子供の頃、キャンディのように甘くて美味しいビタミングミを摂っていた方もいるかもしれません。一見フルーツタイプのお菓子に見えるビタミンなら、ちびっこ達は喜んで食べてくれるものです。そんな子供達も、リンゴ酢(アップルサイダービネガー)のグミにはそれほど興味を示さないかもしれませんが、大人には多数のメリットがあります。リンゴ酢のグミに注目が集まる今、リンゴ酢について、またそのブームの秘密について簡単にご説明したいと思います。

リンゴ酢とは

リンゴ酢は、古くから料理はもちろん、薬用にも用いられてきた家庭療法の一つであり、多くの効能があるとされています。この酢は、病気の治療効果が実証されているわけではありませんが、健康増進の後押しとして使用できることを覚えておくと良いでしょう。中には、リンゴ酢ががんをはじめとするさまざまな疾患を予防・治療するという意見もありますが、このような主張を裏付ける研究はありません。

リンゴ酢の作り方はアップルサイダーとは少々異なり、リンゴを粉砕するところまでは同じですが、リンゴ酢は発酵過程(細菌または酵母を用いた化学分解)を経て作られます。発酵中にリンゴの糖分がアルコールに変換され、善玉菌を加えてさらに発酵させると酢酸(さくさん)が生成されます。酢の主成分の一つである酢酸こそが、リンゴ酢などの酢に含まれる多くの効能の秘密です。他の種類の酢が主に穀物を発酵させて作られるのに対し、リンゴ酢は発酵したリンゴを原料とします。

市販のリンゴ酢には、以下のように無ろ過タイプとろ過タイプがあります。

  • ろ過されていないリンゴ酢には酢母(さくぼ)が含まれており、独特のにごりがありますが傷んでいるわけではなく、むしろこれがタンパク質、酵素、善玉菌そのものなのです。この酢母は瓶の底に沈殿しているため、無ろ過のリンゴ酢は必ず振ってから使用しましょう。
  • 一方、ろ過されているリンゴ酢は酢母を含まず、低温殺菌されていると考えられます。

どちらのタイプも、料理から美容製品まで、さらには家庭用洗剤としても多様な用途に使用でき、キッチンに常備しておくと重宝します。

リンゴ酢の効能

リンゴ酢がこれほど注目される理由の一つは、その効能にあります。そこで、ここからはリンゴ酢に期待できる主な健康効果を見ていきましょう。

1. 血糖値の調整

血糖値は、エネルギーとして体が利用できる血液中のグルコース(ブドウ糖)量を指し、この値が安定せずに上下すると慢性疾患を引き起こしやすくなります。一部の研究では、高炭水化物食の前にリンゴ酢を摂取すると、食物が胃から腸に流れる速度が遅くなることがわかっています。胃が空になるのに時間がかかると血糖値スパイク(食後の急激な血糖値上昇)の予防につながります。リンゴ酢は、血流から少しでも多くのグルコースを運び出すことでインスリン感受性の改善にも役立つと考えられ、1日に小さじ4杯程度の摂取で効果が得られることが示されています。なお、処方薬を服用中の方は投薬を続け、リンゴ酢を摂取するなどの変更がある場合は必ずかかりつけ医にご相談ください。

2. 体重管理

リンゴ酢を摂取することで体重管理がしやすくなるという報告もあります。特に多いのは、満腹感が得られることで食べる量が減るというものです。3ヶ月間にわたって行われた研究では、リンゴ酢を毎日摂取したところ、お腹の脂肪と体重が減ったことが明らかになりました。特に有効なのは、食事などの生活習慣の見直しと併せてリンゴ酢を摂取した場合です。単一の要素を生活習慣に取り入れるだけでは、総合的な体重減少と維持に大きな効果は見られないでしょう。長期的な体重管理を目指すなら、管理栄養士に相談することをお勧めします。

3. 抗菌・殺菌作用

酢には抗菌作用があり、昔から酢漬けなどの調理法の他、洗剤にも使われてきました。リンゴ酢などの酢は、おそらく市販の洗剤ほどではないものの、病原菌を死滅させるのに役立つと考えられています。また、食物に付着した細菌の繁殖を防ぎ、食品の腐敗を防ぐことから、食品の保存にも使用されています。

4. コレステロール低下

酢による心疾患改善の可能性を示唆する研究がいくつか発表されています。このような疾患は遺伝的なものが多いのですが、食生活の改善にも効果があることがわかっています。ある動物研究では、リンゴ酢を摂取することで心臓の健康に関連するコレステロール値と中性脂肪(トリグリセリド)値が低下することが示されました。ただし、ヒト研究では確定的な結論に至っていません。

リンゴ酢の摂取方法

リンゴ酢は、液体の他にも、カプセル、錠剤、グミなどで摂取できます。最近では、栄養成分本来の味が苦手という方の間でグミタイプのサプリメントの人気が高まっています。甘味と歯ごたえが特徴で、さまざまな形や大きさで販売されているグミには以下のようなメリットがあります。

  • 何より手軽で、外出先や急いでいる時にもリンゴ酢のグミがあると便利です。携帯しやすく、水なしで摂取できるため、そのために水を持参する面倒もありません。
  • グミは他の形態のサプリメントよりも食べやすい味のものが多いことも人気の理由でしょう。思わず手が出る美味しさでビタミン摂取が楽しみになり、飲み忘れも減るのではないでしょうか。
  • グミのビタミン剤を摂るといった習慣ができると、子供の頃に戻った気分で楽しみが増えるかもしれません。毎日の習慣を忘れないようにするには楽しみながら続けるのが一番であり、昔を思い出すことでビタミン摂取が煩わしくなくなるでしょう。

ただ、グミを選ぶ際は糖分に気をつけたいものです。フルーツ味のお菓子のような甘味を出すために砂糖が添加されている製品が多く、1回分あたり2~8gもの砂糖が含まれているグミビタミンもあります。砂糖の含有量が多いと、たとえリンゴ酢のような健康食品でもせっかくの効果が弱まってしまいます。一方、砂糖が含まれていないグミには、人によっては消化器障害の原因となる人工甘味料や糖アルコールが使用されていることもあります。

グミは美味しいためついつい食べ過ぎてしまいがちですが、くれぐれも用法・用量を守って摂取しましょう。特に子供の過剰摂取は、ビタミンまたはミネラル過剰症(別名、ビタミン毒性、ミネラル毒性)を引き起こすおそれがあります。

また、リンゴ酢のグミに限らず、ヴィーガンやベジタリアンの方がグミタイプのサプリメントを毎日の習慣に取り入れる場合は必ず成分表示を確認することが大切です。グミ製品の多くは、コーンスターチ、水、砂糖、着色料、ゼラチンで作られています。動物の骨を原料とするゼラチンはヴィーガンやベジタリアン向きではないため、代わりにペクチンを使用したヴィーガン対応のリンゴ酢グミを選びましょう。

リンゴ酢の用途

リンゴ酢は、栄養補助食品として経口摂取するだけでなく、料理の他にも洗剤として使用できます。そこで、リンゴ酢を毎日の生活に取り入れるアイデアをいくつかご紹介しましょう。

  • 手始めに、 水1カップにリンゴ酢1/2カップを混ぜて万能洗剤を作ってみてはいかがでしょうか。
  • また、果物が出しっぱなしになっていたり、新しい観葉植物があるお宅ではミバエ(果物蝿)の駆除が面倒かもしれません。そんな時は、カップ1/4のリンゴ酢をコップに注ぎ、食器用洗剤を数滴垂らすだけであっという間にハエがいなくなります。
  • 他にも、果物・野菜用洗剤を作ることで青果物を安全に洗浄できる上、リンゴ酢で洗うと大腸菌やサルモネラ菌などの細菌の数を抑えやすくなるでしょう。

リンゴ酢の使用で考えられる副作用

ほとんどの場合は安全に摂取できるリンゴ酢ですが、人によっては副作用を引き起こす可能性があります。例えば、この酢は酸度が高いため、日常的に摂取すると歯のエナメル質にダメージを与えることがあります。さらに、リンゴ酢はインスリンや利尿薬との相互作用を起こす可能性があることから、これらの薬剤を使用中の方は、必ずかかりつけ医に相談した上でリンゴ酢を摂取しましょう。リンゴ酢を摂取した後に吐き気や嘔吐がある場合は酸度が原因かもしれません。すぐに使用を中止し、医師の診察を受けてください。

まとめ

このように、リンゴ酢は家庭用洗剤として効果があるだけでなく、血糖値や体重管理の改善の他、善玉菌による健康促進も期待できます。なお、リンゴ酢の摂取を検討中の方は、他のサプリメントなどと同様に、事前にかかりつけ医に相談した上で使用しましょう。

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