更年期症状は、閉経期の女性の最大85%が悩まされると言われており、本人が苦しいのはもちろんのこと、家族など周囲の人にとってもつらいものです。さらに厄介なのは、更年期が、離婚や転職、空の巣症候群(子供が独り立ちした後の寂しさなどによる抑うつ症状)、高齢の親の介護など、他の中年期のストレス要因と重なりやすいことです。

更年期を阻止することはできませんが、女性の人生において自然な過程であり、見方によっては心と体を解き放つ機会と言えるかもしれません。

更年期症状を管理して少しでも和らげるには、サプリメントを摂取したり、生活習慣を見直すことが効果的です。こうして、自分の体をサポートするために対策を講じることが原動力となり、年齢を重ねても健康と充実感を高める上でプラスとなるのではないでしょうか。

更年期障害の症状

よく見られる更年期症状には、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)や悪寒、気分変動、不安、倦怠感、不眠症、記憶障害、集中力の低下、膣乾燥、ニキビ、髪が細くなる、骨がもろくなる、体重増加、乳房痛、性欲減退などがあります。

‌‌‌‌更年期とは

更年期に不安を抱き、まるで緊急の疾患や障害のように考える女性は少なくありませんが、思春期と同じく、女性の加齢に伴って起こる正常かつ自然な変わり目なのです。唯一の例外は医学的閉経で、手術で卵巣を摘出した場合をはじめ、一部のがん治療や特定の自己免疫疾患などで起こるものです。

更年期は、自然に月経が永久停止することと閉経前後の時期を指します。

更年期の時期

ほとんどの女性は49〜52歳に更年期すなわち閉経期を迎えますが、女性の約5%は40代前半で閉経し、1%は40歳未満で早発閉経します。

遺伝(母親の閉経期など)、健康全般、生活習慣(喫煙者は非喫煙者よりも閉経が早い傾向)などによって、自然に更年期が決まります。

閉経周辺期とは

閉経周辺期とは、文字通り閉経前後を意味し、月経周期が不規則になる移行期を指します。例えば、ある月に月経期間が長くなったり、月経量が多くなったかと思えば、翌月は月経が来なかったりします。この時期は、更年期に伴う身体的な症状が合図となり、40代前半から半ばにかけて、閉経の4〜10年前に始まることが多いようです。

閉経後期とは

閉経後期または閉経後は、月経が1年以上来なかった状態を指します。月経が停止すると、ホルモンの変化や加齢、中年期のストレスなどにより、更年期に伴う症状が出ることがあります。

更年期障害の原因

更年期に伴う症状や生理的変化は、性ホルモンのバランスの変化によって引き起こされます。卵巣が毎月排卵しなくなると、エストロゲンとプロゲステロンという2つのホルモンの濃度が変動し始めます。エストロゲン濃度が高いと多量の出血や乳房の圧痛が生じやすくなり、低い場合は、ホットフラッシュ、寝汗、骨量減少、頭痛、不眠症などの症状が現れます。

‌‌更年期症状の管理に役立つサプリメント

更年期症状の治療には、主にホルモン補充療法(HRT)が用いられてきましたが、健康上のリスクがあるとされ、使用できない女性やなるべく使用したくないという女性が多いのが現状です。

推定では、女性の半数以上が症状の治療に補完代替医療を利用し、60%はこれらの代替医療が症状緩和に有効であると感じているようです。これらの実践方法として、心身鍛練法(瞑想、アロマテラピー、ヨガ)、全身療法(鍼治療、リフレクソロジー、ホメオパシー)、サプリメント(ビタミン、ハーブ、ミネラル)などが挙げられます。

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ここからは、更年期症状への効果が期待できるサプリメントをご紹介していきましょう。

メラトニン

メラトニンは、脳の内分泌器官である松果体(しょうかたい)で自然に作られるホルモンで、睡眠覚醒サイクルを調節する働きがあります。更年期症状として不眠症が多いことから、加齢と共に減少するメラトニンを摂取することで睡眠を改善できると考えられます。

メラトニンは睡眠を補助するだけでなく、ある小規模研究によると、3mgのメラトニンを摂取した女性は、対照群(研究中の治療を受けていない群)と比較して、閉経周辺期に多い身体的症状に改善が見られました。同研究では、メラトニンの補給が骨量減少の予防に役立つ可能性があることもわかりましたが、さらなる研究が必要です。

さらに、閉経周辺期の女性が3mgのメラトニンを6ヶ月間摂取した研究では、甲状腺機能や更年期うつに有意な改善が見られました。(注:日本国内のお客様へ:メラトニンを含む製品につきまして、iHerbでは2ヶ月分まで購入が可能です)

カルシウムとビタミンD

閉経周辺期にエストロゲン濃度が低下すると骨の健康に悪影響を及ぼすため、骨を保護するにはカルシウムビタミンDをはじめとする特定のビタミンやミネラルを十分に摂取することが大切です。

カルシウムの推奨栄養所要量は、18〜50歳の女性で1日1,000mgですが、50歳以降は1,200mgと増えます。食品からもサプリメントからも摂れるカルシウムですが、代表的な食物源には、乳製品や大豆製品の他、栄養強化飲料、魚(イワシなどの骨付き)、緑色葉野菜などがあります。

重要なのは、食品かサプリメントかにかかわらず、カルシウムの吸収を助けるビタミンDを十分に摂取することです。日光はビタミンDの自然な供給源ですが、肌の色が濃い人や高緯度地域に住む人を筆頭に、多くの人はビタミンD生成に必要な量の日光を浴びていません。米国医学研究所(現・全米医学アカデミー)では、1日平均400〜800 IUのビタミンD摂取を推奨していますが、それよりも高用量で、安全な上限値である1,000〜4,000 IUを推奨する研究もあります。

その他にも、骨の健康に重要な栄養素として、ビタミンCビタミンKカリウムマグネシウムなどが挙げられます。十分な量を摂取するには、植物性食品(特に果物、野菜、豆類)をたっぷり食べるのが一番ですが、年齢や性別に合ったマルチビタミンを摂取することで必要な栄養素を補うこともできます。また、コラーゲンペプチドを1日5g摂取すると、閉経後の女性の骨密度が増加するという研究結果も報告されています。

エストロゲン濃度の低下によって減少しがちな骨密度や筋肉量を増やすには運動も効果的です。その上でさらに筋肉量をサポートするには、タンパク質を十分に摂取することが大切です。50歳以上の女性のタンパク質の推奨栄養所要量は、50歳未満の女性よりも高く、体重1kgあたり1~1.5gとなっていることから、毎食20~25gを目安に摂取すると良いでしょう。

‌‌‌‌更年期に役立つハーブ療法

古来、女性達は伝統的なハーブ療法を用いて更年期や症状を管理し、うつ病や不安、不眠症から月経前症候群まで、あらゆる症状に対処してきました。睡眠を促し、不安を和らげるハーブとしては、バレリアンラベンダーパッションフラワーカモミールなどがよく知られています。

ハーブなどの植物は、体に働きかけるようにして治癒を促進するため、医薬品よりも穏やかに作用するのが特徴です。これらのハーブは錠剤やチンキ液の他、お茶でも摂取でき、製品によってはスムージー、スープ、シチューなどの食品に混ぜて使うこともできます。なお、植物療法の中には強力な作用のものもあるため、かかりつけ医に相談して自分に合ったハーブかどうかを確認することをお勧めします。現在では、多くの医師が補完医療や統合医療を診療に取り入れています。

他にも、更年期症状の管理に効果が期待できるハーブに以下のようなものがあります。

ブラックコホシュ

更年期障害の治療に最も多く使われ、広く研究されているハーブの一つがブラックコホシュです。アメリカ先住民によって初めて用いられたハーブであり、虫除けとして利用されていたことから英語でBugbane(虫の毒)とも呼ばれるブラックコホシュは、秋に根が収穫され、生のままか乾燥したものが薬用として使用されます。この植物には、免疫系や神経系に影響を与える化学物質が含まれており、エストロゲンの調節にも役立つと考えられています。

今後さらなる研究が必要ですが、ブラックコホシュエキスとセイヨウオトギリソウ(詳細は後述)を組み合わせたものとプラセボを比較したランダム化臨床試験では、更年期障害評価尺度のスコアが、プラセボ群での減少は19%にとどまったのに対し、治療群では半数が減少しました。また、治療群のうつ症状がプラセボ群よりも有意に改善されました。

セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ワート)

セイヨウオトギリソウは、古くからメンタルヘルスの増進に使用されてきた野生植物であり、ヨーロッパではうつ病治療に処方される他、栄養補助食品としても販売されています。

12週間にわたって1日3回摂取したセイヨウオトギリソウの効果を調べた研究では、このハーブ療法が更年期症状に悩む女性の心理的および心身的症状を大幅に改善したことがわかりました。別の研究では、セイヨウオトギリソウを投与された女性群は、対照群と比べて更年期特有のQOL(生活の質)が有意に向上し、睡眠の問題が減少した他、ホットフラッシュの減少も見られました。

ワイルドヤム

エストロゲン療法に代わる更年期症状の自然療法として知られるワイルドヤム(自然薯、じねんじょ)は、過去何世紀にもわたって中国伝統医学で更年期症状の治療に使用されてきた塊茎(かいけい。イモ類など、地下茎の一部が養分を蓄えて肥大したもの)です。クリームに利用されることの多いワイルドヤムにはジオスゲニンという化学物質が含まれており、研究でエストロゲンなどのさまざまなステロイドに変換されます。ワイルドヤムは体内ではエストロゲンに変換されないようですが、この植物にはエストロゲン様作用のある他の化学物質が含まれている可能性があります。

ワイルドヤムの効果を実証するにはさらなる研究が必要ですが、50人の女性を対象としたランダム化臨床試験では、1日2回、12mgのパープルヤム(和名、大薯、ダイジョ)を摂取したところ、対照群に比べて更年期症状(主に心理的症状)が大幅に改善したと報告されています。

トウキ(当帰)

漢方薬の主要な成分で、ニンジンやセロリと同じセリ科の植物であるトウキは、免疫力を高め、炎症を抑える目的でよく用いられるハーブです。トウキは「女性の朝鮮人参」とも呼ばれ、女性のホルモンバランスを整える治療薬としても、月経痛や更年期障害の治療にも使われています。

更年期症状に対するトウキの影響については、効果があるとする研究と有意な改善が見られないとする研究とが混在しています。トウキとカモミールを組み合わせてプラセボと比較した3ヶ月間のランダム化比較試験では、トウキを摂取した女性の90〜96%からホットフラッシュの頻度・強度共に臨床的に有意な改善が見られたと報告されました。

また、12週間のランダム化臨床試験では、トウキとブラックコホシュマリアアザミ(ミルクシスル)レッドクローバー、アメリカニンジン(別名セイヨウニンジン)、チェストベリーを組み合わせて摂取した女性は、ホットフラッシュと寝汗が大幅に減少しました。トウキが単独で効果を発揮するかどうかを見極めるには、さらなる研究が必要です。なお、トウキには薬剤や他のハーブとの相互作用が起こる可能性があるため注意が必要です。

マカ

ペルーのアンデス山脈原産のマカは、カラシの仲間であるアブラナ科の野菜で、その根は伝統医学で生殖能力と性欲の増進に使用されています。ペルーで料理によく使われるマカは、深い土の香りが特徴で、ビタミンC鉄分を豊富に含み、サプリメントとして摂取できる他、粉末状のためスムージーや料理にも加えやすいものです。

更年期症状の治療としてマカとプラセボを比較したランダム化臨床試験のレビューでは、マカの有効性について限定的ながらも良好なエビデンスがありました。一方、動物研究では、マカを補給することで閉経後の骨量減少を防ぐ可能性が示されています。

植物性エストロゲン

植物性エストロゲンは、エストロゲン濃度のバランスを調整すると考えられる植物性化合物であり、大豆、レッドクローバーフラックスシード(亜麻仁種子)、ホップなどの植物に含まれています。毎日の食事に大豆食品が欠かせない日本では、女性の更年期症状が大幅に少ないという報告があります。また、500件以上の研究をレビューした結果、「植物性エストロゲンは、深刻な副作用を伴わずに、更年期女性のホットフラッシュの頻度を減少させると見られる」と結論づけられました。

まとめ

更年期は、時期も症状も人それぞれであることを理解することが大切です。この時期を順調に通過する人もいれば、かなり苦しむ人もいます。更年期に差しかかったら、どのような状況であっても自分をいたわり、セルフケアを怠らないようにしましょう。

そこで、クリスティアン・ノースラップ博士の著書「The Wisdom of Menopause(更年期の知恵)」の一節を皆さんへのアドバイスとして終わりたいと思います。「更年期とは、意識的に関わることで、体、心、精神を最も深いレベルで変化させ、癒すことが大いに期待できる刺激的な成長段階なのです」

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