お菓子作りが趣味という方は多いと思います。大切な人と一緒に作るのが楽しみという方や、家族や友人に手作りのものを食べてもらうのが喜びという方もいるのではないでしょうか。このように、お手製のケーキやデザートにまつわる効果は数々あるものの、甘いお菓子自体はあまり健康に良いとは言えません。ただし、ちょっとした工夫で、いつものお菓子の美味しさを損なうことなく栄養価を高める方法がいくつもあります。この記事では、ケーキ作りが趣味という方をはじめ、お子様の学校行事に持って行くお菓子作りや、秋冬のパーティーシーズンに欠かせないデザートの準備などに応用できる、体に良い材料を使ったヘルシーなデザートや焼き菓子を作るコツをご紹介したいと思います。

1. ソバ粉

ほとんどの焼き菓子には万能粉と呼ばれる中力粉や薄力粉が使われていますが、どちらも栄養価は高くありません。そこでお勧めしたいのが、従来の小麦粉に代わる製品で、中でもソバ粉はメリットが多く、万能粉の代替品として私もよく使っています。ソバは漢字で蕎麦と書きますが、小麦、大麦、ライ麦などの麦類に含まれるグルテンを含まないため、グルテン不耐性、すなわちグルテンアレルギーのある方にソバ粉は最適です。また、グルテンフリーであるだけでなく、ソバ粉には従来の小麦粉よりも多くの栄養素が含まれています。その代表的なものが食物繊維で、小麦粉よりもはるかに多く、健康的です。食物繊維は、お通じを良くしたり、満腹感を得るのに重要な栄養素であり、血中コレステロール値の管理にも役立ちます。なお、濃度の高いソバ粉を使うとやや粉っぽい仕上がりになるため、まずは通常の小麦粉の半分の量をソバ粉に代えて食感を調整すると良いでしょう。さらに、ソバ粉をアーモンド粉のような健康に良い粉類と組み合わせることで食感が良くなる上に、良質な脂質などの栄養素も摂取できます。

2. 果物のピューレ

アップルソースのように、果物をピューレ状に潰して混ぜ合わせると、油脂の代わりに焼き菓子を作ることができます。もちろん、オリーブオイルアボカドオイルのように健康的な脂質を含むオイルは多いのですが、風味にクセがあるため一般的にはお菓子作り向きとは言えません。そのため、これまではクセのない植物油やキャノーラ油がお菓子作りによく使われてきましたが、他の油に比べて健康面の利点が少ないのが難点でした。そこで、油選びに悩むよりも、油をアップルソースなどの果物のピューレに代えてみてはいかがでしょうか。なるべく無加糖のものを選ぶことをお勧めしますが、果物をミックスしたもので応用するのも良いでしょう。果物のピューレにはさまざまな種類があるため、焼き菓子の味を引き立てるものを選ぶことがポイントですが、味に関わりなく油脂の代わりに同量のピューレを混ぜるだけなので簡単です。例えば、レシピに油1/4カップと書いてあれば、代わりに果物のピューレを1/4カップ加えてみましょう。

3. フラックスシード粉末

デザートや焼き菓子に挽いたフラックスシード(亜麻仁種子)を使うことで多岐にわたる効能が期待できます。亜麻仁には食物繊維の他にオメガ3などの必須脂肪酸が豊富に含まれている上、ほのかなナッツの風味が焼き菓子の美味しさをさらに引き立てます。

ソバと同じく、スムーズなお通じや腹持ちの良さが特徴の亜麻仁には、コレステロール値の管理にも最適な水溶性食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維に加え、亜麻仁にはオメガ3脂肪酸も含まれており、炎症を抑えたり、心臓や神経系の健康に役立つ他、中性脂肪(トリグリセリド)値を下げたり、うつ症状を改善する可能性があります。適量であれば、亜麻仁は焼き菓子の食感や風味を大きく変えることはなく、ほぼ元のレシピ通りにできるため、気軽に取り入れてみましょう。

他にも、フラックスシードの粉末は卵の代わりに焼き菓子に使用できると聞くと驚く方もいるでしょう。亜麻仁を使ってフラックスエッグを作ると、焼き菓子のコレステロール値を下げることができます。作り方は簡単で、挽いたフラックスシード大さじ1と水大さじ2.5を混ぜ、とろみがつくまで5分ほど置いておくだけです。この分量で卵1個分のフラックスエッグができあがります。

4. 高純度チョコレート

チョコレートは、一般的にはヘルシーな代替食品として思い浮かぶ食材ではないかもしれません。確かに、さまざまな種類のチョコレートに多量の糖分を使用するメーカーが多く、そのほとんどは代用品としてお勧めできませんが、その一方で良質なチョコレートも販売されています。おやつとしてチョコレートをそのまま食べたり、焼き菓子に入れる場合は、砂糖の含有量とチョコレートに使われているカカオの割合を確かめることが大切です。通常、チョコレートのパッケージにはカカオの含有率が記載されていますので、それを参考にカカオ分が60%以上のものを選びましょう。一般に、カカオ含有率が高いほど砂糖の含有量が少なく、チョコレートに含まれる抗酸化物質の量が多くなります。また、1食分あたりの砂糖の量が5g以下であることも健康的なチョコレート選びの目安となるでしょう。

5. ベーキングカップ

マフィンやカップケーキを作る際はベーキングカップ(マフィンカップ)選びも重要です。カラフルでユニークなデザインのものも多く、おやつの時間が楽しくなるのは良いのですが、こうしたカラフルなデザインには健康に悪影響を及ぼす可能性のある食品着色料が使用されています。また、それだけでなく、従来の紙製ベーキングカップは塩素を含む溶液で漂白処理されており、焼き菓子に有害物質が混入するおそれがあります。そこで、無漂白で塩素を含まないベーキングカップならコンポスト(堆肥化)可能な認証を受けた製品もあり、環境にも健康にも優しい選択と言えます。体に安全なベーキングカップなら、小さなお子様のおやつを少量出す際のお皿として、あるいは、溶けやすいアイスキャンディーの受け皿として下に敷くなど、器代わりに使っても良いでしょう。

6. ハチミツ

ほとんどのデザートや焼き菓子には、砂糖をはじめとする何らかの甘味料が使われています。栄養バランスのとれた健康的な食生活の一環として砂糖を摂取することは可能ですが、砂糖は健康に悪影響を及ぼす可能性が指摘されており、なるべく摂取を控えることをお勧めします。そこで、砂糖の代替品としてハチミツを使ったレシピはいかがでしょうか。ハチミツなら、砂糖よりもはるかに健康的な原料でレシピ通りの甘味が出せます。グリセミック指数(食後血糖値の上昇度を示す指数)が低い、いわゆる低GI食品であるハチミツは精製糖と比べて血糖値への影響が少ない上に、砂糖にはない抗酸化物質が含まれています。さらに、砂糖よりも甘味が強いというハチミツの特性を活かし、レシピに記載されている砂糖の分量よりも控えめに加えることで、おやつのカロリーを抑えるというメリットもあります。

7. ココナッツクリーム

ハーフアンドハーフ(ミルクとクリームを半分ずつ混ぜたもの)を使うレシピには、代替品としてクリーム状のココナッツを使ってみてはいかがでしょうか。これは、特に乳糖不耐性の方に最適ですが、焼き菓子の栄養価アップも図れるため、どなたにもお勧めできます。ココナッツクリームはハーフアンドハーフよりもカロリーが高めですが、ココナッツに含まれる栄養素は健康に良いものばかりです。例えば、ココナッツの脂質は乳脂肪とは吸収・代謝が異なるため、健康的な脂質源であると考えられています。また、ココナッツは抗酸化物質食物繊維が豊富ですが、ハーフアンドハーフにはごくわずかしか含まれていません。ココナッツクリームを代替品として使用する場合は、レシピのハーフアンドハーフと同量のクリームを使います。このクリームのもう一つの利点は、乳製品をココナッツに置き換えることで、味にコクが出ることです。

まとめ

このようにして、身近にある材料や製品を使ってヘルシーなデザートや焼き菓子を作る方法は多数あります。もちろん、すべてのレシピに代替品が合うというわけではなく、多少の創意工夫と試行錯誤が必要かもしれませんが、健康上のメリットを考えればその価値は十分あります。今回ご紹介した代替例の中からいくつかを試して、お気に入りの焼き菓子のレシピにぴったりの食材を見つけてみてはいかがでしょう。