肝臓の健康を自然に改善する方法

ビーナス・ラモス医学博士
この記事の内容:
頭がすっきりしない、だるい、肥満などの問題を解消して健康を増進する方法を探している中で、肝臓の解毒という概念について耳にしたことがあるかもしれません。解毒と聞くとなんらかのフィルターが詰まっていてそれをきれいにするようなイメージが浮かびますが、機能している肝臓には排毒の必要などないのです。
実際に、解毒は肝臓の最も重要な機能の一つです。肝臓には自己洗浄の能力があるというは理にかなっていると言えます。クレンズやデトックスなどは健康維持の分野でよく耳にする言葉ですが、 肝臓のサポートという言葉が実際に意味するのは、肝臓の機能を最適化する食事やライフスタイルのことなのです。
でも、大切なのはその呼び方ではありません。大切なのは、肝臓の健康のサポートは全体の健康に欠かせないということです。
肝臓の健康が大事な理由とは?
私たちが生きる世界には毒があふれています。そして、体は増え続ける毒に対処する必要があるのです。これらの毒素は、農薬、ハウスダスト、大気汚染、水に含まれる化学物質、動物の肉に注入されたホルモン、加工食品の人口成分、または化粧品、ローションやシャンプーの有害物質の形で現れることがあります。
体内で血流に入った毒素は肝臓に運ばれます。それから肝臓は保持または排除するべきものを選別するのです。具体的には、中和または排除する必要があるもの、そして体に栄養を供給するために通過させる必要があるものが決定されます。
しかし、毒素の排除は単なる濾過のプロセスではないのです。解毒には2つの段階があります。第一段階では、肝酵素は有毒物質と結合し、それらをより安全な化合物に変換する必要があります。第二段階では、肝臓はこれらの化合物に分子を追加して水溶性にします(その結果、分子はより安定して輸送しやすくなります)。
グルタチオンは、第二段階における肝臓の主要な役割を担うものの1つです。3つのアミノ酸(システイン、グリシン、グルタミン)からなるグルタチオンは、肝臓で毒素と結合して体外に輸送するために使用されます。
グルタチオンは体が作り出す最も強力な抗酸化物質の一つです。これは、抗酸化物質として体の正常な代謝過程の間に生成される不安定な酸素分子であるフリーラジカルとに対処します。安定性を回復するために、これらの酸素分子は周囲の分子から電子を引き裂こうとするので、より多くのフリーラジカルが生じることになります。この活動が広がり続けるにつれて、細胞損傷が起こることがあります。これは加齢に影響したり、癌などの感染症の発症につながることがあると考えられています。
グルタチオンは肝臓で産生されているので、健康増進への取り組みには肝臓の健康にしっかり焦点を当てるべきなのです。肝臓が大量の有毒物質に日常的に対処することを余儀なくされると、そのリソースが枯渇することがあるのです。グルタチオンの供給量が少なくなるだけでなく、他の肝機能も損なわれることがあります。肝臓には他にも重要な役割があります。例えば、胆汁の生成(脂肪を消化するのに必要)、鉄とビタミンの貯蔵、古い赤血球の廃棄、そして必要に応じて貯蔵した糖をエネルギーに使える形に変換するなどが挙げられます。
肝臓をサポートする方法
肝臓の健康を増進することがあるライフスタイルの原則をご紹介します。
運動する
皮膚はもう一つの解毒経路であるため、運動すると肝臓へのストレスが低減されます。より発汗することでより多くの毒素が皮膚から除去され、肝臓への負担が軽減されます。
ストレス管理
コルチゾールは”ストレスホルモン”です。また、肝臓のバランスが取れている状態であるホメオスタシスを制御します。コルチゾールが多すぎると、そのバランスが崩れることがあります。
アルコール摂取量を制限する
肝臓が1時間に分解できるアルコールはほんの少量です。お酒はほどほどにしましょう。平均的な体格の女性なら1日1杯、そして男性は1日2杯にとどめてください。標準的なドリンクは、ワイン150ml、ビール360ml、または蒸留酒45mlです。
バランスの取れた栄養素が豊富な食事をする
トランス脂肪、飽和脂肪、硬化脂肪は脂肪肝疾患のリスクを高めるので、あまり摂取しないようにしましょう。飽和脂肪は、油で揚げた食品、乳製品、赤身の肉に含まれています(ただし、グラスフェッドの牛肉は、穀物で飼育した牛肉よりも飽和脂肪が少ないです)。精製糖と果糖コーンシロップを制限する。この種の糖は肝臓でしか処理できないので、摂取しないようにすると肝臓の負担を減らすことができます。健康的な肝機能をサポートする食品を追加してもよいでしょう。
肝臓を健康にする食べ物とサプリメント
グルタチオンブースター
緑茶、魚油、レスベラトロールには、グルタチオンの産生に関与する遺伝子を活性化する物質が含まれています。アブラナ科の野菜(ブロッコリー、キャベツ、カリフラワーなど)は、グルタチオンの産生を促進します。ニンニクとタマネギにはグルタチオンの産生に必要な硫黄が含まれます。
セレン
セレンは、肝臓がグルタチオンを再利用する能力を高めるミネラルです。サプリメント、または、イワシ、そしてブラジルナッツなどの食品にも含まれます。
ビタミンE
ビタミンEはグルタチオンのリサイクルを助ける重要な抗酸化物質です。ビタミンEが豊富な食品には、アーモンド、アボカド、ホウレンソウがあります。
ビタミンC
よく知られている抗酸化物質であるビタミンCは、グルタチオンと一緒になって水溶性の毒素を体内から除去します。
N-アセチルシステイン
NAC は、グルタチオンの前駆体であるアミノ酸です。そのため、肝臓のグルタチオンを補給するのに役立つちます。
アルファリポ酸
緑茶
緑茶は、肝機能を促進するカテキンとして知られている抗酸化物質が豊富です。
発酵食品
ケフィア、キムチ、紅茶キノコ、ザワークラウトなどの発酵食品には、健康的な消化器系をサポートし、腸の内側を維持する有益な細菌であるプロバイオティクスが含まれています。有害な物質を消化管内から出ないようにし、血流内に入れないようにすると、肝臓への毒性負荷が軽減されます。毒素は便から簡単に除去することができます。
ビート
ビートに含まれる物質ベタインは、解毒のプロセスや肝臓の脂肪の分解と除去を助けます。
葉野菜
ケール、ロメイン、ホウレンソウ、ルッコラ、コラード、タンポポの葉などの葉野菜にはクロロフィルが豊富に含まれるため、胆汁の産生を増加させ、血液の浄化に役立ち、重金属、農薬、および肝臓に負担をかける有害化学物質を中和します。
レンズ豆
レンズ豆に含まれているコリンは、体全体に分配する前に脂肪を調製するために肝臓によって使用されます。そうすることで、コリンは肝臓の脂肪蓄積を防ぐのを助けます。
オメガ3
魚油とオキアミ油にはオメガ3脂肪酸が含まれます。これは、非アルコール性脂肪肝疾患がある人の肝臓の脂肪と炎症を軽減することが証明されています。したがって、オメガ3補給は肝機能を改善し、炎症を軽減する可能性があります。