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海藻の健康効果が期待できる9つの例

著者:エリック・マドリッド医学博士

この記事の内容:


海藻は、古くから世界各地の沿岸地域に住む人々に収穫・摂取されてきました。中でも、日本では1人あたりの1日の海藻摂取量が5g超と世界一です。欧米でも、海藻はここ数年で急速に注目されるようになり、パリッと香ばしい乾燥海藻類がスナックとして広く食されるようになりました。また、食品のみならず、海藻はボディケア製品の成分としても定着しました。

海藻は、太陽光を利用してグルコース(ブドウ糖)を生産する光合成を行うことでエネルギーを生成しています。つまり、海藻類や植物プランクトンは大気に大きく貢献しているというわけです。大気中の酸素の90%は海から供給されると推定されています1そんな海藻なら、人体にも効果が期待できるとみて良いかもしれません。

‌‌‌‌3種類の海藻類

海藻類すなわち大型藻類は以下の3群に大別されます。

  1. 紅藻類(学名 Rhodophyta、紅藻植物門)– 通常、水深30mに生育。この紅藻類は、水質が良いほど深い場所に生育します。紅藻類の代表として海苔やダルスなどがあります。
  2. 緑藻類(学名 Chlorophyta、緑藻植物門)– 通常、浅瀬に生育。緑藻類の代表例には、クロレラスピルリナなどのいわゆる藍藻(らんそう)があります。
  3. 褐藻類(学名 Phaeophyceae)– 5〜30mに成長。コンブやワカメが代表的な褐藻類です。

‌‌ビタミンとミネラルの優れた供給源

海藻はビタミンB1、B2、B12Cの宝庫です。また、ほとんどの海藻類はβカロテンビタミンAビタミンEも豊富で、同じ大きさの陸生植物と比べて最大10倍以上ものミネラルが含まれています。海藻に含まれる主なミネラルとして、ヨウ素カルシウムマグネシウム鉄分カリウムナトリウムなどが挙げられます。

栄養密度の高い低カロリー食品である海藻には、レクチン、ペプチド、アミノ酸ポリフェノール(抗酸化物質)、多糖類なども含まれています。糖アルコールの一種であるソルビトールは紅藻類に、同じく糖アルコールのマンニトールは褐藻類に見られます。

研究報告によると、海藻に含まれるタンパク質は、血圧降下、糖尿病予防、腸の健康に効果があるとされる抗酸化物質が豊富です。2 以下、そのエビデンスについていくつかご説明していきましょう。

‌‌‌‌実証された血圧への影響

高血圧症は、動脈の圧力が高まり、柔軟性が失われて硬くなると、必然的に血液を送り出す心臓のポンプ作用が強くなることから生じる一般的な疾患です。全世界で何億人(およそ成人の4人に1人)もの患者が存在するこの病態は、症状が現れないことが多いため、高血圧と診断されずに放置されるケースが多く見られます。このことから、高血圧は「サイレントキラー」と呼ばれます。高血圧は、心臓発作、脳卒中、心不全、腎疾患のリスクを高めることが知られており、特に治療せずに放置すると重症化するおそれがあります。

血圧治療には薬物療法が重要な役割を果たしています。一方、なるべく代替治療法で対処したいと考える患者もいます。

2002年の研究3では、血圧へのクロレラ(緑藻類)の効果が評価されました。その結果、クロレラは軽度〜中等度の高血圧症のある被験者の一部に対し、プラセボと比較して血圧降下または少なくとも血圧安定に役立ったことが報告されました。

2009年の研究4では、メタボリックシンドローム(特に血圧)への海藻の全体的な効果も評価されました。同研究者らは、「平均的な日本人が摂取する1日4〜6gの海藻が、メタボリックシンドローム有病率の低さと関連している可能性がある」と結論付けています。

最後に、2011年の研究5では、海藻の摂取量が最も多い日本の子供においては、拡張期血圧(いわゆる「上の血圧」)が低いことが実証されました。さらに、日本における海苔に関する2020年の研究では6、「海苔を摂取した少年らの拡張期血圧が低下した。従って、海藻を摂取することで小児期の血圧上昇を抑える効果が期待できる」と結論付けられました。

‌‌‌‌血糖値コントロールに役立つ可能性

全世界に4億2200万人を超える糖尿病患者が存在します。その大多数(90~95%)を占めるのが、糖分の過剰摂取や運動不足などの生活習慣を主な原因とする2型糖尿病です。一方1型糖尿病は予防不可能で、免疫系が膵臓を攻撃し、インスリン分泌能力を妨げると発症します。つまり、2型糖尿病を発症するかどうかは、食事などの生活習慣が大きく関わってくるというわけです。研究によると、海藻は糖尿病対策にも役立つと考えられます。

2014年の研究7で、ワカメ(褐藻類)には白米を含む食事を摂取した人の血糖値を下げる可能性があることが示されました。

2015年の研究では、糖尿病患者にもクロレラの効果が期待できることが示されています。このように、緑藻類の摂取が糖尿病の発症予防に役立つ可能性があることがわかりました。

2019年の動物研究8では、糖尿病のマウスにおいても有効性が示されました。その結果、被験体の対照群と比較して、すべての海藻群で糖尿病とコレステロールが改善したことがわかっています。

更に2019の研究9では、ワカメが血糖値を下げることが示されました。また、同年に行われた別の研究10 で糖尿病のラットにおけるクロレラの効果を評価したところ、クロレラと身体運動が血糖値の改善に相乗効果をもたらすことが実証されています。

‌‌関節炎の症状を緩和する可能性

古来、人類は関節炎に悩まされてきました。現代医学の薬剤が登場する以前、人はただ痛みをこらえていたわけでなく、天然の薬草や有機食品を用いて関節炎関連の痛みを最小限に抑えようと工夫したものです。

関節炎の英語名Arthritisは、ギリシャ語で関節を意味する「arthron」と、炎症を意味するラテン語「itis」を起源とします。関節炎には主に2種類あります。一つは、加齢による退行性変化として通常膝と腰に発症する変形性関節症で、関節炎全体の最大95%を占めます。もう一つは、自己免疫疾患である関節リウマチ(最大5%)で、これは年齢にかかわらず発症します。

2008年の研究11では、膝関節炎の患者への紅藻ミネラル(Aquamin、アクアミン)の効果が評価されました。その結果、12週間にわたって痛みや凝りが減少したことが示されました。2009年の研究12でも同様の結果が得られています。膝関節炎への海藻由来物質の効果が評価されたこの研究では、変形性膝関節症患者の関節可動域と歩行距離において、アクアミンのプラス効果が見られたとの結論が下されました。さらには、アクアミンによる12カ月間の治療で、NSAID(非ステロイド性抗炎症薬)の部分的な使用中止もあり得ると報告されています。

‌‌‌‌腸の健康に役立つ栄養素が豊富

プロバイオティクスプレバイオティクスは、最適な腸の健康づくりに役立ちます。食物繊維の宝庫である海藻は、健康な腸内マイクロバイオーム(腸内微生物叢)の維持に役立つと考えられます。2019年の研究13では、海藻にプレバイオティクス特性があることが示されました。2016年の研究14によると、この特性の要因は藻類の多糖にあります。

‌‌‌‌白内障予防に役立つ可能性

白内障は、加齢と共に目の水晶体が濁ることで発生します。放置すると失明につながるおそれがあります。白内障の主な原因は水晶体の酸化と考えられます。白内障発症の危険因子には、過度の紫外線曝露をはじめ、喫煙、糖尿病、高血圧の他、経口コルチコステロイドのような特定の薬剤があります。

2003年に行われた15クロレラ研究では、「(…)抗酸化性を有するクロレラは、白内障などの糖尿病合併症予防への効果が期待できる」との結論が出されています。更に2013年16と2014年の研究では、スピルリナの有効成分であるフィコシアニンが白内障の形成予防に役立つと考えられることが示されました。

‌‌‌‌免疫機能の強化に役立つ可能性

感染症の予防には、適切に機能する免疫系が不可欠です。ここでも海藻が一役買うかもしれません。IgA(免疫グロブリンA)は、口腔粘膜や消化管粘膜といった粘膜を感染症から守るのに役立つ抗体です。

2011年の研究17では、クロレラ由来のサプリメントを4週間摂取すると、ヒトの免疫機能が向上すると結論付けられました。2018年の研究18では、消化管サポートに役立つと考えられるクロレラの免疫促進効果が、微生物対策に有効である可能性も示されています。

‌‌‌‌線維筋痛症の症状軽減に役立つ可能性

線維筋痛症症候群(FMS)とも呼ばれる線維筋痛症は、筋肉痛、全身痛、疲労感を特徴とする慢性疼痛症候群です。この筋肉痛は通常、びまん性(広範囲)の痛みを伴うものです。この疾患の患者数は、アメリカだけでもおよそ1千万人、世界全体では1億人以上に及びます。そのうちの90%は女性です。研究によると、線維筋痛症患者の68%が、症状改善を図ろうと栄養補助食品を使用した経験があることがわかっています19

最後に、2000年の研究20では、クロレラが線維筋痛症の患者に有効である可能性が示されました。ただし同研究者は、さらなる研究が必要であったと述べています。2001年の研究では、クロレラに関する同様の結果が示されています。

参考文献:

  1. https://www.americanscientist.org/article/the-science-of-海藻類
  2. Admassu H, Gasmalla MAA, Yang R, Zhao W. Bioactive Peptides Derived from 海藻類 Protein and Their Health Benefits: Antihypertensive, Antioxidant, and Antidiabetic Properties. J Food Sci. 2018;83(1):6‐16. doi:10.1111/1750-3841.14011
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