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PEAの保護力と免疫系

著者:マイケル・マレー博士

この記事の内容 :


21世紀に出現した最も注目の栄養化合物の一つ それが パルミトイルエタノールアミド(PEA)です。栄養補助食品として、既に全世界で100万人以上が使用するこの脂肪物質は、細胞機能の調節に役立つ体によって生成される生理活性脂質類に属します。PEAは、今から60年以上前、ラットとモルモットの脳、肝臓、筋肉の抽出物から分離された際に、生物学的活性因子として同定されました。その後、鶏の卵黄、オリーブオイル、ベニバナ、大豆レシチン、ピーナッツミールなどの食品に含まれる栄養素であることがわかりました。この価値ある化合物は、体内への供給を高めるために栄養補助食品として使用されてきました。

PEAは人体でどのように作用するのでしょう?

PEA は人体内で自然発生し、エンドカンナビノイドシステム(ECS)と連携して作用します。1 いわば指揮者として機能するECSは、化学的メッセージを送り、健康と心身の充実感に重要な全身の生物作用を誘発します。この微妙なバランス調整の結果は、恒常性(ホメオスタシス)を生み出すことです。恒常性とは、たとえ外部の変化に直面しても、体内環境でバランスを維持して健康を促進するための、全細胞および全身の内蔵ドライブと言えるものです。

PEAそのものは、「分解性脂質シグナル伝達分子」と呼ばれます。この言葉は、PEAが細胞内の中央制御メカニズムに影響を与え、細胞ストレスや炎症につながる要因を分解する能力があることを意味します。この極めて有益な効果は、20件以上の二重盲検ヒト臨床試験における栄養補助食品としての使用を含め、600件を超える科学調査で実証されています。2 

PEAは本来、疾患治療薬としては機能していません。それどころか、既成の栄養補助食品としてのPEA摂取は、特に体に必要とみられる時期に、全身の細胞内に十分なPEA濃度を確保するための対策にすぎません。PEA以外のいわゆる「条件付き必須栄養素」である コエンザイムQ10、 αリポ酸、 カルニチンなど、正常な身体過程に欠かせない多数の化合物でも同様の状況が存在します。疾患によっては、発症すると、体がこれらの化合物を十分に生成しなくなったり、需要が高まるものがあります。

PEAは、細胞保護効果を発揮します。つまり、細胞を損傷から保護するわけです。中枢細胞機能だけでなく、細胞膜の脂肪性基質にもこの効果を発揮します。1973年に行われた画期的な研究では、PEAを与えられたマウスの肝細胞の細胞膜にも、細胞のエネルギー生成区画である細胞ミトコンドリアの膜にも、構造的および機能的な変化が示されました。3 細胞膜に組み込まれたPEAは、細胞とミトコンドリアを損傷から保護する能力が高まりました。この研究をきっかけに、別の研究者らが徹底調査を行った結果、細胞が損傷を受けていたり、酸素供給が十分でない場合、PEAが細胞膜に組み込まれて保護と機能向上につながるよう、体がPEA生成を増やし、この損傷を相殺しようとすることがわかりました。PEAのこの基本効果は、「分解性脂質シグナル伝達分子」としての役割の影に隠れて目立たないものの、細胞機能への総合的なメリットにとっては非常に重要なものです。4 

PEAが免疫の健康に与える影響とは?

体内の全免疫細胞に対する PEA の作用は、PPAR(ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体またはペルオキシソーム増殖剤応答性受容体)と呼ばれる受容体への効果を通じて、細胞機能のあらゆる側面の中核を成すものです。これらの化合物は、細胞の遺伝暗号の発現調節において機能する核内受容体タンパク群です。つまり、細胞が機能調整に用いる化学物質を生成するための遺伝暗号発現に関して、細胞のハードウェアまたはコンピュータであるDNAに、行動を指示するソフトウェア機能を果たすのがPPARというわけです。PPARは、代謝やエネルギー生成など、あらゆる細胞機能で重要な役割を果たします。脳内でも、PPARは精神機能と気分に影響を与えます。免疫系機能サポートへのPPARの効果は、感染や炎症に対する反応のバランス維持に大変重要です。2,4

免疫の健康と呼吸器機能をサポートするPEAの能力について、1971年から1975年にかけて、5件の二重盲検プラセボ対照臨床試験が行われました。5 その後、PEAに関する研究分野は、感染過程の身体サポートから、炎症中のPEAの役割に焦点が移ったようです。ただし、これらの過程には、共通する基本的な生理的特徴が多数見られます。時には、表裏一体と言えることもあります。例えば、脳から細胞残屑(ざんせつ)を除去して炎症を抑え、脳細胞機能を改善する要因である免疫細胞に作用することにより、脳の健康をサポートするPEAの優れた効果が示されています。6 マクロファージへの影響についても同様です。マクロファージとは、微生物や粒子状物質を貪食し(取り込み)、破壊する大型の組織ベースの白血球です。7

PEAと免疫の健康に関して行われた初のヒト臨床研究には、旧チェコスロバキアのシュコダ自動車工場の従業員計444人が参加しました。同研究では、1日あたり PEA 600mg x 3回(1日の総投与量1800mg)が12日間にわたって投与されました。ボランティア参加者らは、喉の痛みや鼻水・鼻づまりをはじめ、湿性咳(痰を伴う咳)・乾性咳(空咳)など、呼吸器問題が疑われる症状の他、発熱、関節痛、倦怠感、疲労といった関連症状の有無が評価されました。その結果、PEAを投与された被験者群は、プラセボ群と比較して症状の発現数が少ないことがわかりました。鼻水・鼻づまりや咳などの呼吸器症状へのPEAの影響は比較的少なかったものの、発熱や疼痛などの関連症状では、PEA群がプラセボ群より45.5%も少ないことがわかりました。8 

免疫の健康に関する第2のPEA研究では、ある陸軍部隊に属する健康な18〜20歳のボランティア899人に、PEAまたはプラセボのいずれかが9週間にわたって投与されました。兵士が選ばれたのは、集団で生活・行動することから、免疫に問題が発生すると、感染が発生しやすいためです。最初の3週間のPEA投与量は1日あたり600mg x 3回で、その後は、1日600mg x 1回の単回投与に基づく6週間の継続段階に入りました。結果として、PEA群の総病欠日数がプラセボ群より第6週で40%減、第8週で32%減など、有意な減少が見られました。9 

これらの結論を検証するために、1973〜1975年には、兵士を対象とした試験がさらに3件行われました。同兵士らの血液測定および臨床評価で確認された通り、全3件の試験で、免疫系に対するかなりのサポートが示されました。これらの臨床試験はいずれも、PEAには明らかな健康効果があり、副作用は報告なしという結論に至っています。8 

サイトカインストームとは?

感染期間中、免疫系はサイトカインと呼ばれる多数のシグナル伝達化合物の生成を増加させることにより反応します。特に悪性の感染症では、免疫系がこれらの化合物を過剰に生成してしまい、「サイトカインストーム」と呼ばれる現象が発生することがあります。この過剰な免疫反応は、深刻な結果につながるおそれがあります。サイトカインストームは制御不能な免疫系であり、健康な人間の細胞を含め、あらゆる対象を手当たり次第に攻撃・破壊します。 

ウイルスは残酷にも、生存のためにヒト細胞内にシェルターを見つけて増殖します。感染細胞は別として、ウイルスは免疫系にとって比較的中和しやすい標的です。ヒト細胞内で免疫系は、細胞傷害性T細胞およびNK(ナチュラルキラー)細胞と呼ばれる白血球の特殊部隊に依存しています。これらの特殊部隊は、他の白血球から放出されるサイトカインによって生じます。細胞傷害性T細胞とNK細胞が体内を徘徊し、感染細胞の死滅を試みます。これらの感染細胞は、信号を発して、殺してくれと言わんばかりに化学的に挑発するわけです。ただし、常にそうとは限らず、サイトカインストーム状態では、免疫系が過剰なサイトカイン量に刺激を受けすぎ、接触するあらゆる対象を破壊し始めます。免疫細胞は感染細胞と健康細胞を区別できません。これが重大な炎症と組織破壊を引き起こし、肺炎や臓器不全、さらには死に至る場合も少なくありません。

PEAは免疫反応のバランスを促進できるのでしょうか?

前述の通り、 PEA には細胞を損傷から保護する働きがあり、サイトカイン、T細胞、NK細胞を生成するメカニズムを含む、細胞内の中央制御メカニズムに影響を与えます。免疫系の炎症反応における正常なバランスをサポートするPEAの能力は広く知られています。このバランス作用は、PPARへの影響だけでなく、炎症に伴うサイトカインやその他の化合物の生成と分泌にも関連しています。サイトカインの影響を抑えたり、調節したりするPEAの能力は、免疫系に問題が生じると、免疫系機能の維持に役立つと考えられます。10,11

PEAの推奨用量 

最近の研究で使用されている PEA 投与量は1日あたり300〜600mg x 2回です。一部の初期研究で使用された投与量は、1日最大600mg x 3回でした。なお、全研究で副作用や薬物相互作用は一切発生していません。PEAは完全と言っていいほど安全かつ非毒性です。

References:

  1. Tsuboi K, Uyama T, Okamoto Y, Ueda N. Endocannabinoids and related N-acylethanolamines: biological activities and metabolism.Inflamm Regen. 2018 Oct 1;38:28. 
  2. Petrosino S, Di Marzo V. The pharmacology of palmitoylethanolamide and first data on the therapeutic efficacy of some of its new formulations.Br J Pharmacol. 2017 Jun;174(11):1349-1365.
  3. Obermajerova H, Masek K, Seifert J, Buchar E, Havlik L. Structural and functional changes in liver mitochondria of mice fed palmitoylethanolamide (PEA) Biochem Pharmacol. 1973;22:2529–2536.
  4. Hesselink JM. Evolution in pharmacologic thinking around the natural analgesic palmitoylethanolamide: from nonspecific resistance to PPAR-α agonist and effective nutraceutical.J Pain Res. 2013 Aug 8;6:625-34. 
  5. Hesselink JM, Boer T, Witkamp RF.Palmitoylethanolamide: A Natural Body-Own Anti-Inflammatory Agent, Effective and Safe against Influenza and Common Cold.Int J Inflam. 2013; 2013: 151028.
  6. Skaper SD, Facci L, Giusti P. Glia and mast cells as targets for palmitoylethanolamide, an anti-inflammatory and neuroprotective lipid mediator.Mol Neurobiol. 2013 Oct;48(2):340-52.
  7. Pontis S, Ribeiro A, Sasso O, Piomelli D. Macrophage-derived lipid agonists of PPAR-α as intrinsic controllers of inflammation.Crit Rev Biochem Mol Biol. 2016;51(1):7-14.
  8. Masek K, Perlik F, Klima J, Kahlich R. Prophylactic efficacy of N 2 hydroxyethyl palmitamide (Impulsin) in acute respiratory tract infections.European Journal of Clinical Pharmacology. 1974;7(6):415–419. 
  9. Kahlich R, Klima J, Cihla F, et al.Studies on prophylactic efficacy of N-2-hydroxyethyl palmitamide (Impulsin) in acute respiratory infections.Serologically controlled field trials.Journal of Hygiene Epidemiology Microbiology and Immunology. 1979;23(1):11–24. 
  10. Berdyshev EV, Boichot E, Germain N, Allain N, Anger JP, Lagente V. Influence of fatty acid ethanolamides and delta9-tetrahydrocannabinol on cytokine and arachidonate release by mononuclear cells.Eur J Pharmacol. 1997 Jul 9;330(2-3):231-40.
  11. Orefice NS, Alhouayek M, Carotenuto A, et al.Oral Palmitoylethanolamide Treatment Is Associated with Reduced Cutaneous Adverse Effects of Interferon-β1a and Circulating Proinflammatory Cytokines in Relapsing-Remitting Multiple Sclerosis.Neurotherapeutics. 2016 Apr;13(2):428-38.
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