特に知名度の高いビタミンB群について耳にしたことはあるかと思いますが、その種類が全部で8種あることはご存知でしょうか。ビタミンB群は水溶性です。つまり、水に溶け、体内に貯蔵されることなく体内組織に運ばれます。こうして、ビタミンB群は体内のさまざまな器官やシステムに関与しています。ビタミンB群は、食物をエネルギーに変えたり、新しい血球を生成する他、健康な皮膚細胞・脳細胞や体内組織を維持することで代謝を助けます。

通常、これらのビタミンはビタミンB複合体として体内で共に作用するものですが、各ビタミンBがそれぞれ独自の機能を担っています。ビタミンB群は植物性食品にも動物性食品にも含まれていますが、この記事では植物性食品からビタミンB群を摂取する方法をご紹介したいと思います。

後ほど、各ビタミンBが体内でどのような働きをしているのか、また、特定のビタミンB群を摂取するのに最適な食物について見ていきましょう。その前に、米国食品医薬品局(FDA)が推奨する各ビタミンBの1日の摂取量をまとめておきます。

ビタミン名

成人女性の1日の推奨栄養所要量

成人男性の1日の推奨栄養所要量

チアミン(ビタミンB1)

19歳以上

1.1mg

19歳以上

1.2mg

リボフラビン(ビタミンB2)

19歳以上

1.1mg

19歳以上

1.3mg

ナイアシン(ビタミンB3

19歳以上

14mg

19歳以上

16mg

パントテン酸(ビタミンB5)

19歳以上

5mg

19歳以上

5mg

ビタミンB6(ピリドキシン)

19〜50歳

1.3mg

51歳以上、1.5mg.

19〜50歳

1.3mg

51歳以上、1.7mg

ビオチン(ビタミンB7)

19歳以上

30mcg*

19歳以上

30mcg*

葉酸(ビタミンB9)

19歳以上

400mcg

19歳以上

400mcg

ビタミンB12(コバラミン)

14歳以上

1日2.4mcg

14歳以上

1日2.4mcg


*注:ビオチンに関しましては、健康な人の大半が1日に必要とする量を示す十分なエビデンスがないため、現時点では1日の推奨栄養所要量(RDA)がない代わりに、十分な栄養量の目安となる適切摂取量(AI)が設定されています。

チアミン(ビタミンB1)

チアミンは、科学者らが発見した最初のビタミンBであったことからB1と名付けられました。健康な神経系、心臓、脳の機能に不可欠なチアミンは、食物をエネルギーに変えるのにも役立ちます。チアミン欠乏症は先進国では稀ですが、アルコール依存症、クローン病、拒食症といった特定の疾患においては深刻な問題を引き起こすことがあります。

代表的なチアミンの食物源:

なお、チアミンは高熱に弱いため長時間の調理には不向きで、水に浸しても栄養が損なわれやすくなります。また、食品加工の際にチアミンが除去されることもあります。加工された全粒穀物のチアミンが強化されているのはそのためです。

‌‌‌‌リボフラビン(ビタミンB2)

腸内細菌に生成されるリボフラビンですが、それはごく少量であり、必要摂取量には及びません。リボフラビンは細胞の成長やエネルギー生成の他、脂肪、ステロイド、薬剤の分解に重要です。リボフラビン欠乏はアメリカでは非常に稀ですが、この欠乏は他の栄養素の欠乏と同時に発生するケースがほとんどです。ヴィーガンで、緑色野菜やナッツ類を食べていない方は、リボフラビン欠乏のリスクが高くなる可能性があります。リボフラビンは主に栄養強化食品に含まれていますが、一部のナッツ類や緑色野菜でも摂取できます。

リボフラビン(ビタミンB2)の植物源には以下のようなものがあります。

リボフラビンは光感受性が高いため、直射日光などの光がなるべく当たらない場所に保存することが大切です。かつては透明または半透明の瓶入りなどが一般的であったミルクの容器が不透明の素材に変更されたのは、製品の中身が光を吸収しにくくするためでした。

‌‌‌‌ナイアシン(ビタミンB3)

ナイアシンはニコチン酸とナイアシンアミド(別名、ニコチン酸アミド)の2種類に大別されますが、いずれも食物やサプリメントで摂取できます。体内では、アミノ酸の一種であるトリプトファンをニコチン酸アミドに変換することができます。ナイアシン(ビタミンB3)は、LDL(悪玉)コレステロールの減少とHDL(善玉)コレステロールの増加を促進し、心臓の健康全般に効果があることが示されています。ナイアシンの推奨摂取量は、食物に含まれる量でほぼ満たされますが、サプリメントによるナイアシン補給でさまざまな効果が得られる可能性があります。なお、新たにサプリメントを摂取し始めたり変更する際は、必ず事前にかかりつけ医に確認することをお勧めします。

代表的なナイアシン(ビタミンB3)の植物源は以下の通りです。

‌‌パントテン酸(ビタミンB5)

パントテン酸は、タンパク質や脂肪の生成に必要な栄養素です。また、パントテン酸はコレステロール、アミノ酸、脂肪酸の生成にも関与し、代謝機能にも役立ちます。リボフラビンと同様、パントテン酸も腸内細菌によって少量が生成されますが、必要摂取量を満たす量ではありません。ほぼすべての植物性食品と動物性食品には、それぞれ異なる量でパントテン酸が含まれています。パントテン酸欠乏はアメリカでは稀ですが、重度の栄養不良がある人には弊害が生じる可能性があります。

パントテン酸(ビタミンB5)の植物源には、以下のようなものがあります。

‌‌ビタミンB6(ピリドキシン)

このビタミンB6は体内で生成できないため、食物やサプリメントから摂取する必要があります。ビタミンB6は、タンパク質、脂肪、炭水化物の代謝に欠かせないビタミンで、赤血球の生成も助けます。このように赤血球の生成に関わるビタミンB6は、貧血の予防や治療に役立つ可能性があります。ビタミンB6を貧血の治療に利用する研究データは限られているものの、これまでのところ有望な結果が出ています。

ビタミンB6(ピリドキシン)の主な植物源は以下の通りです。

  • ひよこ豆
  • ジャガイモ
  • 栄養強化されたシリアル
  • 一部の野菜や果物。特に、濃緑色葉野菜、バナナ、パパイヤ、オレンジ、カンタロープ(メロン)など

‌‌‌‌ビオチン(ビタミンB7)

ビタミンB7はビオチンの名でよく知られ、主に髪、皮膚、爪の成長に有益とされています。ビオチンが欠乏すると、抜け毛の他、皮膚や爪の問題につながる可能性がありますが、米国国立衛生研究所(NIH)は、この説を裏付けるデータが不十分であるとしています。ビオチンは、食物中の脂肪、炭水化物、タンパク質の分解を助けます。アメリカでは稀なビオチン欠乏ですが、アルコール依存症など特定の疾患はビオチン欠乏症のリスクを高める可能性があります。

ビオチン(ビタミンB7)の代表的な植物源は以下の通りです。

調理によりビオチンの効果がなくなることがあるため、ビオチンを含む食品は、生で食べるか、加工度の低いものを選ぶようにしましょう。

‌‌葉酸(ビタミンB9)

葉酸(Folate、葉酸塩ともいう)は天然型のビタミンB9で、合成型の葉酸(Folic acid)は強化食品やサプリメントに含まれています。合成葉酸は、食物から摂取する天然葉酸よりも吸収が良く、吸収率は合成型が約85%であるのに対し、天然型が50%となっています。天然葉酸はDNAの形成と赤血球の生成を助けます。葉酸は、妊娠中や胎児の発育といった急成長期に不可欠な栄養素です。そのため、妊娠を計画している出産可能年齢の女性は、葉酸サプリメントはもちろん、葉酸を含むさまざまな食物を積極的に摂取することをお勧めします。FDAでは、メーカーが強化穀物製品に葉酸を加えることを義務付けています。

天然葉酸(ビタミンB9)の植物源には以下のようなものがあります。

なお、葉酸はB9と呼ばれ、少々紛らわしいのですが、ビタミンB群は全部で8種類しかありませんのでお間違いなく。

‌‌‌‌ビタミンB12(コバラミン)

ビタミンB12は動物性食品に含まれていますが、一部の強化食品やサプリメントでも摂取できます。このB12は赤血球やDNAの形成に欠かせないビタミンであり、神経系においても重要な役割を担う存在です。食物としてビタミンB12が摂取され、消化が始まると、胃に入った時点で多くの反応が起こり、B12が小腸で吸収されるようになります。肉、乳製品、卵などの動物性食品を摂る習慣がない方は、ビタミンB12のサプリメントが必要かもしれません。

主なB12(コバラミン)の植物源は以下の通りです。

ほとんどのマルチビタミンには、ビタミンB群の全8種がいくらか含まれており、製品によっては1日に必要なビタミンB群の100%に達するものもあります。ビタミンB群は、毎日の身体機能に大きく関与しています。各ビタミンBが体内で重要な機能を果たしていますが、ビタミンB複合体として同時に摂取することで吸収率が向上し、さらに優れた効果が期待できます。研究でも示されている通り、ビタミンB複合体のサプリメント摂取が最良の選択と言えるでしょう。なお、食事にサプリメントを取り入れる際は、必ず事前にかかりつけ医にご相談ください。

参考文献:

  1. Carpenter KJ. The discovery of thiamin. Annals of Nutrition and Metabolism. 2012;61(3):219-23.
  2. Institute of Medicine (US) Standing Committee on the Scientific Evaluation of Dietary Reference Intakes and its Panel on Folate, Other B Vitamins, and Choline. Dietary Reference Intakes for Thiamin, Riboflavin, Niacin, Vitamin B6, Folate, Vitamin B12, Pantothenic Acid, Biotin, and Choline. Washington (DC): National Academies Press (US); 1998. 6, Niacin. Available from: https://jp.ncbi.nlm.nih.gov/books/NBK114304/
  3. Kamanna VS, Kashyap ML. Mechanism of action of niacin. Am J Cardiol. 2008 Apr 17;101(8A):20B-26B. doi: 10.1016/j.amjcard.2008.02.029. PMID: 18375237.
  4. Kennedy D. O. (2016). B Vitamins and the Brain: Mechanisms, Dose and Efficacy--A Review. Nutrients, 8(2), 68. https://doi.org/10.3390/nu8020068
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  6. Office of Dietary Supplements - Vitamin B6. (n.d.). Retrieved December 27, 2020, from https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminB6-HealthProfessional/
  7. Rivlin RS. Riboflavin. In: Coates PM, Betz JM, Blackman MR, et al., eds. Encyclopedia of Dietary Supplements. 2nd ed. London and New York: Informa Healthcare; 2010:691-9.