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胸腺 – 免疫系の主幹制御(マスターコントロール)

著者:マイケル・マレー博士

この記事の内容 :


免疫系が抑制されていたり、最適な能力で機能していないと感染症にかかりやすくなり、深刻な結果に至るおそれがあります。強力な免疫系が体を完全に保護するという保証はないものの、正常に機能する免疫系は、いわば優秀な防御兵器を蓄えているようなものです。そのため、できる限り手を尽くして免疫系を最適な状態に維持することが大切です。

健康な免疫系に大きく貢献するのが栄養です。特に、微量 ミネラル と 抗酸化物質の摂取は、免疫系の主要な腺である胸腺の機能に不可欠です。 

胸腺と細胞性免疫

胸腺は、柔らかいピンクがかった灰色の二葉から成り、甲状腺の真下、心臓の上に位置する器官です。胸腺の健康は、「細胞性免疫」と呼ばれる免疫部門の機能を大きく左右します。 

細胞性免疫とは、抗体に関与しない免疫反応です。抗体は、侵入生物と結合して破壊させる性質を持つ白血球群が産生するタンパク質です。細胞性免疫は異なります。細胞性免疫は、胸腺で産生されるTリンパ球という白血球の活性化に関与します。細胞性免疫は、免疫反応全般を統合するさまざまな化学伝達物質による他の白血球の活性化にも一役買っています。胸腺は、チモシン、チモポエチン、血清胸腺因子など複数のホルモンを含むこれらの化学伝達物質を介した細胞性免疫の主幹制御器というわけです。 これらのホルモンの血中濃度が低いと、免疫力の低下につながり、感染症にかかりやすくなります。胸腺ホルモン濃度は、高齢者(胸腺機能は年齢と共に低下する性質)の他、過度のストレスを抱える個人も非常に低いのが通常です。

胸腺機能をサポート

健康な免疫系を手に入れる秘訣の一つは、適切な胸腺機能の確保を目指して対策を講じることです。例として:

  • 食事から 抗酸化物質を十分摂取して胸腺退縮(収縮)を予防。
  • 栄養素で胸腺産生ホルモンの生産・作用をサポート。

胸腺は、出生直後に最大の発達を示します。加齢に伴い、胸腺は退縮していきます。この退縮は、胸腺が、ストレス、放射線、感染症、慢性疾患などが引き起こすフリーラジカルや酸化ダメージの影響を極めて受けやすいことが原因です。

免疫機能障害をはじめ、免疫障害関連疾患(心血管疾患、糖尿病、慢性閉塞性肺疾患、慢性腎疾患、がんなど)の患者の多くは、酸化ストレス状態にあります。1 これは、体内の酸化促進物質が抗酸化物質より多いということです。酸化ストレスの増加は胸腺機能に有害で、特に免疫系を中心に老化を加速させます。2 抗酸化物質が適切な免疫機能(特に細胞性免疫)をサポートする主な方法の一つは、胸腺をダメージから保護することです。胸腺の保護に最も重要な抗酸化栄養素には、 ビタミンA (βカロテンとして)、 ビタミンC、 ビタミンE、 亜鉛、 セレンなどあります。当然ながら、これらの栄養素および ビタミンB群 は、胸腺ホルモンをはじめ、免疫系のあらゆる成分の生産をサポートする上でも不可欠です。

最低限の推奨食事摂取量(RDI)を供給する マルチビタミン・ミネラル処方 は、特に加齢に伴う免疫系機能低下に備えた胸腺サポートとして良好な栄養面における保険と言えるでしょう。栄養不足のリスクが最も高いのは高齢者です。高齢者の免疫機能に対するマルチビタミン・ミネラルのサプリメントの効果については、複数の二重盲検研究が行われています。3 これらの研究結果で、栄養補助食品を摂取した高齢被験者は、多くの免疫系機能に改善が見られ、プラセボ群より感染症例が大幅に少ないことが示されました。 

スピルリナは胸腺のためのスーパーフード

スピルリナ も、胸腺の栄養強化にお勧めの成分です。スピルリナは、特に タンパク質、カロテノイド、ビタミン、ミネラル、 必須脂肪酸が豊富な藍藻(らんそう)です。スピルリナが、長年多くの健康志向者に支持されるスーパーフードなのは理由があります。栄養面に優れたスピルリナには、有益な植物化学物質が豊富に含まれています。免疫の健康サポートに食物や栄養素への注目が高まる昨今、スピルリナは賢い選択と言えるでしょう。 

これまで、スピルリナの目覚ましい抗酸化作用と免疫増強作用が示されています。並外れた栄養プロファイルに加えて、スピルリナには、抗酸化物質の他、免疫系機能へのサポート効果のあるさまざまな植物化学物質が含まれています。中でも、スピルリナは、胸腺に関わる機序を示唆する方法で、自然免疫に特に役立つようです。例えば、スピルリナはNK(ナチュラルキラー)細胞の正常な活動と機能をサポートし、T細胞および胸腺がサポートする化学的因子に補助効果を発揮します。これらの効果には、フィコシアニン(細胞保護を助けるスピルリナの青色色素)のような抗酸化成分に関連するものがあると考えられます。スピルリナは、酸化ストレスの血液マーカーと免疫機能マーカーを改善することが示されています。肺に慢性的な問題を抱える被験者(60日間で1日1gおよび2g)、健康な被験者(3週間で1日7.5g)、高齢者(12週および16週で1日8g)、ランナー(2週間で1日4g); 2型糖尿病患者(12週間で1日8g)を対象に行った研究では、酸化マーカーの低下か抗酸化酵素マーカーの上昇のいずれか、または両マーカー共に改善が見られたと報告されました。4

スピルリナ は、カプセルや粉末状の栄養補助食品として販売されています。スピルリナの一般的な推奨摂取量は1日1〜8gですが、さらに高用量(1日20gなど)においても使用されており、安全とされています。スピルリナの高いタンパク質含有量や最適な抗酸化物質と免疫系サポートを目的とする場合は多めに、一般的な抗酸化物質および免疫系サポートには比較的少なめ、というのが通常の摂取量です。 

スピルリナ、カロテノイド、免疫の健康

スピルリナは、最も優れた βカロテン の供給源の一つで、ニンジンの10倍もの濃度が特徴です。そんなβカロテンも、実はスピルリナに含まれる10種類のカロテノイドの1種にすぎません。カロテノイドは、自然界で最も広く分布する天然色素群です。カロテノイドは、赤・黄色などの色鮮やかな脂溶性化合物群です。そのうち最もよく知られているのが、体内で ビタミンAに変換できるβカロテンです。従来、カロテノイドの生物活性は、対応するビタミンA活性と同義とみなされてきました。βカロテンは、プロビタミンA活性が高いことから、最も高活性のカロテノイドと言われています。ただし最近の研究では、カロテノイドが他にも多くの重要な生理活性を示すことがわかっており、この機能だけが重視されすぎることが示唆されています。現時点で600種類を超えるカロテノイドが同定されていますが、ビタミンA活性があると考えられているのはおよそ30〜50種類に限られます。重要な効能を持つ非プロビタミンAカロテンの例として、 ルテイン、 リコピン、 アスタキサンチンが挙げられます。

これらの非プロビタミンAカロテンの多くは免疫機能に関連していることから、免疫系にプラス効果をもたらし、胸腺退縮予防に備えてさらに強力な保護が期待できます。カロテノイドは、白血球機能のサポートにおいて重要であるだけでなく、インターフェロンのような免疫細胞シグナル伝達化合物の効果を高める上でも、細胞性免疫にとっても極めて重要です。5 インターフェロンは、ウイルス感染に対する防御において中心的な役割を担う強力な免疫増強化合物です。

多くの免疫増強効果を発揮することが近年の研究で示されているカロテノイドですが、その全体的な効果は1931年には既に認識されていました。そのきっかけとなったのは、血中カロテン濃度に基づくカロテンの食事摂取量と子供の病欠日数が反比例することがわかったことです。6 つまり、血中カロテン濃度が高い子供ほど、学校を病欠した日数が少なかったというわけです。当初、カロテンの免疫増強性は、カロテンから ビタミンAへの変換によるものと考えられていました。現在では、ビタミンAの活動と関係なく、主に胸腺と細胞性免疫を保護する効果を通じて、カロテンが多くの免疫増強効果を発揮することがわかっています。

スピルリナのずば抜けた抗酸化作用は、フィコシアニン色素に加え、主に高いカロテン含有量によるものです。7 スピルリナに含まれるβカロテンは、ヒト臨床研究に基づいて非常によく用いられているようです。これらの研究の一つでは、インドの就学前児童5千人にスピルリナ1gを投与したところ、重度のビタミンA欠乏症の改善に役立つことが示されました。5カ月後、重度のビタミンA欠乏症の子供の割合が80%から10%に減少しました。栄養が欠乏した状態ではβカロテンからビタミンAへの変換が正常に行われないため、この目的には既成 ビタミンA(レチノール)が有用です。それでもなお、ごく低用量のスピルリナでも、子供のビタミンA欠乏症を原因とする失明、免疫抑制、神経障害のリスクを大幅に低減できることが同研究で実証されました。8 

カロテンの食物源

スピルリナの他にも、最も豊富なカロテンの供給源に緑色葉野菜があります。緑色植物のカロテノイドは、通常タンパク質や脂質と複合した クロロフィル(葉緑素)を含む葉緑体に見られます。βカロテンは、ほとんどの緑葉の優勢型です。一般に、緑色が濃いほどβカロテン濃度が高くなります。ニンジン、アンズ、マンゴー、ヤム(イモ)、カボチャなどオレンジ色の果物や野菜も、カロテノイドの優れた食物源です。トマト、赤(紫)キャベツ、ベリー類、プラムといった赤や紫色の野菜・果物には、別の種類の非プロビタミンAカロテン(リコピンなど)が大部分の他、フラボノイドとして知られる別群の色素も含まれています。 

βカロテンのサプリメント摂取ガイドライン

スピルリナ は βカロテン の供給源として優れた選択肢であり、完全な複合カロテノイドを含むことは、特に覚えておきたい重要ポイントです。他にも、ニンジン油、藻類ドナリエラ(学名 Dunaliella salina)、パーム油に由来する製品など、天然源のβカロテン製品が販売されています。天然型には幅広い種類のカロテンが含まれ、吸収性や抗酸化保護においても合成型より優れているようです。さらに、免疫機能のサポートにも断然優位なのはやはり天然源です。例として、健康な大学生を対象とした研究では、ニンジン由来のβカロテンを1日約15mg摂取した群と合成βカロテンを1日15mg摂取した群が比較され、免疫機能の改善において天然βカロテン摂取群に優位な結果が示されました。9 

混合βカロテン・天然βカロテン共に、1日15mg(25000 IUすなわち7500 RAE)が免疫の健康サポートに安全かつ効果的な摂取量とされています。βカロテン濃度と総カロテノイド濃度は、これらの製品のサプリメント成分表または栄養成分表に記載されています。 

参考文献 :

  1. Liguori I, Russo G, Curcio F, et al.Oxidative stress, aging, and diseases.Clin Interv Aging. 2018 Apr 26;13:757-772. 
  2. Barbouti A, Vasileiou PVS, Evangelou K, et al.Implications of Oxidative Stress and Cellular Senescence in Age-Related Thymus Involution.Oxid Med Cell Longev 2012;2012:670294.
  3. High KP.Micronutrient supplementation and immune function in the elderly. 
  4. Clin Infect Dis 1999;28:717-22.
  5. Finamore A, Palmery M, Bensehaila S, Peluso I. Antioxidant, Immunomodulating, and Microbial-Modulating Activities of the Sustainable and Ecofriendly Spirulina.Oxid Med Cell Longev. 2017;2017:3247528. 
  6. Milani A, Basirnejad M, Shahbazi S, Bolhassani A. Carotenoids: biochemistry,
  7. pharmacology and treatment.Br J Pharmacol. 2017 Jun;174(11):1290-1324. 
  8. Clausen SW.Carotenemia and resistance to infection.  Trans Am Pediatr Soc  1931; 43:27–30.
  9. Park WS, Kim HJ, Li M, et al.Two Classes of Pigments, Carotenoids and C-Phycocyanin, in Spirulina Powder and Their Antioxidant Activities.Molecules. 2018 Aug 17;23(8). pii: E2065.
  10. Seshadri C.V. Large scale nutritional supplementation with spirulina alga.All India Coordinated Project on Spirulina.Shri Amm Murugappa Chettiar Research Center (MCRC) Madras, India. 1993.
  11. Brevard PB.  Beta-carotene affects white blood cells in human peripheral blood.  Nutr Rep Int  1989;40:139–150.
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