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ソーパルメット(ノコギリヤシ)は、男性の健康改善に役立つのでしょうか?

著者:エリック・マドリッド医学博士

この記事の内容 :


ソーパルメット (学名 serenoa repens)は、男性が最適な健康状態の維持を目指して摂取するサプリメント・トップ10の一つです。西インド諸島および米国南東部原産のソーパルメットに実る楕円形のマルーン(えび茶)色のベリーは、薬用に広く使用されています。 

今日では、前立腺に不安のある男性に人気の高いソーパルメットですが、伝統的には、先住民文化の男女を問わず、泌尿器疾患対策の他、精巣機能向上や豊胸の促進に用いられていました。また、消化不良の軽減補助や睡眠改善にも使用されています。 なお、妊娠中や授乳中の女性はソーパルメットを服用しないでください。

ソーパルメット :作用機序

ソーパルメットは、テストステロンをジヒドロテストステロン(DHT)に変換するのに必要な酵素である5α還元酵素(リダクターゼ)を阻害します。ソーパルメットのエキスは最大90%が脂肪酸で、ラウリン酸およびミリスチン酸と呼ばれる飽和中鎖脂肪酸が豊富に含まれています。2017年の研究によると、処方薬と服用されることの多いソーパルメットは、反応性が低いと見られます。 

ソーパルメットの支持者が主張する効能は以下の通りです。 

ソーパルメットと育毛

男性の加齢に伴い、ホルモン値が変化すると、医学的に男性型脱毛症(AGA)と呼ばれる脱毛が起こりやすくなります。人によっては恥や自尊心に関わる問題に発展するほど、多くの男性にとって抜け毛は深刻な問題です。ミノキシジルやフィナステリド(商品名 プロペシア)といった一般的な育毛剤は、FDA(米国食品医薬品局)の承認を受けています。フィナステリドは、テストステロンからジヒドロテストステロンへの変換をブロックする酵素である5α還元酵素を特異的に阻害します。ソーパルメットも同様に機能します。

2002年の二重盲検プラセボ対照研究では、脱毛症の男性が評価されました。同研究の被験者は、加齢に伴う軽度〜中等度の脱毛症のある男性でした。その結果、研究終了までに、ソーパルメットを服用した男性の60%に頭髪密度の改善が見られました。 

2012年の研究では、ソーパルメットが、一般によく知られたFDA承認の育毛剤フィナステリドと比較されました。育毛の改善は両群に見られたものの、ソーパルメット摂取群よりもフィナステリド摂取群にわずかに良好な結果が示されました。ただし、なるべく自然なアプローチを望む人の間で人気が高いのはソーパルメットです。 

2016年の研究では、脱毛予防に局所処方のソーパルメットもテストしつつ、経口ソーパルメットの有用性が確認されました。脱毛予防に処方薬を服用したくない男性には、ソーパルメットの局所塗布が適しているという結論が得られました。過去の私の記事では、抜け毛に悩む方にお勧めの自然なアプローチについてご説明しています。

ソーパルメットとテストステロン値 

男性の加齢に伴い、テストステロン値が自然に低下します。テストステロン値が下がると、疲労、勃起不全、体重増加、性欲減退、筋力低下につながるとされています。正常体重を手に入れ、低糖食を実践し、運動習慣をつけることで、テストステロン値の改善が期待できます。 

低テストステロンが原因と考えられる症状について医師の診断を仰ぐ男性は少なくありません。低テストステロンのリスクにある人は、簡単な血液検査で診断できる場合もあります。適切と判断された場合は、テストステロン補充を勧められることがあります。私の経験では、以前の記事でご説明したように、多くの男性がテストステロン値改善のための自然なアプローチを求めています。

2008年の研究では、アスタキサンチンも配合されたソーパルメット含有のサプリメントが、被験者の総テストステロン値の上昇に役立ったことが示されました。同研究では、脱毛を引き起こすメカニズムであるDHTの減少も示されました。 

ただし、1988年に行われた30日間のみの小規模な研究では、テストステロン値に効果は見られませんでした。これは、ソーパルメット のテスト期間が短すぎたためと考えられます。最終的な結論を下す前に、さらなる研究が必要です。 

ソーパルメットと前立腺の健康 

前立腺は男性の健康に大変重要な器官です。実際、前立腺(prostate)の語源はギリシャ語で「前に立つもの」または「保護するもの」と意味があります。前立腺は膀胱と結腸の間にあります。前立腺の主な機能は、射精時の精子輸送を助ける透明なアルカリ液を分泌することです。アルカリ性は、膣管の酸性を中和することで、精子を保護し、精子と卵子の受精を促して、生命のサイクルを維持します。 

多くの男性が直面する前立腺疾患には、前立腺肥大症(BPH)と、さらに重篤な前立腺がんの2種類があります。 

前立腺肥大症

加齢と共に、多くの男性にBPH(良性前立腺肥大症)と呼ばれる前立腺肥大関連の症状が現れます。この症状は、40歳前後から発症するケースもあり、60歳以上の男性の最大50%に見られます。250万人以上のアメリカ人(ヨーロッパと日本を含むとさらに数百万人)がソーパルメットを前立腺疾患対策に役立てていると推定されます。

このような症状には、膀胱を空にできない状態や、排尿後尿滴下、尿流の減少、頻尿などがあります。症状を軽減する処方薬が手に入るとはいえ、副作用に対する懸念から、多くの患者がなるべく自然なアプローチを求めています。これらの代表的な薬剤は以下の通り:

  • α遮断薬 – タムスロシン、ドキサゾシン、テラゾシン、アルフゾシン(副作用例:低血圧、勃起不全、頭痛、震え)
  • 5α還元酵素阻害剤 – フィナステリド、デュタステリド(副作用例:勃起不全、性欲減退)
  • ホスホジエステラーゼ5阻害薬 – タダラフィル(副作用例:胃痛、鼻づまり、顔面紅潮、めまい)

ソーパルメットは、研究によると、一部の前立腺肥大患者への効果が期待できるハーブ療法です。前立腺肥大の症状がある多くの男性患者を診てきた私の経験では、半数にソーパルメットの効果が見られ、もう半数は前向きな変化に気づきません。なお、このサプリメント使用による副作用例は見たことがありません。

効果が示された研究

Urology誌発表の2001年の研究結果は以下の通り。「プラセボ群と比較して、ソーパルメットを摂取した男性の下部尿路関連の有症状率が低いという、統計的に有意な泌尿器症状の改善が見られた。なお、研究参加者の尿流量については、ソーパルメットによる測定可能な効果は見られなかった。ソーパルメットによる泌尿器症状の改善メカニズムは依然として不明である。」

とはいえ、2001年以降、このハーブの作用の仕組みについて多くのことが分かりました。例えば、2015年の研究では、前立腺肥大の症状のある165人の男性が評価されました。同男性被験者らは、1日160mgのソーパルメットで治療を受けました。6週間後、泌尿器症状に改善が見られ、「ソーパルメットエキスのカプセルは、前立腺肥大症に安全かつ効果的な療法であった」と結論付けられました。

さらに、高濃度のソーパルメットエキスを用いたEuropean Urology Focus誌掲載の2016年の研究でも有効性が示されました。ここでは、ソーパルメット摂取群に前立腺肥大症関連の症状軽減が見られたことが注目されました。これは、前立腺肥大症状の治療に用いられる処方薬タムスロシンおよびフィナステリド服用中の患者に見られる効果に類似するものです。

ただし、すべての科学研究が有効性を示しているわけではありません。

効果が示されなかった研究

Cochrane Databaseによる2002年の研究では、ソーパルメットが泌尿器症状に軽度〜中等度の効果をもたらし、尿流を改善すると結論づけたものの、2009年のフォローアップ研究で、ソーパルメット自体はプラセボより効果的とは言えなかったことが示されています。 

さらに、New England Journal of Medicine (NEJM)誌の2006年の研究でも、プラセボ摂取群と比較して、ソーパルメット摂取群の男性の前立腺症状への効果は認められませんでした。225人の男性を対象としたこの研究では、半数がソーパルメット160mgを1日2回摂取し、残りの半数がプラセボを摂取しました。この研究は1年間続きました。 

 JAMA(Journal of the American Medical Association)誌掲載の2012年の研究では、369人の男性を対象に、ソーパルメット320mgとプラセボ錠剤が比較されました。研究終了時、ソーパルメットを摂取した男性とプラセボ群の男性の症状に有意差はありませんでした。 

Journal of Alternative Complementary Medicine誌の2017年の研究では、全体的な証拠として、効果の一部がプラセボによるものであったとしても、ソーパルメットが自然療法の範囲内では有益である可能性が示唆されました。 

前立腺炎

炎症が起こると前立腺炎が生じます。前立腺炎は、細菌感染が原因となることもあります。 

2017年に中国で行われた研究では、前立腺炎の男性患者54人が評価されました。その結果、ソーパルメットエキスを摂取した患者に泌尿器関連症状の改善が見られました。ただし、前立腺炎と診断された方は、必ず主治医の指示に従ってください。 

ハーブ併用療法

ソーパルメット単体で満足のいく効果が見られないという方は、ハーブ併用を選択肢に入れると良いかもしれません。ソーパルメットをセレン およびリコピンと併用して摂取すると、ソーパルメット単体よりも効果が高いことを示す研究があります。 

2011年の研究では、前立腺肥大症状の軽減には、ソーパルメットの単体摂取より併用摂取が有効であることが示されました。この結果は、Current Medicinal Chemistry誌に発表された2013年の研究で裏付けられており、ソーパルメットをリコピン・セレンと併用摂取したところ、前立腺を肥大させる内皮増殖因子(EGF)と血管内皮増殖因子(VEGF)を抑制したことが分かりました。同研究では、ソーパルメットの単体摂取より併用療法の方が効果が高いという結論が得られました。 

2016年の研究でも、前立腺サポートサプリメントとソーパルメットの併用効果が確認されました。この組み合わせは、最適な前立腺の健康維持に役立つ相乗効果をもたらすと考えられます。

最後に、BMC Complementary and Alternative Medicine誌掲載の2019年の研究でも、ソーパルメットの単体摂取と比較して、フィトステロールとソーパルメットの併用で前立腺症状の改善が見られました。

天然のハーブと薬物治療を併用した二重療法

2014年に実施された前立腺ランダム化研究では、前立腺関連の症状がある55〜80歳の男性225人が評価されました。参加者が3群に分けられ、第1群がソーパルメット/リコピン・セレンを、第2群がタムスロシンを、第3群がサプリメントと処方薬タムスロシンの併用を投与されました。12カ月後、処方薬とサプリメントを併用投与された被験者に最良の結果が見られました。 

また、処方薬フィナステリドとソーパルメットを併用した被験者にさらなる効果が見られたという証拠もあります。現在の服薬計画にサプリメントを追加する際は、事前に必ず主治医に相談することが大切です。 

前立腺がん

前立腺がんは、男性の6人に1人が生涯に一度は罹患します。前立腺がん患者のうち、がんで死亡する例は少数です。それでも、健康維持には、健康的なライフスタイルを実践し、健全な選択を心がけることが何よりでしょう。 

2001年の研究では、実験室内でソーパルメットががん細胞の増殖を防止し得るとが示されたものの、その後、2006年に行われた研究では、ソーパルメット使用と前立腺がんリスクに関連性はないという結論が出ました。 

2016年の研究では、放射線治療を受けている前立腺がんの男性が評価されました。ソーパルメット960mgを22週間摂取したところ、副作用は認められませんでした。ただし、ソーパルメット摂取群とプラセボ摂取群の前立腺関連症状に有意差は見られませんでした。 

ソーパルメットの作用の仕組みとは?

多数の研究で、ソーパルメットに前立腺がんのリスク低減を助ける働きはないと言われています。それでも、育毛促進を望む人や、前立腺肥大の症状軽減を目指す男性に有益であるという証拠が他にも存在します。結果には個人差がありますが、有害な副作用はないようです。さらに、処方薬と併用すると、前立腺の健康への相乗効果が期待できそうです。 

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