beauty2 heart-circle sports-fitness food-nutrition herbs-supplements

マグネシウムは睡眠改善に役立つのでしょうか?

著者:メリッサ・アンゼローン、自然療法医

睡眠は、生理的欲求、認知機能、気分にとって不可欠なものです。長時間の充実した睡眠が得られないと、仕事の効率や反応時間(感覚刺激の提示から行動による反応が生じるまでの経過時間)など、身体の働きの多くに支障が生じます。人生の約3分の1は睡眠時間というわけですが、実は最大48%もの人が睡眠不足を報告しています。

健康的な睡眠には、栄養素、ビタミン、ミネラルの効果が大きく影響すると考えられます。これらの重要なミネラルの一つがマグネシウムです。

マグネシウムとは?

マグネシウムは必須元素であり、体内で4番目に多いミネラルです。この元素は、細胞をはじめ、骨、筋肉、血清などの結合組織に含まれています。300種類以上の酵素反応など、マグネシウムは体内のさまざまなプロセスに欠かせない物質です。

マグネシウムは、快適な入眠と睡眠持続に影響すると考えられるエネルギー生成、筋収縮、神経機能、血糖コントロールに関与している可能性があることが研究で示されています。マグネシウムは、ホルモン受容体結合、血圧調節、心興奮性の他、カルシウムチャネルのゲーティングなど、多くの細胞機能にとっての必須条件に関連しています。

マグネシウムの天然源には、ナッツ・種子類、全粒穀物、魚介類、豆類、濃緑色葉野菜などがあります。

マグネシウムのサポートが必要な理由とは?

マグネシウムの推奨摂取量は310〜420mgが目安です。若年女性のマグネシウム必要量は少なめですが、中年期以降の女性とあらゆる年齢層の男性の場合、比較的必要量が多くなります。

世界総人口のほとんどがマグネシウム不足である理由については諸説あります。そのうち、有力な説の一つは食事選択を柱とするものです。実は、肉、砂糖、精白小麦粉など世界中で常食とされる食品には、元来マグネシウムが少ないものが多いのです。大半の食文化に取り入れられている加工食品にもマグネシウム量が不足しています。蒸したホウレンソウなど、また、特定の調理方法によっては、食品のマグネシウム含有量を減らす原因となっている場合があります。

単作(一度に一種類の作物だけを栽培すること)の普及も、作物中のマグネシウム減少の一因である可能性があります。濃緑色葉野菜のように、本来はマグネシウムが豊富な作物のマグネシウム量においても、低下傾向が見られますが、これは農薬が原因と考えられています。農薬の使用により、土壌からマグネシウムがキレート化された植物は、マグネシウムを吸収して葉に取り込めなくなります。農薬処理された農産物を回避するには、天然の有機フルーツ・野菜を選ぶように心がけましょう。

また、低ビタミンD濃度、抗生物質、制酸剤、糖尿病の他、自然な老化でもマグネシウムの体内吸収率が低下するとみられます。喫煙やアルコール摂取もマグネシウム濃度を低下させることがわかっています。

マグネシウム濃度が低いと、慢性炎症の要素を有する、さまざまな疾患につながるおそれもあります。例えば、睡眠不足や不眠症は、体内の炎症や酸化ストレスを助長し、マグネシウム欠乏症を引き起こします。これは、マグネシウム欠乏症が睡眠障害の原因と考えられることから、双方向性の関係と言えます。睡眠とマグネシウムの関係について掘り下げる前に、睡眠周期が正常に機能する仕組みについてご説明しましょう。

睡眠の裏と表

睡眠には主要な調節因子が2つあります。一つは体と脳の日周リズムを調節する概日周期、もう一つは恒常性調節因子です。

視床下部の一部は、睡眠・覚醒活動と内分泌を進める指示を与えます。この脳部位は、明暗パターンと温度に左右されます。

朝、網膜に光が当たると脳に信号が送られ、24時間周期(すなわち概日リズム)に同調します。

眠りが浅かったり、睡眠時間が十分でないと、体は次の睡眠時に睡眠深度と持続時間が増えるよう努めます。

睡眠不足の弊害とは?

通常、睡眠不足とは、かなりの時間にわたって持続する睡眠の量または質において定められます。これには、入眠困難や睡眠持続困難、あるいは必要以上に早く目が覚めてしまうといった症状が含まれます。

睡眠不足の割合は年齢とともに増加します。加齢に伴う睡眠変化には、睡眠時間の減少、睡眠効率の低下(就寝後、睡眠に費やされる実際の時間率)、短周期睡眠(最も深い睡眠段階)の減少などがあります。

睡眠不足や不眠症はつらいもので、生活の質や仕事の能率に悪影響を及ぼすこともあります。睡眠不足または睡眠障害の結果として、記憶力低下、反応時間の増加、短期の記憶障害、健康全般の質の低下、ストレス、不安、抑うつ症状、また、医療費の増加などが挙げられます。

睡眠変化と抑うつ症状は相互に影響を及ぼします。睡眠障害は抑うつ気分の症状とも考えられます。また、睡眠が妨げられることで、抑うつ気分につながる場合があります。更に、睡眠時無呼吸のような特定の呼吸障害は、睡眠・抑うつ行動と強い関連があります。その他にも睡眠時無呼吸によって、認知機能障害と日中の眠気を引き起こす恐れがあります。

1週間以上続く慢性的な睡眠不足では、特にセロトニンとコルチゾールを管理する、神経伝達物質受容体システムを変化させることが示されています。これらは、抑うつ症状が報告されると変更される場合と同じシステムでもあります。慢性的な睡眠不足は抑うつ症状を引き起こす可能性がありますが、これは脳で発生する神経化学的変化に原因があると考えられています。

概日リズム障害も抑うつ症状につながるおそれがあります。さらに、松果体(しょうかたい)が生成するホルモンで、睡眠・覚醒周期/概日リズムの調節を助けるメラトニン*は、特に高齢者の概日リズム異常や抑うつ症状を抑えると考えられます。(*注:日本国内のお客様へ:メラトニンを含む製品につきまして、iHerbでは2カ月分まで購入が可能です)

健康的な睡眠をサポートするマグネシウムの働きとは?

睡眠不足の管理には、自然で健康的な選択肢としてマグネシウムサプリメントを取り入れるなど、さまざまな方法が考えられます。睡眠サポートに関係するマグネシウムサプリメント摂取の安全性と有効性は、概ね臨床的エビデンスに裏付けられています。

神経機能および睡眠行動に対するマグネシウムの効果は十分に解明されていないものの、マグネシウムが脳のNMDA(N-メチル-D-アスパラギン酸)受容体の天然アンタゴニスト、すなわち拮抗物質(通常、興奮性経路)として重要な役割を果たすことがわかっています。

マグネシウムは、睡眠調節に深く関与し、神経活動を安定化させるのに役立つ神経伝達物質GABA(γ‐アミノ酪酸)のアゴニスト、すなわち作動物質でもあります。

基本的に、マグネシウムは正常な中枢神経系機能をサポートすることで効果を発揮しますが、これらの経路がマグネシウムの気分サポート効果の要因であると考えられます。

マグネシウムサプリメントは、睡眠前半部分の健康的なコルチゾール値をサポートすることも示されています。時として、誰でも感情的、身体的、環境的ストレッサーやコルチゾール増加が原因で寝付けず、睡眠不足となることがあります。よって、バランスの取れたコルチゾール値の維持は、安眠への第一歩というわけです。

マグネシウムのコルチゾール抑制効果の理由の一つは、脳下垂体前葉から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の正常値をサポートする、ミネラルのNMDAアンタゴニスト(拮抗)特性にあると考えられます。ACTHは、コレステロールがコルチゾール生成における律速段階であるプレグネノロンに変換しないよう防ぐことで、副腎皮質からの健康なコルチゾール分泌をサポートします。

急性または短期ストレスにより、血漿マグネシウム濃度および尿中マグネシウム排泄量の増加が見られました。つまり体は、ストレスの生理学的悪影響を抑える保護的な役割をマグネシウムに与えるという目的で、マグネシウムを細胞内から細胞外空間に移動させます。

コルチゾール値が高いと、さまざまな脳部位のセロトニン値が変化しやすくなります。慢性的または長期ストレスが生じるとマグネシウム欠乏症が見られます。マグネシウム不足は脳内ノルアドレナリンの増加、ひいてはストレス感受性の増加につながるとされています。

また、ストレスを感じると寝付きが悪くなりがちで、夜中に目が覚めると、再び眠りにつきにくいものです。マグネシウムサプリメントで食事以外で栄養を補うことが、リラックス気分の促進に役立つとも考えられます。研究によると、マグネシウムは補因子として作用し、セロトニン受容体伝達効果をサポートすることができます。

セロトニンの放出は、オキシトシン(下垂体後葉から分泌される大切なホルモン) などのホルモン活性を鎮めてしまうことがあり、更に慢性的なストレスによって引き起こされやすいセロトニンの減少が、うつ病や不安といった症状の一要因となる可能性があります。

マグネシウムは正常なホルモン値のサポートに役立つのでしょうか?

マグネシウムは、健康的な睡眠促進で知られる一連のホルモンであるエストロゲンの保護効果を高める可能性もあります。エストロゲンは、血漿から細胞へのマグネシウム移動を促し、ATP(アデノシン三リン酸)合成においてマグネシウムを効率的に機能させます。エストロゲンはストレッサーへの反応を抑え、コルチゾール生成を低下させる可能性もあります。

マグネシウムは、心理的ストレスに対処するための能力をサポートするホルモンで、正常なプロラクチン濃度の維持にも役立ちます。オキシトシンの有益なアロステリック調節因子として作用し、受容体に結合することで、体のストレス反応を最小限に抑えるよう機能します。また、マグネシウムサプリメントの摂取は、正常値のメラトニンサポートに有効であり、概日リズムの睡眠コントロールへの効果が期待できることも研究で示されています。

健康全般において、重要な役割を果たすマグネシウムは、健康的な睡眠パターンと相互関係があります。睡眠困難でお悩みの方にはマグネシウムサプリメントをお勧めします。

参考文献:

  1. Schwalfenberg GK., Genius SJ.; Importance of Magnesium in Clinical Healthcare. Scientifica, 2017. 2017:4179326.
  2. Nielsen FH., Johnson LK., Zeng H.; Magnesium Supplementation Improves Indicators of Low Magnesium Status and Inflammatory Stress in Adults Older than 51 Years With Poor Quality Sleep. Magnes Res. 2010. 23(4): p. 158-168.
  3. Al-Abri M.; Sleep Deprivation and Depression: A bi-directional association. Sultan Qaboos Univ Med J, 2015. 15(1): p. e4-e6.
  4. Vink R., Nechifor M.; Magnesium in the Central Nervous System. Adelaide (AU): University of Adelaide Press, 2011.
  5. Abbasi B., Kimiagar M., Sadeghniiat K., Shirazi M.; The effect of magnesium supplementation on primary insomnia in elderly: A double-blind placebo-controlled clinical trial. J Res Med Sci, 2012. 17(12): p. 1161-1169
健康

ニューノーマル(新しい日常)を乗り切るストレス管理サプリメント7種

健康

毎日のサプリメント習慣構築法

健康

5分でわかるグルタチオン入門:免疫の機能にとってなぜ重要なのか