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マイクロバイオームとは?また、マイクロバイオームが免疫に与える効果とは?

著者:メリッサ・アンゼローン、自然療法医

この記事の内容:


マイクロバイオームとは?

マイクロバイオーム(微生物叢)とは、消化管内に生息する細菌、真菌、ウイルスなど多種多様な微生物の集合体を指します。マイクロバイオームは、2千種を超える生物種に属する1千種以上の微生物から成る複雑かつ総合的な生態系です。1

膨大な多様性を示すマイクロバイオームは、以下をはじめとする多数の要因によって形成されています。

  • 遺伝的性質
  • 性別
  • 年齢
  • 免疫系
  • 健康状態
  • 地理的環境
  • 社会経済的要因(水や衛生環境へのアクセス)
  • 治療
  • 食事

‌‌‌‌消化管の機能

消化管には数々の機能があります。食物が適切に吸収されるように分解(消化)することで、例えば、夕食で食べたステーキを、自分自身の太ももの筋肉に変えるといった働きもその一つです。不要な老廃物を体外に排出するのも消化管の役割です。排泄された老廃物の茶褐色は、機能しなくなった赤血球の色です。

また、口元を手で触れたり、食物を摂取する際、大量のバクテリアなど不要な物質から保護するのも消化管です。このようなバクテリアが人体に害を及ぼすこと(食中毒を起こすなど)のないように消化管が守ってくれるわけです。

多くの機能に加えて、消化系は多数の部位で構成されています。消化系は、口を入口とし、肛門が出口となります。胃と小腸は消化と吸収を担い、大腸には水分を除去して老廃物を圧縮する機能があります。また、S状結腸と直腸には、排出される前の老廃物が蓄積されます。2

‌‌‌‌ヒトマイクロバイオームの始まり

最近の研究では、胎盤には善玉菌が生息しているため、出産前に消化管のコロニー形成が始まることがわかっています。また、新生児の胎便(最初の排便)は無菌状態ではないことから、子宮内の胎児の消化管で既にマイクロバイオームが発育していることがわかります。3

経膣分娩で生まれた赤ちゃんには、母体の膣内マイクロバイオーム由来の種を含むマイクロバイオームが存在します。一方、帝王切開で生まれた赤ちゃんのマイクロバイオームは母親の皮膚に近いものです。

また、母乳育児も消化管マイクロバイオームの形成や免疫系の発達に一役買っています。ヒトの母乳は赤ちゃんを保護する役割を果たしています。例えば、IgA(免疫グロブリンA)のような抗体やラクトフェリンなどの抗菌物質は、消化管や呼吸器の感染症から赤ちゃんを守ります。

‌‌‌‌マイクロバイオームの重要性

腸内細菌群やマイクロバイオームを構成する微生物はすべて、人体に多くのプラス効果をもたらすものです。マイクロバイオームはエネルギーを取り入れ、そのエネルギーを貯蔵することに関与しています。その一つとして、酪酸などの繊維を発酵させて短鎖脂肪酸(SCFA)を作るという方法があります。

これらの化合物は、腸の修復に役立つことで健康な消化管を促進します。また、大腸細胞の主要エネルギー源としても機能します。消化管に生息する細菌の多くは、 ビタミンB1、B2、B5、B6B12K葉酸ビオチンといったビタミン合成の鍵となるものです。4

また、マイクロバイオームは新生児の免疫系も刺激します。

‌‌‌‌マイクロバイオームが免疫系に与える影響

消化管には粘膜免疫系と呼ばれる独自の防御層があり、体が摂取し得るあらゆる異物を制御し、侵入を防ぎます。この粘膜免疫系は、体の大規模な免疫系とは別物です。消化管の細菌定着により、免疫系が劇的に変化します。

免疫系を成熟させるために最も重要な手順の一つとして、攻撃すべき対象とそうでないものの違いを免疫系に「教える」ことが挙げられます。消化器系の特殊な細胞は、体内細菌(善玉菌)および病原性細菌(悪玉菌)と相互作用することから、免疫系は何を容認して何を破壊すべきかを特定できるようになります。これがうまく機能しないと、免疫系が感染を引き起こしたり、体に害を及ぼす可能性があります。

マイクロバイオームは、免疫系に敵と味方を区別させるよう「教える」だけでなく、免疫細胞の成熟を助け、必要とされる部位に誘導します。その例として、マイクロバイオームは、免疫系の特定のT細胞を区別して、さまざまな機能を発揮させます。例えば、T細胞には、Th1細胞、Th2細胞、Th17細胞があります。

Th1細胞とTh2細胞は、寿命が尽きるまでサイトカインという特殊な化学物質を放出します。これらの化学物質は、他の免疫細胞を招集して体内の問題を解決します。一方、Th1・Th2よりもはるかに多様性に富んだ機能を持つTh17細胞は、分泌する化学物質のタイプを変化させ、体内で発生する数々の状況に適応できるように備えます。つまり、Th17細胞は免疫系のMVPであり、多くのポジションをこなす万能選手というわけです。

ヒト免疫系の多くは腸内に存在します。腸内には、多数の防御免疫細胞を収容するリンパ系組織が豊富なパイエル板という領域があります。体への悪影響が懸念されるあらゆる食品を思い浮かべてみてください。腸内にこのような免疫系を有することは、有害物質から体を保護するのに理想的な手段と言えます。

栄養バランスの悪い食事や一部の薬剤使用、自然な加齢などを原因として、腸内の悪玉菌の数が善玉菌を上回り始めることがあります。こうした腸内細菌叢の善玉菌と悪玉菌のバランス異常をディスバイオシスと言います。腸内の善玉菌が減少すると、免疫系が必要なサポートを受けられなくなります。ディスバイオシスが過剰な免疫活動を引き起こし、この過活動が自己免疫を中心とした疾患の原因となっている可能性があるという説があります。

‌‌‌‌健康なマイクロバイオームをサポートするサプリメント

プロバイオティクス - 善玉菌

プロバイオティクスは、国連食糧農業機関(FAO)と世界保健機関(WHO)共に、健康効果をもたらす生きた微生物と定義しています。5牛乳に含まれるプロバイオティクス研究を通してこの善玉菌の概念を導入したのは、ノーベル生理学医学賞を受賞した科学者、イリヤ・メチニコフでした。

メチニコフの研究で、この善玉菌の摂取による健康効果が示されたわけです。以来、プロバイオティクスは主に栄養補助食品や機能性食品として広く販売・摂取されてきました。プロバイオティクスの効果として、腸内微生物群の善玉菌を増やす他、悪玉菌の抑制サポート、免疫系サポート、健康な腸内環境を整える働きなどが挙げられます。

プロバイオティクス摂取による多くのプラス効果が消費者から多数報告されています。例えば、抗生物質を服用すると下痢を起こす人が多いものです。プロバイオティクスなら、このような副作用の予防に期待できそうです。ラクトバチルス菌株を豊富に含むプロバイオティクスは、気分向上サポートするのに役立つという研究結果もあります。他にも、心臓の健康サポートに役立つとされるプロバイオティクス菌株があります。プロバイオティクスはアレルギー症状の軽減にも期待でき、肌の不調を改善することが示されている菌株もあります。また、体重管理や消化器疾患の症状と相関する菌株もいくつか報告されています。

プロバイオティクスは、カプセル、錠剤、液体などのサプリメントで販売されています。健康なマイクロバイオームのサポートを後押しするサプリメントなら、腸や免疫の健康のサポートに必要な微生物を手軽に摂取できます。

酪酸 - 抗炎症作用

酪酸は、消化管内の難消化性繊維の発酵に由来する短鎖脂肪酸です。この化合物は、抗炎症特性の他、大腸細胞にエネルギーを供給する能力で知られています。6ディスバイオシスが生じると、体にとってこの重要なエネルギー源の生成が困難になることがあります。酪酸はサプリメントとして販売され、プロバイオティクスと共に摂取するのが一般的です。

マイクロバイオームとは、消化管内に生息する多様な生態系を指します。この微生物群はさまざまな方法で免疫系をサポートしています。日常生活に取り入れやすく、消化管と免疫系の健康を最大限にサポートしてくれるプロバイオティクスや酪酸のようなサプリメントを大いに活用したいものです。

参考文献:

  1. Lazar, V., Ditu, L. M., Pircalabioru, G. G., Gheorghe, I., Curutiu, C., Holban, A. M., Picu, A., Petcu, L., & Chifiriuc, M. C. (2018). Aspects of Gut Microbiota and Immune System Interactions in Infectious Diseases, Immunopathology, and Cancer. Frontiers in immunology, 9, 1830.
  2. Cheng, L. K., O'Grady, G., Du, P., Egbuji, J. U., Windsor, J. A., and Pullan, A. J. (2010). Gastrointestinal system. Wiley interdisciplinary reviews. Systems biology and medicine, 2(1), 65-79.
  3. Abba13. Dominguez-Bello MG, Costello EK, Contreras M, Magris M, Hidalgo G, Fierer N, et al. Delivery mode shapes the acquisition and structure of the initial microbiota across multiple body habitats in newborns. Proc Natl Acad Sci U S A (2010) 107:11971-5.10.
  4. Wong JM, de Souza R, Kendall CW, Emam A, Jenkins DJ. Colonic health: fermentation and short chain fatty acids. J Clin Gastroenterol. 2006;40(3):235-243.
  5. Hemarajata, P., and Versalovic, J. (2013). Effects of probiotics on gut microbiota: mechanisms of intestinal immunomodulation and neuromodulation. Therapeutic advances in gastroenterology, 6(1), 39-51.
  6. Canani, R. B., Costanzo, M. D., Leone, L., Pedata, M., Meli, R., & Calignano, A. (2011). Potential beneficial effects of butyrate in intestinal and extraintestinal diseases. World journal of gastroenterology, 17(12), 1519-1528.
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