食物繊維のサプリメントはそれほど高く評価されているとは言えず、便秘の時以外はあまり用途がないと思っている方が多いのではないでしょうか。そんな食物繊維ですが、実は健康全般に大きな効果が期待できるだけでなく、原因を問わず死亡リスクを下げる可能性を示唆するエビデンスもあるほどです。

1,300人の男性を対象としたある研究では、高齢期を通して追跡調査したところ、食物繊維の摂取量が10g増えるごとに、心疾患による死亡率が17%減少し、その他の原因による死亡率も9%下がりました。この関係性は年齢と共に薄れていったものの、食物繊維には生涯にわたって死亡率を下げる効果があることが明らかになりました。

この他にも、男女共に同様の研究結果が得られています。例えば、食物繊維の摂取量が最も多い人は、最も少ない人に比べて、あらゆる原因による死亡リスクが37%低いことがわかりました。こうした結果を踏まえて、一般に食物繊維で健康全般の保護が図れると結論づけても差し支えないでしょう。

食物繊維とは

ではここで、食物繊維の特性と健康への働きについてご説明しましょう。概して、食物繊維は粗飼料(そしりょう。粗繊維含量が高く、養分含量の低い飼料)と考えられています。ほとんどの食物繊維には難消化性炭水化物が含まれ(明らかな例外は、木質素とも呼ばれ、木化した植物体の主成分の一つであるリグニン)、消化されずにそのまま小腸を通過します。

食物繊維は、大きく分けて水溶性と不溶性の2種類があり、不溶性食物繊維は主に膨張性下剤として作用し、水溶性食物繊維は腸内細菌のエサとなります。また、水溶性食物繊維はゲル化力・増粘力に優れており、そういった性質も水溶性食物繊維の効果の一環である可能性があります。

不溶性食物繊維の例としては、フラックスシードや全粒穀物に含まれるリグニンをはじめ、セルロース(繊維素とも呼ばれる、植物の細胞壁を構成する主成分)や一部のヘミセルロース(植物繊維から抽出される多糖類の一種)などが挙げられます。一方、水溶性食物繊維には、ペクチンガムイヌリンβグルカン、レジスタントスターチ(難消化性デンプン)などがあります。

食物繊維の推奨摂取量

成人に推奨される食物繊維の摂取量は、50歳未満の場合は女性が25g、男性が38gで、50歳以上になると、女性21g、男性30gと減少します。これらの推奨摂取量は、心疾患のリスク低下のための研究から得られた目標値に基づいたものです。

ただし、世界的に見て、この基本摂取量を満たしている国は決して多くありません。例えば、アメリカ、フランス、ブラジルで行われた研究によると、ほとんどの人に食物繊維が不足しており、摂取量を増やすことで健康改善が図れると考えられます。

食物繊維の効能

1. 食物繊維が胃腸にもたらす効果

食物繊維と聞いて多くの人が思い浮かべるものといえば、胃腸への効果ではないでしょうか。確かに、食物繊維が胃腸の健康をサポートすることが最新の研究で明らかになっています。具体的には、食物繊維の摂取量を増やすと、消化性潰瘍、胆のう疾患、痔、便秘、憩室炎(けいしつえん。大腸の壁が袋状に外に飛び出してできた憩室で炎症が起きている状態)の発生率が低くなるという研究結果があります。   

食物繊維といえば便秘に効くイメージがありますが、実際のところ、一貫した研究結果は得られていません。その問題の一つは、研究対象となる食物繊維の多様性にあるのではないかと思われます。というのも、食物繊維の種類によって効果に大きな差が出るためです。不溶性食物繊維は、水溶性のものよりも安定した緩下(かんげ。下剤)作用があり、便のかさを増やします。

不溶性食物繊維の代表的な食物源には、果物、野菜、豆類ナッツ類、全粒穀物などがあります。一方、水溶性食物繊維も便秘に効果がないとは言えないものの、適切な種類の食物を摂取することが大切です。中でも、保水力の高いゲル状の水溶性食物繊維は便を軟らかくする効果があり、その好例が(粉末でなく)全粒オオバコ種皮(サイリウムハスク)です。それに対し、水に完全に溶ける水溶性食物繊維は便秘への効果が期待できません。

過敏性腸症候群はよく知られている消化器系疾患ですが、十分理解されているとは言えません。その治療補助として用いられている方法のうち最も簡単なものは、水溶性食物繊維を使用したものです。最近では、過敏性腸症候群の治療法としての食物繊維のメタアナリシス(過去に行われた複数の研究データを統合して解析した統計手法)がすべて評価され、水溶性食物繊維が症状の軽減に有効であると結論づけられました。

過敏性腸症候群の治療補助によく使われる水溶性食物繊維にはオオバコ種皮フラックスシード(亜麻仁種子)などがあります。このような食物繊維は有益ではありますが、一部の過敏性腸症候群患者が特定の種類の水溶性食物繊維を摂取すると小腸内の細菌が過剰に増殖し、症状が悪化するおそれがあります。このことからも、研究結果にかかわりなく、治療に対する自分の反応を把握することは、健康を管理する上で常に重要です。

2. 食物繊維と心疾患

食物繊維が心臓を保護する効果があると聞いて、最初は意外に感じる方もいるかもしれません。その一方で、心臓への食物繊維の効果を謳う食品のラベル表示に見覚えがある方も多いのではないでしょうか。FDA(米国食品医薬品局)がβグルカン(オーツ麦に含まれる水溶性食物繊維)やオオバコ繊維を含む食品に栄養機能表示を許可していると言えば、これがいかに強力なデータであるかがわかるでしょう。これまでの研究で、食物繊維には心臓の健康に以下のような効果が期待できることが明らかになっています。

  • 正常なコレステロール値の維持
  • 血圧のバランス調整
  • 炎症を抑える可能性

食物繊維は、コレステロールを結合して体外に排出することで、コレステロールの抑制を促進すると考えられます。血圧については、食物繊維がどのように役立つのかはっきりとは解明されていません。最も有力なデータによると、特に血圧を下げる効果があるのはオオバコですが、このサプリメントを取り入れても収縮期血圧(最高血圧)が2.4ポイント下がった程度という控えめな結果となっています。

さらに、水溶性食物繊維は消化管内の善玉菌を増やすのにも役立ちます。善玉菌は水溶性食物繊維をエサにして食物繊維から抗炎症作用のある短鎖脂肪酸を生成するため、炎症レベルを下げるのに役立つようです。また、食物繊維は血糖値をコントロールしやすくします。このように、炎症の増加につながる血糖値の上昇を抑えることで、食物繊維で全体的な健康リスクの低下が図れるでしょう。

3. 食物繊維と2型糖尿病

心疾患に効果のある食物繊維のメカニズムの中には、糖尿病にも有効なものがあるとみられます。とはいえ、もともと糖尿病は心疾患のリスクを高めるものであり、この2つの疾患には共通する潜在的危険因子があるため、決して驚くことではありません。

食物繊維は炭水化物の吸収を遅らせ、血糖値を安定させやすくすることから、長い目で見れば糖尿病患者のインスリン管理改善につながるでしょう。血糖値とインスリンが低下すると糖尿病の進行が遅くなり、長期的な弊害を幾分和らげやすくなります。ある小規模臨床試験では、糖尿病患者が水溶性食物繊維25gと不溶性食物繊維25gを含む高繊維質の食事を毎日摂取したところ、血糖値のコントロールが改善された他、コレステロールと中性脂肪(トリグリセリド)の改善も見られました。

さらに、その効果は糖尿病の治療にとどまりません。食物繊維の摂取量を増やすことで、この病気の予防にも役立つことがわかっています。その一例として、穀類繊維を2g摂取するごとに、糖尿病のリスクが6%減少するという研究結果があります。また、不溶性食物繊維と果物繊維も、これまで発表された研究のほとんどで効果があるとされています。一方、意外にも、水溶性食物繊維と植物繊維は糖尿病リスクの低下に効果が見られませんでした。ただし、食物繊維の総摂取量には予防効果が見られたため、これはやや紛らわしい結果と言えるかもしれません。

4. 食物繊維と減量

減量に効果があるなどと怪しげな謳い文句で出回っている商品が多数目につく今日この頃ですが、少なくともある程度の効果が期待できそうなタイプの食物繊維があります。減量を目的とする食物繊維の使用に関する最新のメタアナリシスでは、約10週間にわたって1日平均16gの水溶性食物繊維を摂取したところ、体重が2.5kg減少したことがわかりました。ただし、これまで発表された研究に大きなばらつきがあったため、この分析結果の解釈には注意が必要であると研究著者は述べています。

グルコマンナンはコンニャクイモ由来の水溶性食物繊維であり、消化管内で膨張して満腹感を促すことから、食事量の制限に期待できます。グルコマンナンの減量効果に関する研究ではまだ一貫した結果が得られていませんが、特殊なグルコマンナン製品であるPGXの摂取量を増やすほど、より着実な減量効果が得られる可能性があります。

グルコマンナンを十分に評価するにはさらなる研究が必要です。なお、このサプリメントは胃腸系の副作用を起こす可能性があります。グルコマンナンを安全に摂取するには、他の食物繊維サプリメントと同じく、摂取時に水をたっぷり飲むことをお忘れなく。

まとめ

このように、食物繊維が効果を発揮するのは便秘だけではなく、心疾患、糖尿病、消化器系疾患など、さまざまな病気の予防に役立つ可能性があります。いわゆる全死因死亡率を低下させることを強く示唆するデータがある通り、食物繊維はあらゆる原因による死亡リスクを下げると考えられます。

食物繊維が不足気味と感じたらサプリメントを取り入れてみてはいかがでしょうか。十分な補給を心がけることで、食物繊維が持つあらゆる効果を実感できるかもしれません。

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