ターメリックを使って活動的なライフスタイルを向上

著者:ジェイク・ボリー
この記事の内容 :
市販されているあらゆるサプリメントを調べた上で、健康全般にわたる潜在的効果を比較するとしたら、ターメリックに匹敵するサプリメントを見つけるのは至難の業でしょう。
ターメリック(ウコン) はショウガ 科の植物で、インドをはじめとする熱帯アジア地域で栽培されています。その謳われる効能にサプリメント業界が注目し、大々的に売り出すはるか昔、ターメリックは南アジアのほぼ全域で薬用に用いられていました。
ターメリックは、古くから、激痛、呼吸困難、疲労といった健康問題を治療するために使用されていました。そんなターメリックは、今日では以下のような多数の健康分野を網羅するサプリメントとして使用されています。
- 炎症
- 関節痛
- 胃障害
- 消化器の健康
- 筋肉痛
ターメリックの効能は、言うまでもなく、一般向けとしても、活動的な個人のニーズにも極めて有望と考えられます。この記事では、ターメリックについて、サプリメントに含まれるターメリックの成分、黒コショウと併用することの利点、この古代のスパイスを摂取することで得られる3つの効能についてご説明しましょう。
ターメリックとは?
前述の通り、, ターメリック はショウガ科の植物です。キッチンで活躍するスパイスとして、黄金の根と呼ばれるターメリックは、マスタード やカレー の鮮やかな黄色の色素の元になるものです。この植物の料理への用途は無限と言って良いでしょう。例えば、ターメリックはカレーパウダーの主成分の一つであり、スパイス(ターメリック粉末)やスムージーの添加剤(生ターメリックの根)の他、あらゆる料理に風味を添えたり、色味を加える手段として使用できます。
ターメリックが健康に良いのは、クルクミンと呼ばれる生物活性成分が含まれるためです。
クルクミンは、人気の高い単体のサプリメントで、ターメリックの主要有効成分です。多数の抗炎症性を持つクルクミンは、体内で抗酸化物質として機能します。ターメリックには他にも有効成分がありますが、以下に引用するターメリック補給の効果に関する研究の大半は、クルクミンに焦点を当てています。
栄養補助に関しては、ターメリックには複数の摂取方法があります。最も一般的な形状は、カプセルと粉末ですが、ターメリッククリーム、スプレー、液体もあります。
ターメリックと黒コショウ
ターメリック と黒 コショウ が配合されたサプリメントが存在したり、ターメリックと黒コショウの併用を推奨されるのには理由があります。既にご説明したように、ターメリックの主要有効成分であるクルクミンには、黒コショウの有効成分であるピペリンと相乗効果があると考えられる特性があります。
ピペリンは、黒コショウに含まれる天然由来の有機化合物であるアルカロイドの一種で、人体に大きな影響を与え、体内のクルクミン吸収を大幅に高めることが示唆されています。ピペリンは、吸収を高めるだけでなく、頭痛や吐き気を緩和することが示唆されており、さらに抗炎症性もあります。
このような理由で、特にクルクミンの吸収率に与える影響を踏まえて、黒コショウとターメリックを併用して相互に補充させることが推奨されています。理論的には、ピペリンのような相乗化合物を利用して、クルクミンなどの生体利用性の高い抗炎症成分の吸収効率を高めることができれば、さらに多くの効能が得られるはずです、
ターメリックの効能
1.筋肉痛を軽減する可能性
前述の通り、ターメリックが持つ最大の効能の一つは、抗炎症作用です。活動的な個人には、このような抗炎症作用が筋肉痛の減少として現れることがあります。
Journal of Sports Science and Medicine誌に発表された2017年の研究では、運動後の筋肉痛と損傷へのクルクミンの効果が評価されました。この研究では、クルクミンサプリメントを異なる用量で補給した3群が比較されました。第1群は50mg、第2群は200mgのクルクミンを摂取し、第3群はプラセボを摂取しました。適度にトレーニングを積んだ59人の男女が各群に振り分けられ、ダウンヒル(下り坂)ランニング法に参加しました。
筋肉損傷と筋肉痛の測定として、血漿サイトカイン、クレアチンキナーゼ(CK。筋肉損傷を評価するマーカー)、筋肉痛の知覚が評価されました。これらの値は運動前と直後に記録されたのち、トレーニングプロトコルに従って1時間、24時間、48時間、72時間の間隔で記録されました。
分析の結果、200mgのクルクミン摂取群は、筋肉痛の知覚レベルが有意に低く、クレアチンキナーゼ値が低下したことがわかりました。この研究は、激しい運動後の筋肉痛や損傷の軽減にクルクミンの効能が期待できることを示唆して終了しました。
2.回復を改善する見込み
クルクミン は筋肉痛の軽減に役立つと考えられるため、回復力を高める可能性があっても不思議ではありません。Journal of Sports Science and Medicine誌掲載の2017年の研究では、クルクミンとピペリンの使用と、筋肉損傷および回復に対する効果が調査されました。
研究にあたり、一流のラグビー選手10人が4群に振り分けられ、クルクミンと黒コショウ、またはプラセボが投与されました。そのうち2群がクルクミンと黒コショウを摂取し、利き脚と非利き脚で片脚トレーニングプロトコルを実行し、残る2群はプラセボを使用して同じトレーニングプロトコルに従いました。
続いて、運動直後と、テストした各脚のプロトコルに従って、24時間、48時間、72時間の間隔で、ピークトルク、カウンタームーブメントジャンプ、クレアチンキナーゼの値および筋肉痛が評価されました。
その結果、運動後にクレアチンキナーゼ値が上昇したことがわかりました。これは、同研究のプロトコルが筋肉痛を起こすのに十分だったことを示唆しています。この分析により、プラセボ群と比較して、実験群の筋肉痛とクレアチンキナーゼ値に大幅な減少が見られたことが示されました。
3.神経伝達物質を増加させる可能性
回復力を高め、筋肉痛を軽減する他に、 ターメリック は「幸せ」ホルモンと呼ばれるセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の改善においても、脳に有益である可能性があります。
Journal of Pharmacology誌に発表された2008年の研究では、ピペリンと併用摂取した場合のクルクミンの抗うつ作用の有無が評価されました。分析の結果、クルクミンとピペリンの補給で、全体的な気分に関連するドーパミンとセロトニンの濃度がいずれもわずかに改善したことがわかりました。
なお、この研究はマウスで行われたため、ヒト研究への応用は若干異なる可能性があることに注意が必要です。さらに、最終的な結論を出す前にさらなる研究が必要とはいえ、この研究はクルクミンとピペリンの潜在的な相乗効果を強調する上で有望なものです。
ターメリックは安全でしょうか?
一般に、日常的なターメリック 補給は安全であることが示唆されています。ただし、ターメリックは長期間補給すると胃腸の不快感を引き起こすとされていますが、それには個人差があります。
あらゆるサプリメントや食生活の変更と同様に、新製品等を初めて摂取する際は、事前に医師に相談することを常にお勧めします。
ターメリックは、戦略的かつ慎重に補給することで、万人の健康管理を後押しする強い味方となる可能性があります。ターメリックは、料理に使用したり、サプリメントとして摂取したりと日常的に取り入れやすく、各自のニーズに合わせて調整することもできます。
参考文献 :
- https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5358025/
- https://www.fasebj.org/doi/abs/10.1096/fasebj.31.1_supplement.lb766
- https://link.springer.com/article/10.1007/s00213-008-1300-y