ウエイトリフターがジムでのパフォーマンス向上を目指して利用できるサプリメントは多岐にわたります。中でも、筋肉の成長と回復に最適なプロテインパウダーをはじめ、筋肉とパワー増強に効果的なクレアチンや覚醒度と筋出力の向上に役立つカフェインなどがその代表と言えるでしょう。

カフェインと言えば、定期的に研究されている数少ないサプリメントの一つで、さまざまなリフターのパフォーマンスにプラス効果を与えることが示唆されています。とはいうものの、カフェインが誰にでも一様にプラスになるとは言い切れませんが、カフェインの利用を検討中の方なら、おそらくジムで何らかの成果が得られる可能性が高いのではないでしょうか。

この記事では、カフェインの特性をはじめ、適切な摂取量と摂取時間の他、この成分がパフォーマンスにどのような影響を与えるのかなど、多様な疑問にお答えしていきます。なお、新しいサプリメントを取り入れる際は、必ず事前に医師等に相談し、自分にとって安全な製品かどうかを確認することをお勧めします。

カフェインとは

皮肉なもので、カフェインは世界で最も消費されている成分の一つでありながら、毎日摂取していても、具体的にカフェインが何か答えられる人はごくわずかではないでしょうか。そこでこの機会に、朝の習慣としてカフェインを摂る方も、パフォーマンス向上を図って摂取する方も、この物質についておさらいしておくと良いでしょう。

1,3,7-トリメチルキサンチンとも呼ばれるカフェインは、カカオガラナの実、コーラ(熱帯地域原産の植物)の実、コーヒー豆、葉などから採れる天然の刺激剤です。カフェインの語源はフランス語のCaféとドイツ語のKaffeeとされており、どちらもカフェインを意味します。一方、その使用の起源については、紀元前2,700年頃には既にお茶として煎じて飲まれていたと言われています。

カフェインには神経系や脳の覚醒度を高める働きがあるため、疲労感を軽減したり、瞬間的な注意力を引き出すといった目的で広く摂取されています。また、適度なカフェイン摂取は、身体持久力を高め、疲労の発生を遅らせる効果があると言われています。

カフェインの適正摂取量

最適なパフォーマンスを発揮するためのカフェインの摂取量についてはかなりのばらつきがあり、研究では、健康な人の体重1kgあたり3〜9mgを適正量としています。

このように、最適と言えるカフェインの摂取量には個人差があることを踏まえておけば、実際に自分の体とパフォーマンスに有益な効果をもたらす摂取量が把握しやすくなるでしょう。カフェイン摂取には、主にエルゴジェニック効果とエルゴリティック効果という2つの作用があります。

  • エルゴジェニックはパフォーマンスを高めること。
  • エルゴリティックはパフォーマンスを低下させること。

ある時点に達すると、一定濃度のカフェイン摂取でパフォーマンスが向上する人もいれば、逆に低下する人もいます。さらに、少々稀なケースとはいえ、考えられる結果の一つとして、カフェインを摂取しても何も起こらない人も存在します。

カフェインの摂取量を左右する要因は多数あり、それによってエルゴジェニック効果が得られるか、エルゴリティック効果が生じるかが決まってくるでしょう。例えば、体質をはじめ、環境、病歴、運動パフォーマンスの設定によって各個人が受けるカフェインの影響が異なり、人によってプラスにもマイナスにもなります。

このことから、カフェインの摂取量を調整する際は、個々の要因を考慮して客観的な視点で取り組むことが大切です。簡単に言えば、300mgのカフェインを含むプレワークアウトサプリメントが、すべてのリフターに同じ効果をもたらすとは限らないということです。さらに、カフェイン耐性も念頭に置いておきましょう。というのも、普段からカフェインを摂取する習慣がある人が競技に参加してエルゴジェニック効果を発揮させるには、通常よりも多いカフェインを競技前に摂取する必要があるためです。

では、自分にとって最適なカフェイン量を見極めるにはどうすれば良いのでしょうか。ある研究で比較的少ないカフェイン摂取量について調べたところ、体重1kgあたり2〜3mgの摂取量で、それぞれ3.9%と2.9%のエルゴジェニック効果が得られたことが示されています。

この結果から言えるのは、カフェイン摂取の習慣がない人はなるべく少ない摂取量から始めることで自分の基準値を把握できる上に、少量でもパフォーマンスを向上させるケースがあることです。

低摂取量以外でも、体重1kgあたり3mg以上のカフェイン摂取でパフォーマンス向上が見られたという研究結果があるだけでなく、体重1kgあたり6mgの摂取で持久力パフォーマンスの効果があるとする研究も報告されているほどです。

この情報をまとめると、カフェインを摂取する習慣がある人がエルゴジェニック効果を実感してパフォーマンスを高めるには、今より若干多めに摂る必要があり、通常の摂取量が体重1kgあたり3mg未満の人には3〜6mgが適正量と言えるでしょう。

要は、エルゴジェニック効果を得るためのカフェインの摂取量には個人差があるということです。

ではここで、パフォーマンス向上を目指してカフェインを摂取したいと考えているリフターのために、各自のニーズに合わせて考慮したい4つのポイントを挙げてみましょう。

  1. 研究によると、体重1kgあたり3~9mgのカフェインを摂取すると、エルゴジェニック効果でパフォーマンス向上が期待できます。
  2. この範囲は個人によって大きく異るため、最低量(3mg)から始めて様子を見ながら徐々に増やしていき、特定の量にどう反応するのか試してみてはいかがでしょうか。
  3. 普段からカフェインを摂取している人が即時のエルゴジェニック効果を実感するには、運動前にカフェインの摂取量を増やす必要があるでしょう。
  4. なお、パフォーマンスの向上に必ずしもカフェインが必要なわけではないため、長期的な摂取量については客観的に判断することが重要です。

運動前にカフェインを摂取するタイミング

一般的には、運動の30~60分前にカフェインを摂取することが推奨されています。60分が推奨されるのは、摂取されたカフェインの血中濃度が高まるまでにおよそ15分かかり、約60分で最大濃度に達するためです。

繰り返しますが、カフェインの摂取量にはばらつきがあり、体内での消化速度も人によって異なることをお忘れなく。研究によると、健康な人のカフェインの半減期は5時間前後です。つまり、カフェインの体内濃度が半減するのに約5時間かかることになります。

さらに言えば、カフェインを一日の後半に摂取しない方がいいと言われるのはこのためです。健康な人がカフェインを完全に消化して体外に排出するのに約10時間かかるのであれば、睡眠に悪影響を及ぼしかねない時間帯のカフェイン摂取は避けた方が無難でしょう。

カフェインがリフティングパフォーマンスに与える影響

ウエイトトレーニングへのカフェインの効果に焦点を合わせると、リフターは主に以下の3つの目的でこの物質を摂取しています。

  1. 覚醒度と精神の鋭敏さを高める。
  2. 持久力を中心とした運動のパフォーマンス高める。これをウエイトリフティングに当てはめると、多大な労力をできるだけ長時間維持することです。
  3. 疲労の発生を抑える。上記と同様に、エネルギーレベルが低い状態で長時間のトレーニングを行う際、持てる力を振り絞って取り組みたい場合に有効と考えられます。

カフェイン摂取とウエイトリフティングに関する重要なポイントは、あくまでも個人差があり、決してパフォーマンス向上に必須というわけではないということです。

カフェインにメリットはあるのでしょうか、という質問の回答としては、確かにありますが一定量を摂取した場合の個人差と全体的なパフォーマンスへの影響を把握しておくのが賢明と言えるでしょう。

参考文献:

  1. https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1750-3841.2010.01561.x
  2. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5752738/
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