コリンは、ヒトの健康のほぼあらゆる面に影響を与える重要な栄養素です。しかし、それにもかかわらず成人の多くが食事でコリンを十分に摂取できていないことが研究で示唆されています。皆さんはいかがでしょうか。

コリンに期待できる6つの効能

‌‌‌‌コリンと細胞膜の健康

コリンは人体の細胞膜の大部分を構成しています。輸送体や受容体などが示された脂肪細胞膜の図を高校の生物の授業で見たという方もいらっしゃることと思います。細胞機能の多くを制御する細胞膜だけに、ダメージを受けると、体に何らかの症状が出たり、最終的には慢性疾患につながることもあります。細胞膜の機能を維持するには、毎日コリンを十分摂取することが大切です。

‌‌‌‌メンタルヘルスに対するコリンの効果

コリンは、神経伝達物質であるドーパミンとノルアドレナリン(ノルエピネフリン)に対する細胞受容体の感受性を高めます。これらの化学物質の役割は幸福感や注意力を促進することです。コリンを摂取することで、脳内ドーパミンの活動不足が一因であるパーキンソン病が改善される可能性があると示唆する研究結果もあります。

コリンは、交感神経系と副交感神経系に関与する別の神経伝達物質であるアセチルコリンの重要な構成要素でもあります。アセチルコリンは麻酔の主な標的の一つですが、麻酔使用後の回復にコリンが重要な役割を果たしていると考えられています。

‌‌‌‌学習・記憶に対するコリンの効果

過去数十年にわたって行われた一連の研究では、コリンが幼少期以降の認知機能や神経可塑性(しんけいかそせい)に関与していることが示されています。神経可塑性とは、脳が適応して成長する能力を指します。これは、健康維持をはじめ、認知機能低下や認知症の予防に不可欠な仕組みです。

‌‌‌‌心血管の健康におけるコリンの役割

コリンとその誘導体であるベタインは、いずれも他の分子に炭素基と水素基を供与するメチルドナー(メチル基供与体)です。このメチル基供与は、DNA(デオキシリボ核酸)とRNA(リボ核酸)の生成など、さまざまな生体機能における重要なステップです。メチルドナーは、体内のホモシステイン濃度を低下させるのにも一役買います。このホモシステインは、心臓発作などの疾患リスクを高める心毒性分子です。つまり、心臓の健康維持には十分なコリン摂取が欠かせないというわけです。

‌‌コリンと妊娠

妊娠中にコリンを十分摂取することで、胎児の神経管欠損予防が図れそうです。これは、コリンが新生児期の正常な脊髄形成を助けるためです。

‌‌脂肪肝疾患とコリン

コリン欠乏の主要症状の一つに、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と呼ばれるものがあります。この障害がある方や家族が発症したという方は、検査でコリン欠乏の有無を調べる必要があるでしょう。さらに、コリン不足が筋損傷を引き起こすというおそれもあります。

‌‌コリンの食物源

コリンの推奨栄養所要量(RDA)は1日あたり425~550mgです。食事における代表的なコリンの供給源は以下の通りです。

  • 牛レバー
  • 大豆
  • 鶏肉
  • ジャガイモ
  • 豆類

なお、コリンの分解に欠かせないのが消化酵素です。コリンが血中に吸収可能な形に分解されるには膵酵素(すいこうそ)を必要とするためです。

コリンの摂取方法については、サプリメントの他にも、グレイビーソースなど特定の加工食品に含まれているレシチンからもコリンを摂ることができます。

‌‌‌‌サプリメントによるコリン摂取方法

食事でなるべく多くのコリンを摂取したいなら、シチコリンのようなサプリメントを取り入れることをお勧めします。上記のコリンの食物源を食べる習慣がないという方のコリン不足対策には、やはり毎日のサプリメント習慣が賢い方法と言えそうです。

コリンは、最適な健康状態を維持するためになくてはならない栄養素です。しかも、コリンは食物源からもサプリメントでも摂取しやすいのが特徴です。なお、コリンが個人にもたらす健康効果をはじめ、何らかの症状がある方への影響について不明な点がある場合は、かかりつけ医にご相談ください。

参考文献:

  1. Blusztajn, Jan Krzysztof, and Tiffany J Mellott. “Choline Nutrition Programs Brain Development via DNA and Histone Methylation.” Central Nervous System Agents in Medicinal Chemistry, vol. 12, no. 2, 2012, pp. 82–94, jp.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5612430/, 10.2174/187152412800792706. Accessed 13 Oct. 2020.
  2. Gareri, Pietro, et al. “Effectiveness and Safety of Citicoline in Mild Vascular Cognitive Impairment: The IDEALE Study.” Clinical Interventions in Aging, Feb. 2013, p. 131, jp.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3569046/, 10.2147/cia.s38420. Accessed 13 Oct. 2020.
  3. “Office of Dietary Supplements - Choline.” Nih.Gov, 2017, ods.od.nih.gov/factsheets/choline-HealthProfessional/. Accessed 13 Oct. 2020.