有名なケトン食療法(ケトジェニック・ダイエット)提唱者の多くは男性です。そのため、ケトン食は自分にも合うのか気になる女性が多いのではないでしょうか。

ケトン食の他にも、女性は本来、低脂肪・高タンパク食やヴィーガンなど、さまざまな食事療法の影響を受けやすい傾向があります。

そのことからも、ケトン食は脂肪の減少や炎症の抑制など、女性にも多くの健康効果が期待できますが、実践するにあたり念頭に置いておきたい点がいくつかあります。

ケトン食とは

ケトジェニック・ダイエットすなわちケトン食とは、高脂質・低炭水化物食を中心とした食事法です。

炭水化物を(果物や穀物など自然食品の糖質を含めて)ほとんど摂らず、多量の脂質を摂ると、体がケトーシスという代謝状態に入り、ケトン体を作り始めます。

ケトン体とは肝臓で生成される小さな燃料分子であり、炭水化物から得られるグルコース(ブドウ糖)が体内を循環しなくなると、代わりにエネルギー供給源として機能します。

こうしてケトン体がエネルギーとして使われるようになると、脂肪・体重ともに減りやすくなります。また、ケトーシス状態になると、血糖値が下がり、高インスリン濃度へのプラス効果が期待できるため、2型糖尿病の発症リスクが下がりやすくなります。

他にも、ケトン食には、エネルギーレベル、精神的集中力、身体持久力、善玉コレステロール値を向上させ、空腹感や食べ物への渇望を抑えるといったメリットがあります。

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女性が直面し得る問題

ケトン食に限らず、女性が食生活を大幅に見直す際は、倦怠感をはじめ、消化器系の問題や月経不順などの副作用に注意が必要です。

もちろん、全体としてケトーシス状態は女性の健康にもプラスになりますが、十分なカロリーを摂取していない方や、運動のしすぎ、睡眠不足、ストレスなどで無理しがちな方がケトン食を続けると、ホルモンバランスを崩しやすくなるかもしれません。

このような要因は、女性の視床下部(ししょうかぶ)-下垂体-副腎系(英名の頭文字をとってHPA軸とも呼ばれる)の働きに影響を及ぼします。HPA軸とは、コルチゾール、エストロゲン、プロゲステロンなどのホルモンの分泌をコントロールする腺を指し、食事量が不足したり、大きなストレスがあると反応します。また、極端な減量により女性の甲状腺にも影響が出てしまい、それが代謝の低下につながることもあります。

さらに、男女問わず、ケトン食を実施することにより、エネルギー低下や脱水症状の他、便秘やブレインフォグ(脳霧、頭のモヤモヤ)といった問題に直面することもあります。

このような症状は「ケトフル」(ケトン体に慣れるまでに起こりがちな頭痛や倦怠感などインフルエンザのような症状)と呼ばれ、主にケトン食開始後の数週間に見られますが、水をたっぷり飲み、食物繊維電解質を含む健康的なケトン食を続けることで和らぐケースがほとんどです。

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‌‌‌‌女性に最適なケトン食のヒント

炭水化物の摂取量を制限する

ケトン食は、脂質を約70%、タンパク質を約20%、炭水化物を約5%摂取することが大前提です。つまり、体に良い脂質を多く摂取し、タンパク質は適度に摂り、炭水化物をできるだけ控えることを主軸とした食事法です。

まず、炭水化物や糖分を多く含む食品は避けましょう。炭水化物の摂取量を1日50g未満に抑えることが推奨されている通り、ケトン食では炭水化物の摂取量が少ないほど効果が高まります。また、食物繊維は吸収されないため、食物繊維の摂取量を増やすことも正味炭水化物の摂取量を減らす上で重要です。

クリーンな食事を心がける

加工食品を避け、自然食品やアルカリ性食品を中心としたクリーンなケトン食を心がけましょう。そのためには、良質な脂質を十分に摂る他、少なくとも週に数回は葉野菜を食べたり、その他の野菜や魚、牛・豚・鶏肉、卵、チーズ、ナッツ種子などを積極的に取り入れましょう。

食欲を満たせる良質な脂質には、グラスフェッドバター(牧草飼育された牛のバター)をはじめ、オリーブオイルナッツ類ココナッツオイル、ナッツ類、アボカドなどがあります。

糖分を避ける

甘いお菓子やデザートはもちろん、加糖された食品、パン、米、トルティーヤ(薄焼きパン)、ジャガイモ、豆類、糖分の多い飲み物などはいずれも摂らないようにしましょう。また、たとえ炭水化物が少ないものでも、コールドカット(ハムやローストビーフなど冷製の調理済み肉)や加工肉、精製植物油などの加工食品は控えることをお勧めします。

運動強度を下げる

ケトン食を実践することで炭水化物の摂取量が大幅に減少しますが、通常炭水化物は激しい運動の燃料となるため、高強度運動を行っている方は低強度運動に切り替えることが大切です。

ケトン食に適した運動としては、長距離ウォーキング、ズンバ、ヨガ、ピラティスの他、軽い筋力トレーニングなどが挙げられます。それ以上の強度になると、ケトン食実践中の体に負担がかかりやすくなります。例えば、高強度インターバルトレーニング(HIIT)をはじめ、クロスフィット(歩く・走る・起き上がる・拾う・持ち上げる・押す・引く・跳ぶといった日常生活の動作を高い強度で行って全身を鍛えるトレーニング)、高重量トレーニング、長時間の高速ランニングなどがそれに当てはまるでしょう。

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エネルギーレベルを管理する

エネルギーを維持するために、十分な脂質やカロリーを含め、食事をしっかり摂りましょう。ケトン食の実践中に倦怠感がある方は、食事量が十分でないかもしれません。これは、ケトン食で脂質を多く摂取することで得られる満腹効果によるものです。加えて、多くの食材を除外した食事に食欲がわかないこともあるでしょう。

‌‌‌‌ケトン食実践的中の女性に最適なサプリメント

Putting healthy groceries like vegetables, multivitamins, and MCT oil in car

ケトン食を実践中の女性が(男性も)食事で不足している栄養素を補い、倦怠感や消化不良といった副作用のリスクを抑える効果も期待できるサプリメントがいくつかあります。その中でも、特にお勧めのサプリメントは以下の通りです。

外因性ケトン

外因性ケトンは、体をケトーシスに入りやすくする、いわばサプリメント型のケトン体で、トレーニング中のエネルギーを高めたり、精神能力をサポートする他、運動のレベルアップが図れます。

MCTオイル

MCTオイル(中鎖脂肪酸オイル)は、ケトン体の生成を助け、持久力を高め、食欲を抑えるのに役立つ中鎖脂肪を供給します。

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低炭水化物プロテインパウダー

プロテインパウダーは、運動の前後に摂取することで筋肉の成長や関節の健康維持を助け、手軽なミールリプレイスメント(食事代替品)にもなる便利なサプリメントです。

良質なマルチビタミン

質の高いマルチビタミンは、食事制限で不足しがちな栄養素や電解質を補うのに最適です。

マグネシウム

マグネシウムは、ケトン食実践中に筋けいれんが起こった場合や便秘の際にお勧めしたいミネラルです。

電解質サプリメント

電解質は、激しい運動の前に摂取することが大切です。ただし、なるべく低糖質の製品を選びましょう。