世界の死因第1位を占める心血管疾患で亡くなる人の数は、年間およそ1,800万人にのぼります。心血管疾患にはさまざまな危険因子がありますが、その一つが高コレステロール値です。医学誌New England Journal of Medicineの報告によると、いわゆる悪玉コレステロールと呼ばれる低密度リポタンパク質(LDL)の割合は過去38年間で上昇しており、特に東アジア・東南アジア諸国に多い症例です。2017年には、心臓発作や脳卒中による予防可能な死因の3分の1が高LDLコレステロールによるものでした。

このような高LDLコレステロールを原因とする疾患は、健康的な食事や運動をはじめ、緑茶エキスオメガ3脂肪酸ショウガニンニクといったサプリメントで防ぐことができます。9月はアメリカのコレステロール教育月間であることから、心血管疾患の発症リスクを最小限に抑える方法を知り、実践する上で絶好の機会と言えるでしょう。

善玉コレステロールと悪玉コレステロールについて

コレステロールは体に不可欠な物質で、正常な細胞機能に多くの役割を果たしており、細胞膜を構成する主要成分の一つです。また、コレステロールは、ビタミンDの他、コルチゾール、エストロゲン、テストステロン、プロゲステロンなどのホルモンの構成要素でもあり、ビタミンADEKといった脂溶性ビタミンの消化を助ける働きもあります。さまざまな形で血液中を循環するコレステロールですが、特に臨床的に重要なものは、高密度リポタンパク質(HDL、善玉コレステロール)と低密度リポタンパク質(LDL、悪玉コレステロール)の2種類です。

LDLは、血管内のアテローム性動脈硬化プラーク(血管内膜にコレステロールや脂肪が溜まってできるかゆ状のプラーク【粥腫、じゅくしゅ】)の発生リスクを高める原因とされています。このLDLはコレステロールを体中に運搬する機能を持ち、細胞修復に必要とされない場合は動脈壁に蓄積されます。こうして溜まったプラークは、心臓発作、末梢動脈疾患、大動脈瘤、さらには脳卒中など、健康に多大な悪影響を及ぼします。一方、HDLは抗炎症作用がある上に、組織内のコレステロールを肝臓に運搬したり、動脈壁に付着した動脈硬化プラークを分解する働きがあるため善玉コレステロールと呼ばれています。

年に一度の健康診断で高コレステロール(血症)と診断されるのは、通常LDLコレステロール値160mg/dL以上です。ただし、たとえLDL値が100〜150mg/dLであっても、特に若年成人では心血管疾患の発症率が30〜40%高くなります。HDL値の高低に関わらず、LDL値が高ければ心血管疾患発症のリスクにさらされるため、何よりも健康的な食事、運動、禁煙を心がけることが重要であり、この後ご紹介するサプリメント4種を摂取することでさらなる効果が期待できます。

ヒントその1:鍵となるのは食事

アメリカ心臓協会によると、コレステロール値の低下を図るには、飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の摂取を控えることが一番です。具体的には、以下のような食事の見直しが推奨されます。

  • 赤身肉の摂取量を減らす。
  • 全乳(ホールミルク)や全乳チーズなどの乳製品の摂取量を減らす。
  • 揚げ物の摂取量を減らす。

健康的な食事とは、果物や野菜、全粒穀物、鶏肉、魚、ナッツ類の他、体に良い良質な植物油などが中心で、赤身肉・加工肉、塩分・糖分、甘味料入り飲料などを抑えたものです。

脂質を認識:飽和脂肪酸とトランス脂肪酸は、不要なコレステロールを増加させる傾向があることを覚えておきましょう。また、運動量を増やすとHDL値が上がりやすくなる一方、喫煙(従来の紙巻きタバコだけでなく、電子タバコや加熱式タバコも含む)はHDL値を大幅に下げてしまいます。つまり、高HDL値を維持するには、あらゆるタイプのタバコの使用を控えることが大切です。

このように生活習慣を見直してもLDL値が下がりにくいという方は、後押しとして以下のサプリメントを取り入れてみてはいかがでしょうか。

ヒントその2:緑茶エキス

緑茶はチャノキ(茶の木、学名 Camellia sinensis)の葉から作られ、世界中で親しまれている飲料です。一部の国で薬用としても使われる緑茶には抗酸化物質と14種類のポリフェノールが含まれているため、心血管疾患のリスクを抑えるのに役立つ可能性があります。緑茶飲料と緑茶エキスのサプリメントの摂取を調査した14件の研究をレビューしたところ、緑茶が血中の総コレステロール値とLDL値を下げやすくすることが明らかになりました。

LDL値の低下に役立つと考えられる緑茶の働きの一つは、コレステロールの吸収を防ぎ、肝臓のコレステロールを減らすことです。また、緑茶に含まれるカテキンという抗酸化分子が、コレステロール合成を防ぎやすくするようです。ただし、緑茶エキスにはHDL値の上昇を助ける効果は示されていないため、善玉コレステロールの増加をサポートする他のサプリメントを摂取する必要があるかもしれません。

ヒントその3:オメガ3脂肪酸

オメガ3やオメガ6などの多価不飽和脂肪酸(PUFA)は、脳や目といった器官の細胞膜構造など、体の重要な部分を構成する栄養素です。重要なのは、オメガ3脂肪酸のようなPUFAが、動脈硬化プラークの発生リスクを高めがちな炎症の制御に役立つ点です。

グリーンランドの住民を対象とした疫学研究で心血管疾患発症率が低いことが示されましたが、これは同住民が魚と魚油(フィッシュオイル)を多く摂取するためとみられます。この研究で、血中のオメガ3脂肪酸とオメガ6脂肪酸の濃度を分析したところ、オメガ3脂肪酸の濃度が高い人ほどHDL値も高いことがわかりました。また、オメガ3脂肪酸はLDL値を下げる可能性があるため、動脈硬化プラークの発生予防にも有望と言えるでしょう。

米国食品医薬品局(FDA)は、高血中コレステロールの調節に役立てる目的でオメガ3脂肪酸の使用を承認しています。FDAが推奨するオメガ3脂肪酸の摂取量は1日4gであり、2gのカプセルを1日2回摂取する方法が一般的です。これらのサプリメントは、FDAにより一般に安全と認められています。

ヒントその4:ショウガ

多くの効能により古くから用いられてきたスパイスの中でも、特によく知られるものと言えばショウガではないでしょうか。ショウガには、コレステロールを下げる効果が期待できる有益な抗酸化作用があります。Journal of Nutrition誌に掲載されたファーマン博士らによる動物研究では、1日250μg(マイクログラム)のショウガエキスをマウスに与えたところ、動脈硬化プラークが44%減少したという結果が出ています。さらに、その量のショウガでLDL値が低下したことから、ショウガを毎日補給することで、心血管疾患発症のリスク低減とLDL値の低下を図れると言えるでしょう。

ヒントその5:ニンニク

ニンニクも、インドや中国の食文化で長い歴史を持ち、数々の薬効が期待されているハーブです。スン博士らによる14件の臨床論文のレビューによると、ニンニクを摂取することでLDLコレステロール値が低下しやすくなるようです。なお、ニンニクは腸と肝臓でのコレステロールの吸収を抑える可能性があると推測されていますが、善玉コレステロールであるHDLへの影響は見られませんでした。ニンニクの推奨摂取量については、成人の場合、1日あたりニンニク4gまたは乾燥ニンニク粉末エキス錠300mgが目安です。

まとめ

全米コレステロール教育月間に向けて最も重要なポイントは、年に一度の健康診断を受けることです。健康状態を把握する上で健診情報は不可欠です。結果が出たら、生活習慣を見直したり、コレステロール値を正常に保つのに役立つ栄養補助食品を吟味して取り入れると良いでしょう。くれぐれも、心血管疾患と高LDLコレステロールは予防可能であることをお忘れなく。まずは健康的な食事、運動、禁煙を心がけ、アルコールの摂取量を抑える他にも、必要に応じて緑茶、オメガ3、ショウガ、ニンニクなどのサプリメントを利用してコレステロール値のコントロールに努めてみると良いかもしれませんね。

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