毎晩一定の時間帯に十分な睡眠をとることは、食事・運動と並び、健康の三本柱の一つとされています。誰もが夜の休息の重要性を認識し、しっかり眠った後の気分の良さについて、実感として知っています。それでも、寝付きが悪かったり、朝までぐっすり眠れない夜は誰にでもあるものです。

このように、多くの人が悩む睡眠障害は、生活の質に大きな影響を及ぼします。幸い、効果的に心と体のリラクゼーションをサポートし、快適な睡眠に導くことが研究で示されている化合物、ビタミン、ハーブなどがあります。こうしたサプリメントによる睡眠補助は、睡眠衛生習慣に欠かせないものとして人気が高まっています。

‌‌‌‌睡眠が健康に重要である理由

研究では、脳細胞の機能など、細胞の健康と睡眠との間に明確な相関関係が示されています。睡眠不足になると、体の回復に時間がかかり、気分が落ち込み、体調が不安定になり、集中力や注意力が低下します。そのため、1日7時間以上の睡眠が推奨されているものの、米国疾病予防管理センター(CDC)が行った睡眠障害に関する研究によると、アメリカ人の3分の1以上が、睡眠が7時間未満であることがわかっています。

さらに、米国睡眠医学会(AASM)と睡眠学会(SRS)も、「心身の健康を促進するために、成人は毎晩最低7時間の睡眠をとることを推奨する。1日7時間に満たない睡眠は、肥満、糖尿病、高血圧、心疾患、脳卒中といった慢性疾患の発症リスクの他、精神的苦痛が増加するリスクとも関連する」としています。

‌‌‌‌睡眠障害の主な原因

睡眠障害や睡眠機能障害には、なかなか入眠できない、夜中に何度も目が覚める、一度目が覚めたら再入眠できないなど、さまざまな症状が含まれます。このように睡眠の質が低下する原因は多数あります。

特に閉塞性睡眠時無呼吸症候群やナルコレプシー(いわゆる居眠り病)といった睡眠障害がない場合において、考えられる睡眠不足の原因には以下のようなものがあります。

  • 睡眠時間が短い(十分な睡眠に必要な時間が確保できていない)
  • 日中に強いストレスを受けているか、交感神経が過剰に活動している
  • カフェイン、ニコチン、アルコールなどの過剰摂取
  • 電子機器から受ける刺激やブルーライトによる弊害
  • 不安、うつ病、ホルモンバランスの乱れ
  • (旅行、仕事、社会交流などで)不規則なスケジュールによる概日リズム(約24時間周期の体内リズム)の乱れ
  • 夜寝る前の食事

‌‌効果の高い自然な睡眠補助サプリメント‌‌3種

1. マグネシウム

マグネシウムは、重要な細胞機能に使用される325種以上もの酵素過程の形成を助けるミネラルであり、人体にとって最も重要な栄養素の一つです。ところが、その重要性に反して、マグネシウム欠乏人口はアメリカをはじめ世界中で膨大な数にのぼります。

この栄養価の高いミネラルは、筋弛緩(きんしかん。筋肉の緊張をほぐすこと)、水分補給、エネルギー生産、アドレナリンの不活性化を助けると考えられています。マグネシウムを1日約500mg補給することで、不眠症を緩和し、睡眠の質を高める効果が期待できることがJournal of Research in Medical Sciences誌の研究で明らかになっています。

年齢を問わず効果が示されているマグネシウムは、水に溶かして美味しい風味が楽しめるパウダータイプも販売されており、子供から大人まで飲みやすいのが特徴です。また、マグネシウム入りの睡眠補助用グミも多く出回っており、相乗的なリラクゼーション効果が図れます。

2. メラトニン

メラトニンは、脳の内分泌器官である松果体(しょうかたい)から夜間分泌され、1日の睡眠・覚醒リズムを刻む概日リズム(サーカディアンリズムとも)を調節する自然な睡眠ホルモンです。何らかの生活習慣によって体内のメラトニン生成が十分に行われていない場合、メラトニンを増やす方法がいくつかあります。

以下のような食物には、メラトニンか、あるいはメラトニンを増やすのに役立つトリプトファンというアミノ酸が含まれています。

  • バナナ
  • モレロチェリー
  • ショウガ
  • トマト
  • ダイコン

また、メラトニンを増やすのに一般的な方法としてサプリメント摂取があります。ホルモンバランスの乱れは複数のホルモンが関与しているケースが多いことから、ほとんどの医師は性ホルモン、ストレスホルモン、甲状腺ホルモンの医学的検査ののち、メラトニンのサプリメントを推奨しています。(注:日本国内のお客様へ:メラトニンを含む製品につきまして、iHerbでは2ヶ月分まで購入が可能です)

3. レモンバーム(メリッサ)の葉

レモンバーム(学名 Melissa officialis)はシソ科の植物で、一般に薬草として、また料理の分野では爽やかな風味を活かした香りづけに用いられています。レモンバームの有効成分には、健康を維持するための抗酸化物質が含まれます。

このレモンバームには、鎮静と睡眠に効果があることが複数の臨床研究で示されています。ある二重盲検試験では、レモンバームの標準化エキスを600mg投与したところ、安定した気分を維持するだけでなく、全体的な落ち着きもサポートすることが示されました。

お茶の他、ハーブチンキやカプセルとして摂取できるレモンバームは、他の成分が配合された睡眠補助用グミとしても販売されています。

‌‌‌‌7つの簡単なステップで良質な睡眠衛生を実践

虫歯予防に歯科衛生が欠かせないように、健康的な睡眠サポートには睡眠衛生が不可欠です。ちょっとした睡眠準備を習慣づけることが安眠につながります。ここでは、そのヒントをいくつかご紹介しましょう。

1. 副交感神経系を活性化させる(「休息して消化する」状態)。

ジャーナリング(頭に浮かんだことを書き出す「書く瞑想」)、瞑想、マインドフルな食事、深呼吸、ヨガなどのリラクゼーション法は、今この瞬間に存在するという意識を持ち、交感神経系(「戦うか逃げるか」の状態)を鎮めるのに役立ちます。体を休ませるには、副交感神経が優位になる必要があります。

2. 遅くとも就寝の2時間前までに健康的な食事を済ませる。

夜、血糖値上昇の原因となる加工食品や化学物質を口にすると、アドレナリンなどのストレスホルモンが体中に送り込まれやすくなります。一方、化学物質、防腐剤、農薬などが無添加の食品は楽に消化されるため、短時間で体が休息状態に入りやすくなります。このことからも、体に良い脂質や多種多様なオーガニック植物性食品の他、ストレスの少ない環境で飼育された動物由来のタンパク質を摂取することが大切です。

3. 部屋を涼しく、暗くする。

研究によると、休息に適した室内温度の範囲は15〜20度です。暗い部屋も同様の効果があります。スマートフォンは寝室の外に置いて光を避け、目覚まし時計は背を向けて置くなど、できるだけ暗い環境を作りましょう。光が入ってしまうと、体に就寝時間を伝えるホルモンであるメラトニンが、分泌をやめてしまうからです。

4. 電子機器による刺激を抑える

なるべく就寝の2時間前までに電子機器の電源を切るように心がけましょう。蛍光灯の下で過ごしたり、コンピュータやスマートフォンの画面を見ている時間が長い方は、ブルーライトをカットするメガネを購入して、夕方頃から夜にかけて使ってみてはいかがでしょうか。また、日常習慣の補助として目の健康のためのサプリメントを使用するのも良いでしょう。

5. 寝る前の運動を控える。

確かに、毎日汗をかくのは必要なことですが、就寝前の3時間以内に運動をすると刺激が強すぎることがあり、コルチゾール(ストレスホルモン)が放出したり、目が冴えやすくなります。午後7時前なら、いつ運動しても構いません。

6. 起床時間の8時間前に睡眠時間を設定する。

毎晩11時までの決まった時間に就寝することを目標にしましょう。コルチゾールの急上昇が午後11時頃に発生しやすいため、その時間以降に起きていると必要以上に夜ふかししがちです。

7. 睡眠補助サプリメントを活用する。

今回ご紹介したマグネシウムメラトニンレモンバームの他にも、ビタミンB6アミノ酸、植物性化合物など、多くのミネラルやビタミンは、いずれも一貫して快適な休息をサポートすることが示されています。

電子機器による刺激をはじめ、仕事や家族の期待に応えてストレスが溜まることで睡眠習慣に乱れが生じるのはよくあることです。そんな時、自然な成分で眠りに誘う製品が簡単に手に入り、理想のリラクゼーション効果が得られるのは幸いです。

参考文献:

  1. Liu Y, Wheaton AG, Chapman DP, Cunningham TJ, Lu H, Croft JB. Prevalence of healthy sleep duration among adults — the United States, 2014. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. 2016;65(6):137–141. 
  2. Liu Y, Croft JB, Wheaton AG, et al. Clustering of five health-related behaviors for chronic disease prevention among adults, United States, 2013. Prev Chronic Dis. 2016;13:160054. 
  3. Abbasi B, Kimiagar M, Sadeghniiat K, Shirazi MM, Hedayati M, Rashidkhani B. The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial. J Res Med Sci. 2012;17(12):1161-1169.
  4. Kennedy DO, Scholey AB, Tildesley NT, et al. Modulation of mood and cognitive performance following acute administration of Melissa officinalis (Lemon balm), Pharmacol Biochem Behav (2002 Jul) 72(4):953-6