人体には、免疫機能、筋力、ミネラルバランス、代謝の健康を調節する重要な器官と組織の集合体である筋骨格系があります。年齢を重ねても、筋骨格系には、高い代謝や気分を保ち、転倒や骨折を防ぐだけでなく、感染症や早期死亡を予防する力が備わっています。

これは驚くべき機能と言えます。

では、筋骨格系の中でも特に重要な部分である骨の健康を維持するには、自然療法、食事、生活習慣をどのように取り入れて活用すれば良いのでしょうか。この記事で、その方法を詳しくご紹介していきましょう。

‌‌‌‌骨の仕組みと働き

実は、意外にも骨は器官と考えられています。というのも、骨は単に体を支えたり動かすだけでなく、実際には生きた組織であり、独自の血液供給を持つためです。出生時の人体にある270個の骨は、成長と共に融合、形成、再形成を経て変化していき、平均的な成人は206〜217個の骨で発達が完了します。

その間、骨は血液の恒常性(別名ホメオスタシス。体外環境が変化しても体内の環境を一定に保とうとする体の仕組み)を保つために重要な免疫細胞、赤血球、ミネラルなどを供給します。また、肺や心臓などの重要な器官を守るのも骨の役割です。年齢を問わず、コラーゲンやミネラル、ハイドロキシアパタイト(またはヒドロキシアパタイト。骨や歯の主成分であるリン酸カルシウムの一種)などの主成分が含まれる骨を丈夫に保つことは、転倒時の骨折予防につながります。

では、自分の骨の健康状態を知り、骨の機能に関する科学的根拠に基づく最適な自然療法で丈夫な骨を保つにはどうすれば良いのでしょうか。

‌‌骨密度とは

骨密度を正確に測定するにはDEXA(デキサ)法という検査方法が用いられます。DEXAとは二重エネルギーX線吸収測定法(Dual-Energy X-ray Absorptiometry)の略で、皮膚などの組織を透視して骨を可視化できるという点で、医療機関で受ける通常のX線検査と似ています。ただし、X線検査と異なり、骨密度が測定できるのがDEXA法の特徴です。

簡単に言えば、(稀な例外を除いて)骨密度が高いほど健康です。DEXA法で検査されると、その測定値に基づいて、当該人口集団で最も健康な人の骨と比較された数値が算出されます。治療が必要なほど数値が正常値を下回っている場合は、一般に低骨密度、骨減少症、骨粗しょう症(こつそしょうしょう)のいずれかと診断されることになります。

その上で、年齢や危険因子をはじめ、骨折の有無に基づいて、定期的にDEXA検査を受けるように推奨されるはずです。体の外から見ることも測定することもできない貴重な情報が得られるDEXA検査は、是非受けることをお勧めします。もし低骨密度であるなら、早期に検出されるほど早期の治療・回復につながります。これこそまさに予防医学と呼ばれるものです。

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‌‌‌‌骨はどのように作られ、維持できるのでしょうか

骨を作るという言葉の本当の意味は、骨代謝回転(骨のターンオーバー)を減らし、骨芽細胞(こつがさいぼう。骨組織で骨形成を行う細胞)の活動を高めて新しい骨基質を作ることで骨密度を高めるということです。これは少し複雑ですので、詳しくご説明しましょう。

骨代謝回転が減少すると、破骨細胞(骨を破壊すなわち吸収する細胞)が既存の骨を吸収する割合が低下することで、今ある骨が長期間維持できるようになります。骨の代謝回転は、破骨細胞による骨吸収が起こったのち、骨芽細胞によって骨形成が行われます。

骨芽細胞の働きが活発になると既存の骨が強化され、カルシウム、ストロンチウム、ホウ素といったミネラルから新しい骨組織が作られる割合が高まります。これが、今ある骨を丈夫にする近道と言えるでしょう。

エストロゲン(女性ホルモン)などのホルモンは、一定の速度での骨吸収と骨形成のバランス維持を助けます。若い人や閉経前の女性の骨粗しょう症リスクが低い傾向にあるのはこのためです。甲状腺ホルモンや副甲状腺ホルモンも、副腎から分泌されるコルチゾール(ストレスホルモン)と同様に、この働きを調節する上で重要な役割を果たしています。更年期の方や甲状腺に問題のある方は、骨を作るための具体的な方法について主治医に相談し、処方薬、サプリメント、生活習慣、栄養などを組み合わせた全体的なアプローチで問題解決を図ることをお勧めします。

‌‌‌‌骨の健康に最適なサプリメント

骨密度をサポートするカルシウム

骨を作るのは、摂取した食品や飲料だけです。骨は、そのほとんどがカルシウムでできているため、毎日の食事で十分なカルシウムを摂取することが大切です。米国食品医薬品局(FDA)が大半の成人に推奨するカルシウムの摂取量は、1日1000mg以上です。優れたカルシウム源として、ヨーグルト、オレンジジュース、モッツァレラチーズ、牛乳、イワシ、大豆、サケなどが挙げられます。成人の30%はカルシウム欠乏と言われていますが、上記のような食品を頻繁に摂取していない方はそれに該当するかもしれません。その場合は、1日約600~1200mgのカルシウムを含む良質なカルシウムサプリメントで不足分を補うと良いでしょう。なお、喫煙者やコレステロール値の高い方にはカルシウム補給が安全とは限らないというエビデンスがあるため、カルシウムサプリメントを摂取する前に必ずかかりつけ医にご相談ください。また、カルシウムは他のミネラルと吸収を競い合うため、ほとんどのマルチビタミンには推奨食事摂取量を満たすだけのカルシウムが含まれていません。そのため、長期的に食事の不足分を補うには、十分にカルシウムを摂取できるサプリメントかどうかを医師等に確認した上で摂取することが肝心です。

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骨形成を助けるビタミンD

骨の健康にはビタミンDを十分に摂取することも欠かせません。ビタミンDには、摂取されたカルシウムを消化器系で吸収させたり、副甲状腺から骨の成長を促す信号を送らせる働きがあるからです。ただし、ビタミンDを食事から十分に摂取するのは、タラ肝油、マス、サケなどを1日1食分以上、積極的に食べない限り困難です。ビタミンD欠乏の予防に、FDAがほとんどの成人に推奨する摂取量は1日600 IU(国際単位)ですが、既に不足している方が正常な血中濃度を目指す場合はさらに摂取量を増やす必要があります。一方、ビタミンDは日光を浴びることで生成されるものの、一般的な成人は室内で過ごしがちの上、日焼け止めを塗る人も多いため、日光を浴びるだけでは推奨食事摂取量を十分に満たせません。そこで、ビタミンD欠乏の予防として、私は患者に毎日サプリメントを摂取するように勧めています。ビタミンDを十分に含むマルチビタミンを選ぶにせよ、個別のビタミンDサプリメントまたはグミタイプのビタミンDを摂取するにせよ、必ずかかりつけ医が指示する形態と用量を守ることが重要です。

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タンパク質とカリウムが骨粗しょう症を予防

研究によると、カリウムタンパク質を多く含む食事と共に、カルシウムビタミンDを十分に摂取することで、骨粗しょう症、骨減少症、サルコペニア(主に加齢による骨密度と筋肉量の低下)などの症状から筋骨格系を保護するのに役立ちます。これを実現する最も簡単な方法は、植物性食品を十分に摂り(1日に少なくとも数品目の野菜と果物)、肉類、乳製品、ナッツ類、豆類などでタンパク質を十分に摂取することです。タンパク質とカリウムを同時に摂れるお勧めの方法は、植物性プロテインパウダーを使ったスムージーや、野菜や豆類をふんだんに入れたチリビーンズです。

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微量ミネラルとコラーゲン

骨の構成成分はカルシウムだけではありません。骨には、コラーゲンの他、マンガンのような微量ミネラルも含まれています。コラーゲンの天然供給源には動物の骨基質(ボーンブロスコラーゲンパウダー)などがあります。過去50年間は一般的にコラーゲンの摂取が不足気味でしたが、最近になってコラーゲン製品の人気が復活したことで再認識されています。微量ミネラルは、根菜類、果物、ナッツ類、豆類、種子類などの植物性食品に含まれています。ちなみに私は、個人的な健康目標を達成する手軽な方法としても、200年前と比べて減少していると言われる土壌の微量ミネラルを少しでも補う意味でも、水に微量ミネラルを加えて飲むようにしています。この方法は、腎臓に問題がない限りどなたにも安全と思われます。次回の健康診断の際は、自分に合った微量ミネラルの摂取量を聞いてみてはいかがでしょうか。

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‌‌‌‌骨の健康を促進する運動

ウエイトリフティングで骨を作り、骨減少症と骨粗しょう症を緩和

研究では、運動不足の成人がウエイトリフティングを始めると、骨密度が最大3%増加することが示されています。これは、骨粗しょう症や骨減少症に悩む方にとって朗報と言えるでしょう。つまり、習慣的にレジスタンストレーニング(筋力トレーニング)を行い、健康的な食事を心がけるだけで、症状が自然に緩和する可能性があるということです。

ただし、既に骨ミネラル密度が低下している方は、医師や理学療法士などの有資格専門家に相談し、自分にとって安全かつ効果的なレジスタンストレーニングを判断してもらうことが大切です。

レジスタンストレーニングやウエイトリフティングで骨密度が高まるのは、骨が圧力や重量に反応して成長するためです。体に重量をかけると、その負荷の増加を感知した骨が、骨基質に密度を高めるように信号を送ります。持ち上げる重量を(あくまでも無理のない範囲内で)増やすほど、骨は強くなります。また、ウエイトリフティングは、テストステロン(男性ホルモン)や成長ホルモンのように骨密度に有効なホルモンの循環濃度を高めます。なお、最適な骨の健康を目指して、健康的なウエイトリフティングやレジスタンストレーニングを含む運動計画を立てる際は、かかりつけ医にご相談ください。

‌‌‌‌低骨密度の危険因子を軽減

骨粗しょう症の修正可能な危険因子として、カルシウムビタミンDの摂取不足をはじめ、低体重(痩せ過ぎ)、肥満、一晩2杯以上の飲酒、喫煙、運動不足などが挙げられます。

飲酒と喫煙

お酒を飲みすぎてしまいがちな方(一晩に2杯以上)や喫煙者は医師に相談し、アルコールやタバコの量を減らしたり、習慣を断ち切るための全体的な計画を立てることが重要です。アルコールを控える方法として私が好きなのは、いつもの晩酌の代わりに炭酸水やくつろげるお茶を飲むことです。

BMI(ボディマス指数。体重と身長から算出され、肥満度を表す体格指数)

痩せ過ぎか太り過ぎの方は、栄養士またはフィットネス専門家のアドバイスのもと、最適なBMI値を目指しましょう。上記のウエイトリフティングと最適な栄養摂取に関するヒントが最適なBMI達成に役立てば幸いです。

まとめ

骨の健康は自分で管理できるものです。最適な食事、サプリメント、フィットネス習慣を取り入れて実践することで、骨粗しょう症や骨減少症を長期的に予防し、回復の可能性を最大限に引き出せるようになるでしょう。

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