食事でオメガ3の摂取量を増やす方法

著者: アリサ・バジェナル、管理栄養士
この記事の内容 :
オメガ3 と聞いて連想するのは、巨大なサーモンの大皿料理かフィッシュオイルカプセルかもしれません。そもそも、オメガ3とはどのような栄養素で、なぜ食事に必要なのでしょう?
オメガ3とは?
オメガ3脂肪酸 は、人間の健康と発達に不可欠で、その潜在的な健康効果が常に研究されています。脳の機能と炎症に重要な役割を果たすオメガ3は、冠状動脈性心疾患のリスクを減らす可能性があります。
オメガ3には主に以下の3種類があります。
エイコサペンタエン酸(EPA)
最も生物活性が高い2種類のオメガ3脂肪酸は、サケや イワシなど脂肪の多い魚に含まれるDHAとEPAです。(面白いのは、これらの脂肪酸が元来、魚ではなく微細藻類に合成されていることです。微細藻類を摂取した魚の組織にオメガ3が蓄積されるわけです。)
ALAは、アメリカ人の食事に最も多いオメガ3供給源で、 フラックスシード(亜麻仁種子)、 チアシード 、 クルミなどの植物性食品に含まれています。ALAが体内で酵素的にDHAまたはEPAに変換されるのはごく低い割合(<1%〜15%)であることから、多様なオメガ3供給源を摂取することが重要です。
オメガ3の推奨摂取量はありますか?
成人一人あたり、週に200〜250g以上の魚介類(魚・貝類各種)を食べるよう現行の栄養ガイドラインが推奨しています。
特に推奨されるオメガ3の1日摂取量はないものの、アメリカ国立衛生研究所が設定する現行の適正摂取量は、ALA型で女性が1日1.1g 、男性が1日1.6gです。(ALAは植物性食品に含まれるオメガ3型であることをお忘れなく。)以下のALA食物源一覧を見れば、楽にクリアできる摂取量であることがわかるはずです。
フラックスシードオイル、大さじ1 :7.26g
チアシード、30g :5.06g
ペルシャ グルミ、30g :2.57g
フラックスシード、全粒、大さじ1:2.35g
DHA・EPAの最良の食料源とは?
前述の通り、魚に含まれるオメガ3は、魚が摂取して組織に蓄積した食物に由来するものです。つまり、微細藻類の摂取量と脂肪組織が多い魚ほど、DHA・EPAの濃度が高いというわけです。魚介類の栄養効果を最大限に引き出すには、さまざまな種類のシーフードを食べることが大切です。以下がその一部です。
1食あたりの重量(g)
DHA EPA
サケ、大西洋、野生、調理済みのもの、85g 1.22 0.35
ニシン、大西洋、調理済みのもの、85g 0.94 0.77
イワシ、トマトソース漬け缶詰、汁気を切ったもの、85g 0.74 0.45
サケ(ピンクサーモン、別名カラフトマス)、缶詰、汁気を切ったもの、85g 0.63 0.28
マス(ニジ)、野生、調理済みのもの、85g 0.44 0.40
オメガ3の利益とは?
アメリカ国立衛生研究所によると、 オメガ3サプリメント は関節リウマチの症状を緩和し、加齢性黄斑変性症の進行を遅らせるのに役立つと考えられます。
心血管の健康に関しては、長年オメガ3の健康効果について矛盾する主張があったものの、新たな2件の研究で、より正確な推奨事項への道が開かれています。
New England Journal of Medicine誌に発表された大規模な複数年研究では、週1.5食分未満の魚を摂取し、オメガ3サプリメント(DHA + EPA)を1日1g加えた被験者の主要な心血管イベント(19%)と心臓発作(40%)に、大幅な減少が見られました。また、同じサプリメントを摂取したアフリカ系アメリカ人参加者の心臓発作が77%減少しました。同研究は、これらのサプリメントが認知機能低下、糖尿病、うつ病、自己免疫障害に及ぼす影響を目下調査中で、2020年中には結果が発表される予定です。
New England Journal of Medicine誌の別の研究では、心疾患のリスク因子があるか、既に心血管イベントを発症した被験者の高トリグリセリドレベルに、焦点が当てられました。この研究では、1日4gの高用量で処方されたEPAサプリメントのみが使用され、心疾患による死亡リスクまたは心臓発作、脳卒中、胸痛(狭心症)の発症リスクが25%減少したことがわかりました。
では、この新たな研究結果を踏まえて実践できることとは何でしょう。
1週間あたりの魚摂取量が1.5食分未満の方は、魚の摂取量を増やすか、 オメガ3サプリメントを取り入れてみてはいかがでしょう。
アフリカ系アメリカ人の方は、特にオメガ3サプリメントの効果を実感するかもしれません。
トリグリセリド値が高く、心血管疾患のリスク因子がある方は、高用量のオメガ3製品摂取についてかかりつけ医に相談することをお勧めします。
オメガ3の摂取量を増やしたいけれど、食事に シーフード を取り入れにくいという方や、魚介類をまったく食べないという方にお勧めしたいサプリメントが多数あります。 フィッシュオイル サプリメントは豊富なDHA・EPAの供給源です。ビーガンあるいは他の理由で魚を食べる習慣がない方は、DHA・EPAにもビーガン向けの選択肢があります(先ほど述べた、魚が食べる微細藻類を覚えてますか?)。
抗凝固薬、抗血小板薬、抗炎症薬のいずれかを服用中の方、妊娠中の女性、糖尿病または高LDLコレステロールのリスクが高い方は、オメガ3サプリメントを取り入れる前に主治医にご相談ください。
食事にもっと魚を取り入れる簡単な方法とは?
魚の摂取量を増やすことに気後れするアメリカ人は多いかもしれませんが、プロのシェフでなくともシーフードを手軽に楽しむ方法が数多くあります。以下、食事にシーフードを加える方法をいくつかご紹介しましょう。
フィッシュタコス :これは実に手早く簡単に作れます。タラまたはティラピアのフィレを、ライムの絞り汁、 オリーブオイル、 クミン コリアンダーを混ぜ合わせたつけ汁に15分漬け込みます。中強火にかけたフライパンで片面約3分ずつ、または魚が簡単にほぐれるようになるまで焼きます。温めたトウモロコシのトルティーヤに乗せ、お好きなトッピングを添えてお召し上がりください。
天板料理:天板に、お好みの野菜とサーモンまたはエビを乗せ、 オリーブオイル、 塩 、 コショウ で調味し、220度に熱したオーブンで15分ローストします。アスパラガスやブロッコリーのように火が通りやすい野菜を一緒に選ぶと良いでしょう。
缶詰もフルに活用しましょう。 ツナ から イワシ、サケ、カキまで、シーフードの缶詰は、食事に魚を取り入れる際の強い味方(かつ簡単な方法)です。チーズとクラッカーを盛り付けたスナックプレートに燻製ムール貝かカキを加えたり、バッグにツナパウチを忍ばせて、手軽でヘルシーなランチにどうぞ。以下、シーフードの缶詰を使ったお気に入りのレシピの一つをご紹介しましょう。
アジア風サーモンサラダレシピ
これは私自身が何度も作ったレシピで、 ツナの缶詰との相性抜群です。しかも、このレシピの特徴は、ツナの代わりにサケの缶詰を使うと、ほぼ5倍もの オメガ3が摂れることです!
材料 :
サケの缶詰 2個、汁気を切っておく
赤キャベツ 1/2カップ、 千切り
ニンジン(大)1本、千切り
ニンニク 1片、みじん切り
生ショウガ 小さじ1、皮をむいてみじん切り
チリペッパーフレーク (お好みで辛さを調節)小さじ1
- 大さじ2
焙煎 ゴマ油
- 小さじ1
米 酢
- 大さじ3
砂糖
- 小さじ1
コリアンダー 大さじ2、みじん切り
ネギ 1本、みじん切り
作り方 :
大きめのボウルにすべての材料を入れます。
よく和えて冷蔵庫で冷やします。
サラダの具を、カップに見立てたレタスの葉に置いたり、トーストしたパンに乗せていただきます。
フラックスシード や クルミ を散らして ALA をアップしましょう!