L-テアニンとは

L-テアニンは、ほぼチャノキ(茶の木、学名 Camellia sinensis)特有のアミノ酸であり、ストレスを和らげて気持ちを落ち着かせ、精神的なエネルギーを自然に高める方法として注目を浴びています。1

緑茶の葉には乾燥重量(水分を抜いた状態の重さ)の1〜4%のL-テアニンが含まれており、30年近く前から栄養補助食品としても販売されています。1994年に日本で、ストレスに対処し、リラックス効果を促進する働きが認められたことがきっかけで、L-テアニンがサプリメントとして注目され始めました。やがてその評判は北米にも伝わり、現在では、眠気を催すことなく心身をリラックスさせることを目的とした機能性食品・飲料や栄養補助食品に欠かせない成分として使用されています。

もう一つのL-テアニンの大きな特徴は、即効性があることで、一般的に摂取後30分以内に効果が実感でき、その効果が8~12時間持続することです。また、L-テアニンはGRAS(一般に安全と認められる)物質であり、副作用は報告されていません。1-3

緑茶に含まれるL-テアニン

緑茶の効能はL-テアニンを抜きにしては語れません。チャノキは、光合成の過程でL-テアニンを用いてカテキンと呼ばれるポリフェノールを生成します。また、テアニンは緑茶ならではの味と香りを生み出す成分でもあります。

緑茶の中でも、特に抹茶にはテアニンが多く含まれていますが、これは収穫前の3週間、遮光栽培(光線を遮断して日照時間を人工的に短縮して栽培)されるためです。遮光することで光合成量が減り、茶葉に残るテアニンが増えるため抹茶特有の甘味と香りが生まれる上、葉の先端にクロロフィルが集中することで鮮やかな緑色になります。

テアニンの含有量は、従来の緑茶がカップ1杯あたり5mgと少ないのに対し、抹茶のように遮光栽培された品種は1杯あたりのテアニンの量がその9倍もの約45mgに及ぶこともありますが、通常は1杯25〜30mg程度のものがほとんどです。一方、カフェインは抹茶1杯あたり30mgと少なめで、つまり、抹茶にはL-テアニンとカフェインがほぼ同量含まれていることになります。

これまで研究されているL-テアニンの効果

ヒト臨床試験では、カフェインの副作用である不安やイライラ感を抑えるなどさまざまなL-テアニンの効果が確認されており、ストレス感の軽減、睡眠の質の向上、月経前症候群の症状緩和、精神的鋭敏さの向上の他、注意欠陥・多動性障害にも効果があることが示されています。

脳に対するL-テアニンの効果

主に脳内化学物質に多様な効果を発揮するL-テアニンは、抗カフェイン分子として捉えるのが最も簡単ではありますが、それだけでは説明不足でしょう。テアニンは、刺激物質であるカフェインの作用を脳内である程度抑えますが、このアミノ酸を鎮静剤と考えるのは間違いです。というのも、L-テアニンはカフェインとはまったく異なる形で脳のエネルギーを刺激するためです。1-3

動物モデルにおいて、L-テアニンは、脳細胞間の信号を伝達する神経伝達物質など、多種多様な脳内化学物質の濃度を高めることが示されています。これらの研究によると、L-テアニンは脳機能、学習能力、記憶力を向上させます。抹茶のように、テアニンを多く含む緑茶が瞑想を助けるものとして茶の湯で高く評価されてきたのはそのためかもしれません。

脳内でテアニンが発揮する重要かつ複雑な作用の一つに、アルファ波(α波)の生成を増加させることがあります。4この脳波は落ち着きや集中力を高めると言われる通り、瞑想中はアルファ波が多く出ています。古くから日本の僧侶が茶の湯で珍重してきた緑茶である抹茶にはテアニンが最も多く含まれており、カフェインの含有量がわずかであることは特筆に値するでしょう。テアニンは、精神的な集中力と注意力を高めることで瞑想状態を深め、アルファ波を高めるだけでなく、ベータ波(β波)を抑える働きもあります。ベータ波が高いと、神経過敏、思考散漫、多動性(じっとしていられない)といった状態になりやすいと言われています。

L-テアニンの抗ストレス効果

L-テアニンは、脳内化学物質の前向きな変化とアルファ波を促し、ベータ波を抑えることで、カフェインによるストレス、不安、イライラといった感情を和らげます。1-3一方、L-テアニンをカフェインと共に使用すると、認知能力が高まる他、注意持続時間や視覚情報処理能力、さらには、一つの作業から別の作業に切り替わる際の正確性が向上するなど、さまざまなプラス効果が見られます。4-6

L-テアニンの主な用途は、眠気を引き起こすことなくストレスや不安感を和らげることであり、注意深く落ち着いた覚醒状態に導きます。

L-テアニン、ADHD、睡眠

このような作用を踏まえ、L-テアニンは注意欠陥・多動性障害(ADHD)にも役立つのではないかと考えられています。Canadian Center for Functional Medicine(カナダ機能医学センター)は、ブリティッシュコロンビア大学と共同で、ADHDと診断された8〜12歳の男子にチュアブル錠のL-テアニン200mgを1日2回投与する二重盲検(医師・患者ともに、誰が本物のサプリメント・薬剤かプラセボを摂取しているかわからないように進行して効果を客観的に判定する方法)プラセボ対照試験を実施しました。7この試験の主な結果は、L-テアニンが安全かつ効果的に作用して睡眠の質を改善し、安眠できるようになったというもので、睡眠障害が要因となっているADHD児童にとって大きな進歩と言えるでしょう。

その他の研究でも、L-テアニンが睡眠の質を改善することが示されています。1,2このアミノ酸自体は鎮静物質(睡眠促進物質)ではありませんが、リラックスした状態に導くことで睡眠を促します。

L-テアニンはADHDにおいてさらなる効果を発揮する可能性があります。2020年に発表された研究では、ADHDの男子(8~15歳)の脳機能への影響を調べるにあたり、L-テアニン(体重1kgあたり2.5mg)とカフェイン(体重1kgあたり2mg)の単体摂取群の他に、両方を組み合わせた併用摂取群がプラセボ摂取群と比較され、極めて詳細な分析が行われました。ちなみに、この研究では、脳内ネットワークへの影響を評価するために機能的磁気共鳴画像法(fMRI)も使用されました。これらの複合的な結果から、L-テアニンとカフェインの組み合わせは、ADHDに伴う注意力持続、抑制制御、全体的な認知能力の低下に対する治療の選択肢となり得る可能性が示されました。8

研究者らは、このL-テアニンとカフェインの組み合わせを朝摂取することで、「注意力低下や多動性といったADHDの他の要素に有益であることが証明されるかもしれない」と示唆しました。8

この他にも、L-テアニンとカフェインの組み合わせ(それぞれ97mgと40mgなど)が成人の特定の知的作業と注意力を有意に改善することが複数の研究で示されています。4-6

L-テアニンと精神的能力の向上

L-テアニンは単独でも脳機能を向上させます。1,2これは最近、2021年の二重盲検試験で明確に示されたもので、L-テアニン100mgを1回のみ投与(単回投与)した場合も、100mgを12週間にわたって毎日投与した場合も脳機能が有意に向上しました。被験者は50〜69歳の男女で、9Cognitrax(コグニトラックス)という認知機能検査を用いて、投与開始前、L-テアニンの単回投与後、12週間の連続投与後に認知機能が評価されました。その結果、注意力を要する作業の反応時間が短縮され、作業記憶を要する課題では正解数が増え、オミッションエラー(省略エラー。するべき行為をしなかった)数が減りました。こうした結果は、L-テアニンが注意資源(認知資源とも呼ばれ、注意力や集中力が必要な作業を行うと脳が消耗するエネルギーのようなものを指す)を再配分し、精神集中力を効率的に高めることで得られるものです。同研究者らは、L-テアニンが注意力を高めることで、作業記憶や実行機能の向上につながる可能性があるという結論に達しました。

それ以前の研究では、L-テアニン単独でも、長期的に使用することで特定の精神機能が向上することがわかっています。ただし、これがL-テアニンの直接的な効果なのか、あるいは、このアミノ酸がストレスや睡眠不足による認知機能への悪影響を軽減することで間接的に得られる効果なのかを判断するのは難しいでしょう。例えば、ある研究では、L-テアニン(1日200mg)またはプラセボ錠剤を4週間にわたって被験者に投与し、10抑うつ、不安、睡眠の質が評価された他、一連のメンタルテストが行われました。その結果、睡眠と気分が有意に改善し、認知機能、言語流暢性、実行機能のスコアが向上したことから、認知機能の改善は、睡眠や気分の向上と密接に関連していることがわかりました。

L-テアニンの仕組み

L-テアニンは、血液脳関門(血液から脳組織への物質の移動を制限して細菌やウイルスなどを防ぐ関所のような仕組み)を通過して脳に吸収され、リラクゼーションを促して精神的な集中力と明晰さを高めます。このような状態は、L-テアニンが、ドーパミン、セロトニン、γ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)といった重要な神経伝達物質を増加させると同時に、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の作用に拮抗する(きっこうする。作用を打ち消したり弱めたりする)ことで得られます。1,2

また、L-テアニンは、脳細胞に抗炎症作用を発揮し、ストレスや加齢によるダメージから脳細胞を保護する働きもあります。

L-テアニンを摂取することで得られる重要な純効果の一つは、覚醒したリラクゼーション状態をもたらすとされるアルファ波を高める一方で、神経過敏、思考散漫、多動性を引き起こすと言われるベータ波を抑えることです。L-テアニンによって促進される脳波パターンは、瞑想中の精神状態、リラックスした状態での精神集中、創造性などをもたらすと考えられています。僧侶が茶道を通して瞑想を深めるために抹茶を使うのも、この効果によるものでしょう。4

他にも、L-テアニンには抗ストレス作用としてコルチゾール濃度を下げる効果があり、コルチゾールなど関連ストレスホルモンの上昇が記憶や学習能力に支障をきたす場合には不可欠です。3

体内でのL-テアニンの働き

  • 脳内のセロトニン、ドーパミン、GABAの濃度を増加
  • カフェインの刺激作用を中和
  • 眠気を催すことなく心身をリラックスさせる
  • ヒト・動物研究ともに学習・記憶能力を向上
  • 二重盲検法による研究では以下のような成果が得られています。
    • ストレス感を緩和
    • 睡眠の質を向上
    • 月経前症候群の症状を軽減
    • アルファ波の生成を増加
    • ベータ波の生成を減少

L-テアニンの摂取量

多数の臨床試験結果を踏まえて、L-テアニンは1日100~200mgの範囲が有効とされています。L-テアニンに薬物相互作用の報告はないものの、6時間以内に600mg、24時間以内に1,200mgの摂取量を超えないようにしましょう。

100~200mg程度の摂取であればL-テアニンに鎮静作用はありませんが、睡眠の質を著しく改善します。また、メラトニン5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)との優れた相乗効果で睡眠を促します。(注:日本国内のお客様へ:メラトニンまたは5-HTPを含む製品につきまして、iHerbでは2ヶ月分まで購入が可能です)

安全性と薬物相互作用

L-テアニンは、数多くの安全性研究や臨床試験に基づき、副作用のない安全な成分であり、1,21994年以降、飲料、食品、サプリメントなどで幅広く摂取されていますが、副作用や禁忌(きんき。併用してはいけない薬剤や治療など)はありません。サンテアニンの商品名で知られるL-テアニンは、2007年、米国食品医薬品局により食品・飲料への使用が一般に安全と認められるGRAS認定を受け、栄養補助食品として販売されています。

L-テアニンには既知の薬物相互作用はなく、むしろ抗不安薬と抗精神病薬の作用を助ける可能性があります。その一例として、Journal of Clinical Psychiatry誌に掲載された2011年の研究では、L-テアニンが精神治療薬の効果を高めることが明確に示されました。この研究は、60人の統合失調症患者が2年半以上にわたって継続している抗精神病薬の治療に1日400mgのL-テアニンを追加したものです。11結果として、L-テアニンで治療を補助したことで、プラセボと比較して不安や精神症状が有意に減少したことが示唆されました。なお、L-テアニンの安全性は確認され、副作用はありませんでした。

参考文献:

  1. Williams JL, Everett JM, D'Cunha NM, et al. The Effects of Green Tea Amino Acid L-Theanine Consumption on the Ability to Manage Stress and Anxiety Levels: a Systematic Review. Plant Foods Hum Nutr. 2020;75(1):12-23.
  2. Türközü D, Şanlier N. L-theanine, unique amino acid of tea, and its metabolism, health effects, and safety. Crit Rev Food Sci Nutr. 2017;57(8):1681-1687.
  3. Kimura K, Ozeki M, Juneja L.R., Ohira H. L-Theanine reduces psychological and physiological stress responses. Biol Psychol. 2007;74(1):39-45.
  4. Kobayashi k, Nagato Y, Aoi N, et al. Effects of l-theanine on the release of α-brain waves in human volunteers. Nippon Nogeikagaku Kaishi 1998;72:153–157.
  5. Dodd FL, Kennedy DO, Riby LM, Haskell-Ramsay CF. A double-blind, placebo-controlled study evaluating the effects of caffeine and L-theanine both alone and in combination on cerebral blood flow, cognition and mood. Psychopharmacology (Berl). 2015;232(14):2563-2576.
  6. Giesbrecht T, Rycroft JA, Rowson MJ, De Bruin EA. The combination of L-theanine and caffeine improves cognitive performance and increases subjective alertness. Nutr Neurosci. 2010;13(6):283-290.
  7. Lyon MR, Kapoor MP, Juneja L.R. The effects of L-theanine (Suntheanine®) on objective sleep quality in boys with attention deficit hyperactivity disorder (ADHD): a randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial. Altern Med Rev. 2011;16(4):348-354.
  8. Kahathuduwa CN, Wakefield S, West B.D., et al. Effects of L-theanine-caffeine combination on sustained attention and inhibitory control among children with ADHD: a proof-of-concept neuroimaging RCT. Sci Rep. 2020;10(1):13072.
  9. Baba Y, Inagaki S, Nakagawa S, et al. Effects of l-Theanine on Cognitive Function in Middle-Aged and Older Subjects: A Randomized Placebo-Controlled Study. J Med Food. 2021;24(4):333-341.
  10. Hidese S, Ogawa S, Ota M, et al. Effects of L-Theanine Administration on Stress-Related Symptoms and Cognitive Functions in Healthy Adults: A Randomized Controlled Trial. Nutrients. 2019;11(10):2362.
  11. Ritsner MS, Miodownik C, Ratner Y, et al. L-theanine relieves positive, activation, and anxiety symptoms in patients with schizophrenia and schizoaffective disorder: an 8-week, randomized, double-blind, placebo-controlled, 2-center study. J Clin Psychiatry. 2011;72(1):34-42.

L-テアニンとは

L-テアニンは、ほぼチャノキ(茶の木、学名 Camellia sinensis)特有のアミノ酸であり、ストレスを和らげて気持ちを落ち着かせ、精神的なエネルギーを自然に高める方法として注目を浴びています。1

緑茶の葉には乾燥重量(水分を抜いた状態の重さ)の1〜4%のL-テアニンが含まれており、30年近く前から栄養補助食品としても販売されています。1994年に日本で、ストレスに対処し、リラックス効果を促進する働きが認められたことがきっかけで、L-テアニンがサプリメントとして注目され始めました。やがてその評判は北米にも伝わり、現在では、眠気を催すことなく心身をリラックスさせることを目的とした機能性食品・飲料や栄養補助食品に欠かせない成分として使用されています。

もう一つのL-テアニンの大きな特徴は、即効性があることで、一般的に摂取後30分以内に効果が実感でき、その効果が8~12時間持続することです。また、L-テアニンはGRAS(一般に安全と認められる)物質であり、副作用は報告されていません。1-3

緑茶に含まれるL-テアニン

緑茶の効能はL-テアニンを抜きにしては語れません。チャノキは、光合成の過程でL-テアニンを用いてカテキンと呼ばれるポリフェノールを生成します。また、テアニンは緑茶ならではの味と香りを生み出す成分でもあります。

緑茶の中でも、特に抹茶にはテアニンが多く含まれていますが、これは収穫前の3週間、遮光栽培(光線を遮断して日照時間を人工的に短縮して栽培)されるためです。遮光することで光合成量が減り、茶葉に残るテアニンが増えるため抹茶特有の甘味と香りが生まれる上、葉の先端にクロロフィルが集中することで鮮やかな緑色になります。

テアニンの含有量は、従来の緑茶がカップ1杯あたり5mgと少ないのに対し、抹茶のように遮光栽培された品種は1杯あたりのテアニンの量がその9倍もの約45mgに及ぶこともありますが、通常は1杯25〜30mg程度のものがほとんどです。一方、カフェインは抹茶1杯あたり30mgと少なめで、つまり、抹茶にはL-テアニンとカフェインがほぼ同量含まれていることになります。

これまで研究されているL-テアニンの効果

ヒト臨床試験では、カフェインの副作用である不安やイライラ感を抑えるなどさまざまなL-テアニンの効果が確認されており、ストレス感の軽減、睡眠の質の向上、月経前症候群の症状緩和、精神的鋭敏さの向上の他、注意欠陥・多動性障害にも効果があることが示されています。

脳に対するL-テアニンの効果

主に脳内化学物質に多様な効果を発揮するL-テアニンは、抗カフェイン分子として捉えるのが最も簡単ではありますが、それだけでは説明不足でしょう。テアニンは、刺激物質であるカフェインの作用を脳内である程度抑えますが、このアミノ酸を鎮静剤と考えるのは間違いです。というのも、L-テアニンはカフェインとはまったく異なる形で脳のエネルギーを刺激するためです。1-3

動物モデルにおいて、L-テアニンは、脳細胞間の信号を伝達する神経伝達物質など、多種多様な脳内化学物質の濃度を高めることが示されています。これらの研究によると、L-テアニンは脳機能、学習能力、記憶力を向上させます。抹茶のように、テアニンを多く含む緑茶が瞑想を助けるものとして茶の湯で高く評価されてきたのはそのためかもしれません。

脳内でテアニンが発揮する重要かつ複雑な作用の一つに、アルファ波(α波)の生成を増加させることがあります。4この脳波は落ち着きや集中力を高めると言われる通り、瞑想中はアルファ波が多く出ています。古くから日本の僧侶が茶の湯で珍重してきた緑茶である抹茶にはテアニンが最も多く含まれており、カフェインの含有量がわずかであることは特筆に値するでしょう。テアニンは、精神的な集中力と注意力を高めることで瞑想状態を深め、アルファ波を高めるだけでなく、ベータ波(β波)を抑える働きもあります。ベータ波が高いと、神経過敏、思考散漫、多動性(じっとしていられない)といった状態になりやすいと言われています。

L-テアニンの抗ストレス効果

L-テアニンは、脳内化学物質の前向きな変化とアルファ波を促し、ベータ波を抑えることで、カフェインによるストレス、不安、イライラといった感情を和らげます。1-3一方、L-テアニンをカフェインと共に使用すると、認知能力が高まる他、注意持続時間や視覚情報処理能力、さらには、一つの作業から別の作業に切り替わる際の正確性が向上するなど、さまざまなプラス効果が見られます。4-6

L-テアニンの主な用途は、眠気を引き起こすことなくストレスや不安感を和らげることであり、注意深く落ち着いた覚醒状態に導きます。

L-テアニン、ADHD、睡眠

このような作用を踏まえ、L-テアニンは注意欠陥・多動性障害(ADHD)にも役立つのではないかと考えられています。Canadian Center for Functional Medicine(カナダ機能医学センター)は、ブリティッシュコロンビア大学と共同で、ADHDと診断された8〜12歳の男子にチュアブル錠のL-テアニン200mgを1日2回投与する二重盲検(医師・患者ともに、誰が本物のサプリメント・薬剤かプラセボを摂取しているかわからないように進行して効果を客観的に判定する方法)プラセボ対照試験を実施しました。7この試験の主な結果は、L-テアニンが安全かつ効果的に作用して睡眠の質を改善し、安眠できるようになったというもので、睡眠障害が要因となっているADHD児童にとって大きな進歩と言えるでしょう。

その他の研究でも、L-テアニンが睡眠の質を改善することが示されています。1,2このアミノ酸自体は鎮静物質(睡眠促進物質)ではありませんが、リラックスした状態に導くことで睡眠を促します。

L-テアニンはADHDにおいてさらなる効果を発揮する可能性があります。2020年に発表された研究では、ADHDの男子(8~15歳)の脳機能への影響を調べるにあたり、L-テアニン(体重1kgあたり2.5mg)とカフェイン(体重1kgあたり2mg)の単体摂取群の他に、両方を組み合わせた併用摂取群がプラセボ摂取群と比較され、極めて詳細な分析が行われました。ちなみに、この研究では、脳内ネットワークへの影響を評価するために機能的磁気共鳴画像法(fMRI)も使用されました。これらの複合的な結果から、L-テアニンとカフェインの組み合わせは、ADHDに伴う注意力持続、抑制制御、全体的な認知能力の低下に対する治療の選択肢となり得る可能性が示されました。8

研究者らは、このL-テアニンとカフェインの組み合わせを朝摂取することで、「注意力低下や多動性といったADHDの他の要素に有益であることが証明されるかもしれない」と示唆しました。8

この他にも、L-テアニンとカフェインの組み合わせ(それぞれ97mgと40mgなど)が成人の特定の知的作業と注意力を有意に改善することが複数の研究で示されています。4-6

L-テアニンと精神的能力の向上

L-テアニンは単独でも脳機能を向上させます。1,2これは最近、2021年の二重盲検試験で明確に示されたもので、L-テアニン100mgを1回のみ投与(単回投与)した場合も、100mgを12週間にわたって毎日投与した場合も脳機能が有意に向上しました。被験者は50〜69歳の男女で、9Cognitrax(コグニトラックス)という認知機能検査を用いて、投与開始前、L-テアニンの単回投与後、12週間の連続投与後に認知機能が評価されました。その結果、注意力を要する作業の反応時間が短縮され、作業記憶を要する課題では正解数が増え、オミッションエラー(省略エラー。するべき行為をしなかった)数が減りました。こうした結果は、L-テアニンが注意資源(認知資源とも呼ばれ、注意力や集中力が必要な作業を行うと脳が消耗するエネルギーのようなものを指す)を再配分し、精神集中力を効率的に高めることで得られるものです。同研究者らは、L-テアニンが注意力を高めることで、作業記憶や実行機能の向上につながる可能性があるという結論に達しました。

それ以前の研究では、L-テアニン単独でも、長期的に使用することで特定の精神機能が向上することがわかっています。ただし、これがL-テアニンの直接的な効果なのか、あるいは、このアミノ酸がストレスや睡眠不足による認知機能への悪影響を軽減することで間接的に得られる効果なのかを判断するのは難しいでしょう。例えば、ある研究では、L-テアニン(1日200mg)またはプラセボ錠剤を4週間にわたって被験者に投与し、10抑うつ、不安、睡眠の質が評価された他、一連のメンタルテストが行われました。その結果、睡眠と気分が有意に改善し、認知機能、言語流暢性、実行機能のスコアが向上したことから、認知機能の改善は、睡眠や気分の向上と密接に関連していることがわかりました。

L-テアニンの仕組み

L-テアニンは、血液脳関門(血液から脳組織への物質の移動を制限して細菌やウイルスなどを防ぐ関所のような仕組み)を通過して脳に吸収され、リラクゼーションを促して精神的な集中力と明晰さを高めます。このような状態は、L-テアニンが、ドーパミン、セロトニン、γ(ガンマ)-アミノ酪酸(GABA)といった重要な神経伝達物質を増加させると同時に、興奮性神経伝達物質であるグルタミン酸の作用に拮抗する(きっこうする。作用を打ち消したり弱めたりする)ことで得られます。1,2

また、L-テアニンは、脳細胞に抗炎症作用を発揮し、ストレスや加齢によるダメージから脳細胞を保護する働きもあります。

L-テアニンを摂取することで得られる重要な純効果の一つは、覚醒したリラクゼーション状態をもたらすとされるアルファ波を高める一方で、神経過敏、思考散漫、多動性を引き起こすと言われるベータ波を抑えることです。L-テアニンによって促進される脳波パターンは、瞑想中の精神状態、リラックスした状態での精神集中、創造性などをもたらすと考えられています。僧侶が茶道を通して瞑想を深めるために抹茶を使うのも、この効果によるものでしょう。4

他にも、L-テアニンには抗ストレス作用としてコルチゾール濃度を下げる効果があり、コルチゾールなど関連ストレスホルモンの上昇が記憶や学習能力に支障をきたす場合には不可欠です。3

体内でのL-テアニンの働き

  • 脳内のセロトニン、ドーパミン、GABAの濃度を増加
  • カフェインの刺激作用を中和
  • 眠気を催すことなく心身をリラックスさせる
  • ヒト・動物研究ともに学習・記憶能力を向上
  • 二重盲検法による研究では以下のような成果が得られています。
    • ストレス感を緩和
    • 睡眠の質を向上
    • 月経前症候群の症状を軽減
    • アルファ波の生成を増加
    • ベータ波の生成を減少

L-テアニンの摂取量

多数の臨床試験結果を踏まえて、L-テアニンは1日100~200mgの範囲が有効とされています。L-テアニンに薬物相互作用の報告はないものの、6時間以内に600mg、24時間以内に1,200mgの摂取量を超えないようにしましょう。

100~200mg程度の摂取であればL-テアニンに鎮静作用はありませんが、睡眠の質を著しく改善します。また、メラトニン5-HTP(5-ヒドロキシトリプトファン)との優れた相乗効果で睡眠を促します。(注:日本国内のお客様へ:メラトニンまたは5-HTPを含む製品につきまして、iHerbでは2ヶ月分まで購入が可能です)

安全性と薬物相互作用

L-テアニンは、数多くの安全性研究や臨床試験に基づき、副作用のない安全な成分であり、1,21994年以降、飲料、食品、サプリメントなどで幅広く摂取されていますが、副作用や禁忌(きんき。併用してはいけない薬剤や治療など)はありません。サンテアニンの商品名で知られるL-テアニンは、2007年、米国食品医薬品局により食品・飲料への使用が一般に安全と認められるGRAS認定を受け、栄養補助食品として販売されています。

L-テアニンには既知の薬物相互作用はなく、むしろ抗不安薬と抗精神病薬の作用を助ける可能性があります。その一例として、Journal of Clinical Psychiatry誌に掲載された2011年の研究では、L-テアニンが精神治療薬の効果を高めることが明確に示されました。この研究は、60人の統合失調症患者が2年半以上にわたって継続している抗精神病薬の治療に1日400mgのL-テアニンを追加したものです。11結果として、L-テアニンで治療を補助したことで、プラセボと比較して不安や精神症状が有意に減少したことが示唆されました。なお、L-テアニンの安全性は確認され、副作用はありませんでした。

参考文献:

  1. Williams JL, Everett JM, D'Cunha NM, et al. The Effects of Green Tea Amino Acid L-Theanine Consumption on the Ability to Manage Stress and Anxiety Levels: a Systematic Review. Plant Foods Hum Nutr. 2020;75(1):12-23.
  2. Türközü D, Şanlier N. L-theanine, unique amino acid of tea, and its metabolism, health effects, and safety. Crit Rev Food Sci Nutr. 2017;57(8):1681-1687.
  3. Kimura K, Ozeki M, Juneja L.R., Ohira H. L-Theanine reduces psychological and physiological stress responses. Biol Psychol. 2007;74(1):39-45.
  4. Kobayashi k, Nagato Y, Aoi N, et al. Effects of l-theanine on the release of α-brain waves in human volunteers. Nippon Nogeikagaku Kaishi 1998;72:153–157.
  5. Dodd FL, Kennedy DO, Riby LM, Haskell-Ramsay CF. A double-blind, placebo-controlled study evaluating the effects of caffeine and L-theanine both alone and in combination on cerebral blood flow, cognition and mood. Psychopharmacology (Berl). 2015;232(14):2563-2576.
  6. Giesbrecht T, Rycroft JA, Rowson MJ, De Bruin EA. The combination of L-theanine and caffeine improves cognitive performance and increases subjective alertness. Nutr Neurosci. 2010;13(6):283-290.
  7. Lyon MR, Kapoor MP, Juneja L.R. The effects of L-theanine (Suntheanine®) on objective sleep quality in boys with attention deficit hyperactivity disorder (ADHD): a randomized, double-blind, placebo-controlled clinical trial. Altern Med Rev. 2011;16(4):348-354.
  8. Kahathuduwa CN, Wakefield S, West B.D., et al. Effects of L-theanine-caffeine combination on sustained attention and inhibitory control among children with ADHD: a proof-of-concept neuroimaging RCT. Sci Rep. 2020;10(1):13072.
  9. Baba Y, Inagaki S, Nakagawa S, et al. Effects of l-Theanine on Cognitive Function in Middle-Aged and Older Subjects: A Randomized Placebo-Controlled Study. J Med Food. 2021;24(4):333-341.
  10. Hidese S, Ogawa S, Ota M, et al. Effects of L-Theanine Administration on Stress-Related Symptoms and Cognitive Functions in Healthy Adults: A Randomized Controlled Trial. Nutrients. 2019;11(10):2362.
  11. Ritsner MS, Miodownik C, Ratner Y, et al. L-theanine relieves positive, activation, and anxiety symptoms in patients with schizophrenia and schizoaffective disorder: an 8-week, randomized, double-blind, placebo-controlled, 2-center study. J Clin Psychiatry. 2011;72(1):34-42.