毎週ジムに通う熱心なウエイトリフターやアスリートは、トレーニングセッションにいくつか目標を掲げているものです。その目標とは、主に筋力アップや筋肥大など、スポーツへの取り組みにまつわるものではないでしょうか。

そのうち、筋肥大の目標は、レジスタンストレーニング(筋肉に抵抗をかける、いわゆる筋力トレーニング)によって筋繊維に徐々に負荷をかけて筋肉量を増やすことです。重要なのは、筋肥大を目指すには多種多様な方法があり、個人差やトレーニング経験などによってトレーニング法が千差万別であることです。

この記事では、筋肥大のメカニズムをはじめ、トレーニングで筋肥大を狙うコツや筋肉増強のサポートに有望なサプリメントについて筋トレコーチが解説します。なお、新しいサプリメントを取り入れる際は、必ず事前に医師等に相談し、自分にとって安全な製品かどうかを確認することをお勧めします。

筋肥大とは

筋肥大とは、骨格筋を意図的に肥大させることです。筋肥大に目を向けると、筋肉のさまざまな働きを経て、次第に筋肉の大きさに変化が見られるようになることがわかります。筋肥大は筋肉だけで生じるものではなく、骨格筋の増量は複数の要素が連動して初めて達成できるものです。

トレーニングで目標とされる筋肥大には、大きく分けて以下の2種類があります。

  1. 筋形質肥大:筋肉のグリコーゲン貯蔵能力を高めることに重点を置いた筋肥大。
  2. 筋原線維肥大:筋原線維(骨格筋の筋繊維を構成する微細な繊維)の大きさと密度を高めることで、筋肉を直接増やすことを目的とする筋肥大。

また、筋肥大には複数の段階があることに加え、一貫した方法で時間をかけて行われる一種の適応反応であることをお忘れなく。トレーニングを始めたばかりの頃、ジムでの筋力アップ成果は顕著に見えるかもしれませんが、筋肥大が目に見えて現れるまでにはかなりの時間を要することがあります。

これは、遺伝やトレーニング歴などをはじめとする個人差によるものです。とはいえ、最大限の筋肥大を図る上で、忍耐と一貫性はもちろんのこと、何よりも重要なのは計画的にこの適応を目指すことです。

筋肥大のためのトレーニング方法

この記事は、筋肥大適応のサポートに期待できるサプリメントをご紹介するものですが、その前に、筋肥大のためのトレーニング方法について理解しておくことも大切でしょう。というのも、計画性のない行きあたりばったりのトレーニングでは、どんなにサプリメントを使用しても補えないからです。

筋肥大に取り組む際、筋量アップにつながるとしてほとんどのコーチが賛同する重要な要因が一つあります。それは機械的張力です。つまり、筋肉にかける張力の大きさであり、努力に応じた疲労レベルを生み出すことで、骨格繊維の成長を相互にもたらすものです。

問題は、どのようにその機械的張力を生み出し、筋肥大に焦点を当てたトレーニングを計画的に行い、全体的に筋肥大を促進させるかということです。

筋肥大トレーニングを改善する3つのヒント

ここからは、この記事をお読みいただいている全ての方のスキルレベルに適用できるように、各自が目標とする筋肥大に応じたプログラムを組む上で役立つ3つの重要なヒントについてご説明していきましょう。

1. 適切なトレーニングボリュームを実施

筋肥大を目指す際にまず考慮しておきたいポイントは、各筋肉が1週間あたりどの程度の刺激を必要としているかを把握することです。

当然、個人差があるため、ウエイトリフターとしての成長に応じて、トレーニング強度やボリューム(レップ数すなわち反復回数とセット数の回数)を調整することが重要です。そこで、出発点のアドバイスとして以下をまとめてみました。

International Journal of Environmental Research and Public Health誌に掲載された2019年のシステマティックレビュー(現存する文献を系統的に収集して、類似する内容の研究を一定の基準で評価分析すること)では、トレーニング強度とボリュームに関する決定的な推奨事項を提供するにはまだ研究が少なすぎると指摘していますが、多くの人にとって目安となる出発点は、各自の1RM(レップマックス=最大挙上重量)の60~80%の負荷で6~12レップ(反復回数)を3~6セット行うことです。

その後、このボリュームに慣れてきたら、筋群(腹筋群や大腿筋群といった一連の筋肉)ごとに週12〜28セットまで増やしていきます。要は、トレーニング経験と能力が伸びるにつれて、そこからさらに一歩前進するには、ボリュームと刺激も増やしていく必要があるということです。

なお、トレーニングの開始時はボリューム、刺激ともになるべく抑えておきましょう。その後、いつでもスケールアップできます。特に初心者の方は、「ボリュームをこなさないと筋肉を増やせない」という落とし穴に陥らないようにご注意ください。必ずしもそんなことはなく、筋肥大を実現するには他にもさまざまな要素があるのです。

2. 時には自主的に限界までトレーニングを行う

筋群ごとに1週間のトレーニングボリュームを定着させたら、次のレベルアップを目指して取り組む方法を決めると良いでしょう。ここで特に有効なのが、時には限界までトレーニングすることです。

機械的張力が筋肥大の主な要因であることは前述の通りです。その効果を最大限に引き出すには、筋肉に高い機械的張力をかけ、時には限界までセット数をこなして、なるべく多くの筋繊維を動員させる必要があるでしょう。その際、筋肉疲労度が高いほど筋繊維の動員率が高いことになります。

特に有効な方法は、毎週通常のセット終了時にもう数セットを限界まで行うことです。注:この目的は、ただ最大負荷をかけて反復することではなく、筋肥大の可能性を高めるためにさまざまな手段を模索する点にあります。

お勧めの手段としては、レストポーズ法(重量と目標レップ数を高めに設定し、セットの途中で限界が来たら短いインターバルを挟み、再度開始して目標回数まで行う方法)、クラスターセット法(セット内の反復途中で数秒~数十秒のインターバルを挟んで断続的に行う方法)、ドロップセット法(回数制限をせずに重量を少しずつ落としながらインターバルなしで行う方法)、スーパーセット法(ある筋肉を刺激するトレーニングをしたら、続けてその筋肉の拮抗筋【反対の動作をする筋肉】を刺激するトレーニングをする方法)などが挙げられますが、他にも多数あります。ポイントは、「回復の落とし穴に陥ったり、他のトレーニングを制限することなく、この筋肉を限界まで追い込むにはどうすればよいか」と自問することです。

3. 自分に合ったエクササイズを選択

1週間のトレーニングボリュームと、機械的張力アップに取り組む上での制限を定めたら、次はエクササイズの選択を入念に行います。簡単に言うと、肥大させたい筋肉を効率良く単独にトレーニングするために、その筋繊維の方向に合わせたエクササイズを選ぶことです。

例えば、大腿四頭筋を鍛えるなら、バックスクワット(立った状態でバーベルを両肩に乗せてスクワットを行う)よりも、レッグエクステンション(専用マシンに座り、膝を曲げ伸ばしする動作を繰り返して大腿四頭筋を鍛える)とハックスクワット(専用マシンを使って体を斜め後ろに傾けながらトレーニングするスクワット)の方が適しています。バックスクワットはスキルレベルが高い上に、大腿四頭筋が限界に達する前に他の部位が疲労しやすいためです。

単独的なエクササイズを選択するだけでなく、筋肉の構造を考慮して、筋繊維の方向に注意を向けてみてはいかがでしょうか。これについても、決して難しく考える必要はありません。ポイントは、筋繊維が収縮する際の方向を意識して取り組むことです。

筋肥大サプリメントその1:クレアチン

クレアチンは、筋力をはじめ、筋肉の大きさと出力の向上を図る方にとって費用対効果の高い定番のサプリメントです。クレアチン一水和物は、これまでかなり研究されており、全体的な筋力と筋肉増大を促進するのに役立ちます。具体的には、ウエイトリフターの筋肉の成長と修復に重要な役割を果たす細胞シグナル伝達を改善しながら、より長くハードなトレーニングを行えるように働きかけます。

クレアチン補給についての詳細は、クレアチン補給のための総合ガイドをご覧ください。

筋肥大サプリメントその2:プロテインパウダー

プロテインパウダーだけで必ずしも筋肉が成長するわけではありません。やはり、ここでも筋肥大のためのトレーニングが必要となるからですが、やはりプロテインパウダーは長期的な筋肉の修復と成長に極めて有効なサプリメントと言えるでしょう。

十分なアミノ酸(タンパク質の構成要素)を含むタンパク質を日常的に摂取していれば、ハードなトレーニング後の筋肉の回復や修復に備えることができます。プロテインパウダーはシェイクやオートミールなどにもよく合い、毎日の食事に取り入れやすいサプリメントです。食生活のニーズや好みに合わせて、ホエイプロテインパウダーカゼインプロテインパウダー植物性プロテインパウダーなどから選んではいかがでしょう。

筋肥大サプリメントその3:シトルリン

シトルリンも、肥大化への効果が今後さらに調査されるべきサプリメントの一つです。シトルリンを補給することで、体内の一酸化窒素生成が促進され、血流の改善が期待できます。

筋肥大においては、多様なトレーニング法や、より効率的な筋肉への栄養素供給にシトルリンが役立つと考えられます。シトルリンは、さまざまなプレワークアウトサプリメントやパンプアップ(トレーニングで負荷をかけた筋肉が一時的に大きくなること)製品に使用されている成分です (カフェイン不使用などの非刺激性製品をお探しの場合)。このシトルリンの効果を引き出すには、L-シトルリンを3~6g摂取することが推奨されています。