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研究で注目されたビタミンDの6つの効果

著者:リー・シェルギェヴィッチ博士

この記事の内容:


ビタミンD欠乏症は世界中に患者が見られる疾患であり、ビタミンD濃度が低いと多岐にわたる影響が懸念されることから、その研究に注目が集まっています。年齢を問わず、さまざまな疾患を抱える人がビタミンD欠乏症のリスクにさらされていると考えられます。そんなビタミンDの健康効果について詳しく見ていきましょう。

日光浴でビタミンDが作られるのでしょうか。

皮膚が日光に当たると体内で生成されるビタミンDは、実際にはビタミンというよりもむしろホルモンに近いものです。

屋内で過ごす時間が長い人や高緯度地域に住む人にビタミンDが不足しがちなのはそのためです。また、日焼け止めを塗った皮膚もビタミンDを生成しにくくなります。

高い皮膚がん罹患率を踏まえて、なるべく直射日光を避けるよう推奨されていますが、意図せずしてこのことがビタミンD欠乏症患者の増加を招いている可能性も否定できません。要はバランスです。

ビタミンDを作るには、短時間の日光浴が大切です。米国国立衛生研究所は、週2回、午前10時〜午後3時の時間帯のうち5〜30分間程度、顔、腕、脚、背中のいずれかに直射日光を浴びるよう推奨しています。

地理的環境とビタミンD欠乏症の関係

皮膚のビタミンD生成能力は日射角度に左右されます。今から数十年前には、赤道から離れた(つまり、緯度が高い)地域に住む人ほど、さまざまな慢性疾患による死亡リスクが高いことが指摘されていました。また、男女共に、一生を通じて日光に当たることが多い人ほど、慢性疾患や重病で死亡するリスクが低いことがわかりました。

ビタミンDを多く含む食物とは?

日光以外にも、特定の食物からビタミンDを取り入れることができます。ビタミンDが最も豊富な食物としてサケやサバなど脂肪の多い魚が挙げられますが、卵黄、牛肉、チーズの他、特定のキノコ類にも含まれています。

また、牛乳、オレンジジュース、シリアルなど多くの食品がビタミンDで強化されています。これはかつて、ビタミンD不足を原因とする骨障害「くる病」にかかる子供が非常に多かったためです。最適なビタミンD濃度の維持にはサプリメント摂取も有望ですが、血液検査で濃度を確認せずに各自の適正摂取量を判断することはできません。そのため、サプリメントが体質や目的に適したものかどうかを見極める検査について、かかりつけ医にご相談されることをおすすめします。

ビタミンDの働きとは?

最適なビタミンD濃度は、筋骨格系、免疫系、認知機能、メンタルヘルス、消化器系、髪、皮膚など多くの体組織に有益と考えられます。

‌‌ビタミンDが歯を丈夫にするというのは本当でしょうか。

2012年に、計2827人の参加者を対象とした24件の臨床試験のレビューおよびメタアナリシスが行われました。その結果、ビタミンDのサプリメントを摂取することで、子供から成人まで、虫歯の発症リスクが大幅に減少することが明らかになりました。また、2012年に行われた別の研究では、既に虫歯がある子供にビタミンD欠乏症の可能性が極めて高いことがわかりました。虫歯がある子供102人のうち、66%がビタミンD欠乏症で27%が境界域にある一方で、濃度が十分という子供は7%に過ぎませんでした。

なお、ビタミンDは既に発生した虫歯を治すわけではありません。歯に問題がある場合は歯科医の診察を受けましょう。

‌‌‌‌ビタミンDは免疫系の強化に役立つのでしょうか。

2010年に行われたランダム化試験では、学齢児童におけるビタミンDのサプリメント摂取とインフルエンザの関係性について調べたところ、ビタミンDを1日1200 IU(国際単位)摂取した子供は、インフルエンザ流行期にインフルエンザA型と診断される可能性が低いことがわかりました。同研究で指摘されたもう一つの効果は、プラセボ群では減少が見られなかった喘息発作の発生率が、ビタミンD治療群では減少したことです。

2017年の研究では、ビタミンD欠乏症と自己免疫疾患リスクや感染症への感受性(かかりやすさ)の増加との関連性が指摘され、最適濃度のビタミンDが免疫機能をサポートすることも報告されています。25件のランダム化比較試験の研究参加者10933人を対象とした2017年のシステマティックレビューとメタアナリシスでは、ビタミンDのサプリメント摂取は急性呼吸器感染症の予防(特に重度の欠乏症患者)に役立つという結論に達しました。

髪の健康に関する研究では、脱毛症など発毛に影響する自己免疫疾患のある患者はビタミンD不足であることが多く、育毛にもサプリメント摂取の効果が期待できることがわかっています。女性型脱毛症や、頭皮障害の一種である休止期脱毛症 (TE)の女性患者は、ビタミンDとの関連性が研究されてはいるものの、矛盾する結果が出ています。

そのため、このような症状にビタミンDが有効かどうかを判断するには、さらなる研究が必要です。

‌‌‌‌ビタミンDはメンタルヘルスに役立つのでしょうか。

ラット細胞を用いた研究では、ビタミンDが適切な脳内セロトニン(幸福感につながる神経伝達物質)濃度を維持することが示されました。特定の遺伝子マーカー(DNA配列)は、ビタミンDがセロトニン生成に関与し、抗うつ薬と同様の作用をする可能性があることを示しています。

1995〜2017年にわたって行われた研究のレビューでは、ビタミンDを従来の抗うつ薬と併用摂取すると、抗うつ薬の効果が改善される可能性がある一方で、その他の特定のメンタルヘルス疾患に対しては明確な有効性が認められませんでした。

2017年の別のレビュー記事によると、幼年期〜思春期のメンタルヘルス患者の補完療法としてビタミンDを支持するエビデンスが見つかってはいますが、メンタルヘルスの成人患者に対する結果はまちまちでした。他にも、ビタミンD欠乏症との関連性が示唆される障害に季節性情動障害(SAD)があります。

この障害について研究されてはいるものの、その他多くのメンタルヘルス障害と同様に相反する結果が出ており、結論には至っていません。ビタミンDのサプリメント摂取は、前向きな態度や精神的な充実感の維持に役立つと思われます。とはいえ、ビタミンD摂取がメンタルヘルス障害の治療に有効かどうかを判断するには、今後さらなる研究が必要です。

‌‌‌‌ビタミンDは丈夫な骨づくりに重要なものでしょうか。

カルシウムは骨や筋肉の重要な構成要素として広く知られていますが、そのカルシウムが小腸内でしっかり吸収されるように後押しすると考えられる栄養素がビタミンDなのです。ビタミンDが不足すると、たとえカルシウムをたっぷり摂っても十分に吸収されないことがあります。そうなると、さまざまな骨の障害や筋力低下につながるおそれがあります。研究によると、ビタミンDのサプリメント摂取は丈夫な骨の維持に役立つと考えられます。

‌‌ビタミンDが不足すると消化器系疾患にかかりやすくなるのでしょうか。

2019年の研究では、ビタミンD欠乏症がセリアック病のリスク因子であることがわかりました。思春期女性のビタミンD欠乏症患者200人のうち、9人にセリアック病の陽性反応が出ました。セリアック病患者がグルテンを摂取して腸が損傷を受けると、栄養素の吸収が困難になります。また、ビタミンDが脂溶性ビタミンであるため、セリアック病によくある脂質の消化不良も問題に追い打ちをかける結果となっています。

2013年の研究では、ビタミンD欠乏症のあるセリアック病患者は、乾癬(かんせん)や貧血になる可能性が高いことがわかりました。クローン病や潰瘍性大腸炎といった炎症性腸疾患の患者は、特に高緯度地域に住む人や冬場を中心に、ビタミンD欠乏症のリスクが高くなる可能性があることが研究で明らかになっています。

同研究では、ビタミンDは腸および腸内免疫の健康維持に重要であり、マイクロバイオーム(微生物の集合体)に影響を与えうると結論付けられています。ただし、ビタミンD欠乏症が炎症性腸疾患の原因なのか結果なのかは明らかになっていません。

‌‌‌‌肥満がビタミンD濃度に及ぼす影響とは?

肥満と低ビタミンD濃度の相関性は、研究でも定評があります。これは、ビタミンDが脂溶性であることから、貯蔵されたビタミンが脂肪組織内に隠れてしまい、血液検査に示されないためと考えられます。ビタミンDのサプリメントを摂取することで、いわゆる健康体重の維持を図れるメカニズムが期待できそうです。ただし、この関係の究明を試みた研究では、確固たる結論は出ておらず、まだ推奨には至っていません。

ビタミンDを摂りすぎても問題はないでしょうか。

ビタミンDを過剰に摂取すると、心臓不整脈や動脈石炭化の他、関連の臓器障害や腎臓結石につながるおそれがあります。日光浴をした程度でビタミンDが過剰に増えることはないでしょう。過剰摂取が起こりうるのは、高用量のサプリメントを長期間摂取した場合です。

ビタミンDサプリメントの用法用量は医師ら専門家によって大きく異なり、週に一度の大量摂取を推奨する例もあれば、少量を毎日摂取するよう推奨する例などさまざまです。自分に合った摂取量を知るには、医師の診察を受けて血液検査を依頼し、摂取量について指示を仰ぐのが一番です。薬物相互作用がないことを確認するためにも、かかりつけ医と相談することをお勧めします。なお、ステロイド剤、減量薬、てんかん薬など、ビタミンDを阻害する可能性のある薬剤があるため注意が必要です。

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