平飼い卵(屋外の地面で放し飼いにされた鶏の卵)には、屋内で飼育されている鶏の卵よりもはるかに多くのビタミンDが含まれています。

6. 強化食品

強化食品とは、本来は含まれていない栄養素が添加された食品を指します。自然にビタミンDを含む食物はごくわずかなため、食事に含まれるビタミンDのほとんどは強化食品から供給されます。その代表である牛乳の場合、ほとんどが1カップあたり約120 IUのビタミンDで強化されています。また、牛乳にはカルシウムも豊富に含まれています。乳成分を摂る習慣がない方には、一般に牛乳とほぼ同量のビタミンDで強化された豆乳、アーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性ミルクをお勧めします。

さらに、一日の始まりにオレンジジュースを飲むこともビタミンDの摂取量を増やすのに有効です。オレンジジュース1カップあたり約100 IUのビタミンDが摂取できますが、メーカーによって異なります。また、シリアルやインスタントのオートミールにもビタミンDで強化されている製品があります。つまり、シリアルにビタミンD強化牛乳をかけて食べれば、ビタミンDの摂取量が倍増することになります。

ヨーグルトは、カルシウムやタンパク質の他、腸内善玉菌であるプロバイオティクスを手軽に摂取できる栄養満点のおやつです。ヨーグルト1食分で、1日に必要なビタミンDの約10〜20%を摂取できます(種類やメーカーによって差があります)。他にも、優れたビタミンD供給源として、食事でビタミンDの推奨摂取量を満たすのが難しいヴィーガンの強い味方となるのが豆腐です。すべての豆腐が栄養強化されているわけではありませんが、強化されているものには100gあたり約100 IUのビタミンDが含まれています。

ビタミンDのサプリメント

Vitamin D supplement on wooden table

日光浴や食品からの摂取だけではビタミンDが足りないと感じている方は、ビタミンDのサプリメントを摂取すると良いでしょう。サプリメントに含まれるビタミンDには、植物由来のビタミンD2(エルゴカルシフェロール)と動物由来のビタミンD3(コレカルシフェロール)の2種類があります。いずれも腸内で吸収されやすく、ビタミンDの血中濃度を高めますが、報告されているエビデンスの大半では、ビタミンD3の方がD2よりもビタミンDの血中濃度を高め、長時間持続することが示されています。

特にビタミンD欠乏のリスクが高く、サプリメント摂取を取り入れる必要がある人口群は以下の通りです。

  • 母乳育ちの乳児:母乳に含まれるビタミンDはごくわずかです。
  • 高齢者:皮膚のビタミンD生成効率が低下しており、日光を浴びても腎臓で活性型ビタミンDに変換されません。
  • 病気などで家から出られない人をはじめ、入院患者、介護施設入所者、日焼け防止効果のある衣類を着用している人、屋外に出る時間が限られている職業の人など、日光を浴びる機会が少ない人。
  • 肌の色が濃い人:皮膚のメラニンがビタミンDを作る能力を低下させます。
  • 嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)、クローン病、セリアック病など、脂質の吸収不良を伴う疾患の患者:ビタミンDが腸で正しく吸収されるには脂質が欠かせません。
  • 肥満者:ビタミンDの一部が体脂肪に固定され、血液中に入り込めなくなります。
  • 胃バイパス手術経験者:ビタミンDが吸収される上部小腸の一部が、手術により迂回(バイパス)されてしまいます。

‌‌ビタミンDの毒性

ビタミンDは血中濃度が上がりすぎると有害となることがあります。健康に害を及ぼす可能性が低い栄養素の1日の最大摂取量は許容上限摂取量と呼ばれます。ビタミンDの許容上限摂取量は、9歳以上の子供から成人まで4,000 IUです。

ビタミンDの毒性が発生するのは、通常サプリメントの摂取を原因とするものです。食物に含まれる少量のビタミンDが有害な濃度に達することはまずありません。また、長時間の日光曝露がビタミンDの毒性を引き起こすこともありません。これは、体にビタミンDの生成量を制限するメカニズムが備わっているためです。

ビタミンD毒性の症状や兆候としては、吐き気、嘔吐、食欲不振、便秘、体重減少、脱力感、精神錯乱、不整脈、心臓損傷・腎臓損傷などが挙げられます。このことからも、医師の指示がない限り、4,000 IU以上のビタミンDを含むサプリメントを毎日摂取しないことをお勧めします。

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