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ケルセチンがもたらす健康と免疫系への効果に関する早わかりガイド

著者:マイケル・マレー博士、自然療法医

この記事の内容:


‌‌‌‌ケルセチンとは?

ケルセチンは、免疫系の健康への効果が科学的に研究されていることから、このところ大きな注目を集めています。その具体的な研究内容とは、呼吸器の免疫力を高める作用や亜鉛による抗ウイルス効果の一部を増幅させる役割です。

ケルセチンは、多くの果物や花の色の元となる植物色素であるフラボノイドの一種です。フラボノイドは、多くの食品やハーブスパイスの健康効果にも関与しています。例として、ベリー類やダークチョコレートの他、大多数のハーブエキス(イチョウグレープシードパインバーク(松樹皮)マリアアザミ(ミルクシスル)など)の有益な効果は、フラボノイド含有量に直接関連していることがわかっています。

‌‌ケルセチンの4つの健康効果

フラボノイドには、環境やその他の生物学的問題に対する体の反応を高めるという驚異的な能力が備わっています。ケルセチンは、実験研究において一貫して最も活性の高いフラボノイドであることから、体に高い抵抗力が求められる際に最適な選択と言えます。

1. 細胞保護に期待できるケルセチン

ケルセチンは、細胞修復を促すなど、細胞内の有益な効果を促進する「ONスイッチ」として機能すると同時に、細胞が損傷や感染から自己防衛するよう助ける「OFFスイッチ」としても機能できます。

2. 有望視されるケルセチンの強力な抗酸化作用

高い抗酸化作用を持つケルセチンは、酵素の抗酸化系を強化して生物学的ストレス(免疫活性化、炎症、アレルギー)発生時に体をサポートします。

3. 炎症抑制に期待できるケルセチン

ケルセチンは炎症性メディエーターの生成と放出を抑制します。炎症性メディエーターとは、炎症を抑えようとする体の状態を悪化させる化合物です。

4. 免疫力向上に期待できるケルセチン

ケルセチンは免疫系の健康に特殊な効果を発揮し、呼吸器の免疫力アップ促進に役立つと考えられます。実際、免疫機能への効果に加えて、ケルセチンにはイオン性亜鉛の細胞内濃度を上昇させる作用もあることから、昨今注目が高まっています。遊離イオン状態にある亜鉛は、ウイルスがヒト細胞内で複製するために使用するレプリカーゼという酵素を阻害します。また、ケルセチンは、イオノフォアと呼ばれるチャネルを通じて、イオン性亜鉛の細胞内への移動を促進します。

‌‌‌‌ケルセチン、運動能力、免疫に関する臨床研究

最も科学的に研究されているケルセチンの用途の一つは、最適な運動パフォーマンスをサポートすることです。

ケルセチンには、運動パフォーマンスの向上に若干の効果があることがさまざまな臨床研究で示されています。例えば、エリートサイクリストの男性11人を対象としたある研究では、6週間のケルセチン補給(1日1000mg)で、30kmのタイムトライアルのパフォーマンスが3.1%改善されました。1この小さな改善が、エリートアスリートにとっては極めて重要な意味を持つことがあります。

サイクリスト対象の別の研究では少々驚きの発見がありました。同研究では、熟練の男性サイクリスト40人が最大負荷約57%で1日3時間サイクリングを行った3日間の期間前と期間中、さらに2週間後にもケルセチン(1日1000mg)、またはプラセボが投与されました。その結果、ケルセチンには身体能力向上の他にも効果があることがわかりました。

3日間にわたって激しい運動を行った後の14日間で、上気道うっ血などの呼吸器症状を発症したサイクリストは、ケルセチン投与群では20人のうちわずか1人だったのに対し、プラセボ群では20人中9人に及びました。2

とはいえ、これは特に意外な結果というわけではありません。白血球の機能に数多くの効能を持つケルセチンは、呼吸器系ウイルスに対して保護作用を発揮するからです。ケルセチンは、必要とされる部位に白血球を移動しやすくし、 異質分子を破壊する能力を高めるのに役立つと考えられます。細胞培養におけるケルセチンは、さまざまな経路を介してウイルスの複製率だけでなく、ヒト細胞への多種多様なウイルスの感染力も低下させることがわかりました。3

この目覚ましい結果が、18〜85歳の成人1002人を対象としたフォローアップ試験につながりました。4この試験の目的は、風邪すなわち上気道感染症(URTI)の症状に対する2通りのケルセチン投与量(1日500mgと1日1000mg)の効果をプラセボと比較して測定することでした。

被験者らは、12週間にわたってケルセチンサプリメントを摂取し、URTIの症状を毎日記録しました。全体として有意な効果は認められなかったものの、40歳以上の被験者を対象に2群間の違いを調べたところ、ケルセチンを1日1000mg摂取すると、プラセボ群と比べて呼吸器症状が36%、総病欠日数が31%少なかったことがわかりました。

これらの結果が示唆するのは、ケルセチンは1日1000mgの摂取で免疫機能の改善に何らかの効果を発揮する可能性があることです。他群で効果を示すには、投与量を増やすか、バイオアベイラビリティ(生物学的利用能)の高いケルセチン製剤の使用が必要と思われます。

‌‌‌‌ケルセチン、亜鉛、ビタミンCとの相乗効果

何らかの直接的なウイルス感染予防作用があるケルセチンですが、その主な効果は、非未結合性の遊離亜鉛の細胞への輸送を促進する作用で知られる、イオノフォアによるものかもしれません。

遊離イオン状態の亜鉛は、多数のウイルス複製を阻害することができます。多くのウイルスに感染された細胞は、遺伝暗号の一部と共にレプリカーゼ(複製酵素)を挿入することから、ウイルスが複製されてしまいます。亜鉛はこのレプリカーゼを阻害できるため、ウイルスの複製や感染拡大も阻止できるというわけです。これが、風邪対策として亜鉛が推奨される理由の一つです。

ただし、亜鉛がウイルス性レプリカーゼにこのような効果を発揮するには、イオンが細胞内に流入できるように、特殊な細胞膜チャネル「イオノフォア」が開いた状態でなければなりません。ケルセチンは、細胞内のイオン性亜鉛濃度を高めてウイルス複製から保護するために、亜鉛イオノフォアとして作用することができます。上記の研究で報告された呼吸器感染症の減少は、ケルセチンのこの効果によるものであると考えられます。5

ケルセチンが手を組むもう一つの栄養素、それはビタミンCです。試験管内研究でビタミンCとケルセチンを組み合わせると、免疫増強作用と抗ウイルス作用が相乗的に機能し、どちらか一方を単体で加えた場合よりも優れた結果が得られます。6

ビタミンCは、体内で活性ケルセチンを再生することもできます。抗酸化物質がフリーラジカルを中和する機能を果たすと、常に不活性型に変化します。ケルセチンの場合は、ビタミンCがケルセチンを活性型に再生できるのです。このことからも、食事やサプリメントでビタミンCを十分摂取することが肝心です。

ビタミンCを多く含む食物(ベリー類、柑橘類、マンゴーなどの果物、緑色葉野菜、ブロッコリー、ピーマンなど)を日常的に摂取する他、サプリメントによるビタミンC補給も推奨されています(最低でも1日60mg、最適なサポートを目指すなら250mg以上)。

‌‌‌‌ケルセチンの吸収に関する問題

ヒト吸収性研究では、ケルセチンは吸収されにくく、個人によってばらつきが大きいことが示されています。

ケルセチンの吸収問題への対処法として、LipoMicel Matrix™に含まれるケルセチン錯体を用いた画期的な解決策があります。この新技術は、通常のケルセチン粉末より吸収率を10倍も高める独自のプロセスを利用したものです。

リポソームとは?

リポソームとは脂質二重層から成る小胞のことで、水と水溶性の有効成分で構成された内部区画を保護します。一例として、ビタミンCのような水溶性成分は、リポソーム構造によって内部区画内で保護されています。

水溶性ではないためケルセチンのリポソームは不可能ながら、LipoMicel Matrix™を製造する技術利用にはケルセチンが最適な候補となります。

ミセルとは?

ミセルは、リポソームと比べると裏と表というほど大きく異なります。具体的に言えば、ミセルを作る脂肪物質には、外層に親水性の(水に溶けやすい)「頭」と、内層に親油性の(脂肪や油に溶けやすい)「尾」があります。

LipoMicel Matrix™に含まれるケルセチンなら、ケルセチンが水に溶けにくいという問題が解決できます。ケルセチンは親油性であることから、LipoMicel Matrix™の生産過程でミセルの中心にある脂質分子の尾で固定されます。こうして形成されるミセルは非常に小さいため、LipoMicel Matrix™内のケルセチンが水に溶けるようになるわけです。実際に、 Natural FactorsのケルセチンLipoMicel Matrix™が入ったソフトジェル製品の中身をコップ1杯の水に絞り出せばさっと混ざります。ミセルは、油と水やケルセチンと水など通常は混合不可能な物質の混合物「ナノエマルジョン」の製造によく用いられます。

‌‌‌‌ケルセチンの用量について

前述の通り、通常のケルセチンは水に溶けにくいため吸収性が悪いのが難点です。それでも、臨床試験では1日1000mgを摂取した場合のケルセチンの効果がいくつか報告されています。

従って、科学文献によると、一貫して高い血中濃度を保つ高吸収型ケルセチンなら優れた結果が望めそうです。

Natural FactorsのケルセチンLipoMicel Matrix™の投与量は1日250~500mgです。ソフトジェルカプセル1粒あたり、LipoMicel Matrix™内のケルセチンが250mg含まれています。予備的な吸収データでは、この高吸収型ケルセチンの吸収率が通常の5~10倍と示されています。つまり、ケルセチンLipoMicel Matrix™のカプセル1粒には、通常のケルセチン粉末の1250~2500mgの生物学的同等性があります。ケルセチンLipoMicel Matrix™を1日2粒摂取することで、生物学的同等性が通常のケルセチンの2500~5000mgに増加するということになります。

‌‌‌‌ケルセチンの安全性と薬物相互作用

どの形態でもケルセチンはヒトにおける忍容性が良好で、臨床研究で副作用は報告されておらず、用量を増やしても副作用は考えにくいものです。

なお、重要な点として、ケルセチンには特定の薬剤(ビンブラスチン、シクロスポリン、ジゴキシン、フェキソフェナジン、ロサルタン、ニフェジピン、フェロジピン、ベラパミル、テルフェナジンなど)の腸からの取り込みを促進する可能性があることを挙げておきます。毒性を回避するために、上記のような薬剤の用量を減らす必要がある場合があります。

例によって、食事や生活習慣を変更する際は、まず事前にかかりつけ医に相談し、適切な監視下で実施することが大切です。

参考文献:

  1. MacRae HS, Mefferd KM. Dietary antioxidant supplementation combined with quercetin improves cycling time trial performance. Int J Sport Nutr Exerc Metab. 2006;16(4):405-419.
  2. Li Y, Yao J, Han C, et al. Quercetin, Inflammation and Immunity. Nutrients. 2016;8(3):167.
  3. Nieman DC, Henson DA, Gross SJ, et al. Quercetin reduces illness but not immune perturbations after intensive exercise.  Med Sci Sports Exerc  2007;39;1561–1569.
  4. Heinz SA, Henson DA, Austin MD, et al. Quercetin supplementation and upper respiratory tract infection: a randomized community clinical trial.  Pharmacol Res  2010;62:237–242.
  5. Dabbagh-Bazarbachi H, Clergeaud G, Quesada IM, et al. Zinc ionophore activity of quercetin and epigallocatechin-gallate: from Hepa 1-6 cells to a liposome model. J Agric Food Chem. 2014 Aug 13;62(32):8085-93.
  6. Colunga Biancatelli RML, Berrill M, Catravas JD, Marik PE. Quercetin and Vitamin C: An Experimental, Synergistic Therapy for the Prevention and Treatment of SARS-CoV-2 Related Disease (COVID-19). Front Immunol. 2020;11:1451. 
  7. Riva A, Vitale JA, Belcaro G, et al. Quercetin phytosome® in triathlon athletes: a pilot registry study. Minerva Med. 2018 Aug;109(4):285-289.
  8. Kawai Y. Understanding metabolic conversions and molecular actions of フラボノイドs in vivo:toward new strategies for effective utilization of natural polyphenols in human health. J Med Invest. 2018;65(3.4):162-165.
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