マグネシウムは、人間が生きていく上で不可欠なミネラルです。平均的な成人の体内には、体組成の一部としてマグネシウムが25g含まれています。数百種類もの生体内プロセスに必要であるこのミネラルは電解質でもあることから、一部の電解質サプリメントにもマグネシウムが含まれています。さらに、マグネシウムには、正常な炎症反応のサポート、筋肉の生成と維持、血糖値の安定化、代謝促進の他、エネルギーの増加や骨の健康と強度の維持といった働きがあります。

‌‌‌‌マグネシウムの1日の推奨摂取量

マグネシウムの推奨栄養所要量は、年齢によって多少の差がありますが、男性400〜420mg、女性310〜320mgとされています。これは、食物に含まれるマグネシウムの量が比較的少ないことを考えると、かなりの量になります。高濃度のマグネシウムを含む食物は、実はあまりありませんが、以下、マグネシウムを豊富に含み、推奨栄養所要量の20%近く(場合によってはそれ以上)を摂取できる食品を挙げてみましょう。

‌‌‌‌マグネシウムを多く含む食品

なお、こちらのリストが正確かどうかは、食品の産地や栽培方法によって多少異なるため保証はできませんのでご了承ください。これはなぜなら、食品中のマグネシウム含有量が土壌条件に大きく左右されるためです。土壌が肥沃であるほどマグネシウムの多い植物が育ちますが、スーパーで食品を購入すると、そのような土壌条件がわからないものです。

このことから、健康状態や目標、食生活などによって、多くの人がマグネシウムの補給を必要としていると考えられます。また、高用量のビタミンDを摂取している方は、食事やサプリメントでマグネシウムを多めに摂取する必要があるでしょう。高濃度のビタミンDを体内で処理しようとすると、マグネシウムが欠乏しやすくなるからです。自分に合った用法用量を知るには、かかりつけ医に相談することをお勧めします。

ところで、どの形態のマグネシウムを摂取すれば良いのでしょうか。さまざまな選択肢がありますが、広範囲にわたるマグネシウムの中でも特によく知られ、目標達成に役立つと思われる形態をご紹介していきましょう。

マグネシウムは睡眠改善に役立つのでしょうか?:詳しくはこちら

‌‌‌‌マグネシウムの4つの形態

1. グリシン酸マグネシウム

まずは、私のいち押しのマグネシウム形態であるグリシン酸マグネシウムからご紹介しましょう。これは、その名の通り、マグネシウムとアミノ酸であるグリシンが結合したものですが、グリシン酸塩は吸収が良く、消化器系に負担をかけにくいと言われています。通常、グリシン酸マグネシウムはカプセル状で販売されていますが、マグネシウムは体積が大きいサプリメントであるため、できれば粉末タイプをお勧めします。体積が大きいということは、有効量を摂取するには、他のサプリメントよりも多くの錠剤を飲まなければならないということになります。そのため、マグネシウム錠剤をいくつも飲む代わりに、少量の粉末を水に混ぜて飲む方が簡単で便利と言えます。マグネシウムは消化管中で便に水分を吸収させて柔らかくする性質があるため、水を多めに加えることも効果的です。

グリシン酸マグネシウムならではの特徴は、神経系の健康に影響を与えることです。研究によると、150〜300mgのグリシン酸マグネシウム(またはタウリン酸マグネシウムとの混合)を1日数回摂取することで、うつ病、不安、記憶障害などの症例に顕著な改善が見られました。ただし、その作用機序はまだ解明されていません。一つの仮説は、マグネシウムが不足するとメンタルヘルスの問題に悩まされる可能性が高まるのではないかというものです。とはいえ、マグネシウムの血液検査でそういった結果は出ていません。研究では、血液検査でマグネシウム欠乏が判明する前に、症状を感じ始める可能性があると示唆されています。

総合的に見て、夜安らげるマグネシウムをお探しの方や、全体的な気分サポートとしてマグネシウムを使用する方にはグリシン酸マグネシウムが良いでしょう。その上、グリシン酸マグネシウムには抗炎症作用も期待できるようです。

2. クエン酸マグネシウム

2番目にお勧めしたいのは、手頃な価格で吸収が良いクエン酸マグネシウムです。このタイプは便を柔らかくする働きがあるため、たまに便秘になるという方にとって最適ではないでしょうか。このクエン酸マグネシウムも、私は粉末タイプの製品を使用しており、たっぷりの水と一緒に摂ることでスムーズなお通じを促しやすくなります。

クエン酸マグネシウムには心を落ち着かせる効果が期待できますが、グリシン酸マグネシウムほどではありません。それでも、リラックス作用を謳うクエン酸マグネシウムの製品の広告を目にすることがあるかもしれません。

クエン酸マグネシウムの特色として、片頭痛予防に関する研究が行われていますが、特定の片頭痛を予防したり、症状を軽減するには、かなりの高用量(約600mg)が必要であることがわかっています。このことからも、クエン酸マグネシウムのように重要なサプリメントを取り入れる際は、事前にかかりつけ医に相談することが大切です。それは、このように高用量のマグネシウムを摂取すると、どうしても消化器系に負担がかかりやすくなるためです。

また、マグネシウムを摂りすぎるとカルシウムのバランスが崩れる可能性があることにも注意が必要です。そのため、マグネシウムのサプリメントには、バランスを保つために少量のカルシウムが加えられている製品があり、マグネシウムの摂取量が多めの方に最適な形態と言えるでしょう。

最後に、クエン酸マグネシウムが月経前症候群の症状管理を目的に研究されていることも特筆しておきます。少数の研究ではありますが、クエン酸マグネシウムを摂取すると、月経前症候群の症状が若干軽減されたと報告されています。女性のマグネシウムとカルシウムの濃度は月経周期を通して変動します。月経前の段階でマグネシウム濃度が不足したり、最低値に下がることもあるため、マグネシウムの摂取量を増やすことで症状が軽減されると考えられています。

3. 酸化マグネシウム

酸化マグネシウムは、クエン酸マグネシウムやグリシン酸マグネシウムよりも吸収が悪いという研究結果があるため、私はあまり使用しません。最も安価なマグネシウム形態だけに、多くのスーパーなどでよく目にする酸化マグネシウムは、通常錠剤で販売されています。

酸化マグネシウムはバイオアベイラビリティ(吸収率)が低いため、他のマグネシウムよりも有効量を増やす必要があると思われます。つまり、摂取量をかなり増やさないと効果が得られないため、消化器系の副作用が出る可能性が高くなるということです。

4. 炭酸マグネシウム

炭酸マグネシウムは、私がクライアントにも推奨しており、多くの方にお勧めできる形態です。この炭酸マグネシウムは胃の中で塩化マグネシウムに変わるため、粉末状のサプリメント摂取時に胃を鎮める制酸効果が期待できます。そのため、私が好きな炭酸マグネシウムの摂取方法は、粉末タイプのものを少量の水と混ぜ、サプリメントとして飲むことです。

また、炭酸マグネシウムにクエン酸を加えて水に混ぜると、クエン酸マグネシウムになります。粉末タイプの炭酸マグネシウムにクエン酸がよく含まれているのはそのためです。炭酸マグネシウムとクエン酸の混合物に水を加えると、この化学反応として発泡し、数分で炭酸マグネシウムからクエン酸マグネシウムに変わります。胃を落ち着かせたい場合は、発泡しているうちに飲むと良いでしょう。一方、吸収の良いクエン酸マグネシウムをしっかり摂取したい場合は、泡がおさまってから飲むことをお勧めします。

全体的に、発泡の清涼感が楽しめ、胃を落ち着かせる効果がある炭酸マグネシウムとクエン酸の組み合わせは、私が好きなマグネシウム形態の一つです。

‌‌‌‌成分表示を確認

最後に、マグネシウムサプリメントを購入する際は、添加物や充填物が含まれていないかどうかを確認した上で、自分に合ったものを選ぶことが大切です。粉末タイプのサプリメントの中には、ステビア、キシリトール、スクラロース、ラカンカ(羅漢果)などの甘味料が使用されている製品があります。私は、砂糖不使用の、ステビアラカンカといった天然甘味料使用の製品を選んでいますが、好みは人それぞれですし、健康目標によっても変わってくるでしょう。

健康目標を設定

目標は消化の改善でしょうか、それとも快眠でしょうか。中には、頭痛持ちでお悩みの方や、運動や筋肉の修復をサポートしたいとお考えの方もいらっしゃるでしょう。要は、優先したい目標を定めることです。そうすることで、医師に相談する際に、自分に合ったマグネシウムの形態を判断しやすくなるでしょう。クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、炭酸マグネシウムの他、さまざまな形態のマグネシウムの中に自分にぴったりの製品があるはずです。今回ご紹介したそれぞれの特徴を参考に、お気に入りのマグネシウムサプリメントを見つけてみてはいかがでしょうか。

マグネシウムの10の使用法:詳しくはこちら

参考文献:

  1. Office of Dietary Supplements - Magnesium. Accessed March 23, 2021. https://ods.od.nih.gov/factsheets/Magnesium-HealthProfessional/
  2. Eby GA, Eby KL. Rapid recovery from major depression using magnesium treatment. Medical Hypotheses. 2006;67(2):362-370. doi:10.1016/j.mehy.2006.01.047
  3. Costello RB, Elin RJ, Rosanoff A, et al. Perspective: The Case for an Evidence-Based Reference Interval for Serum Magnesium: The Time Has Come12345. Adv Nutr. 2016;7(6):977-993. doi:10.3945/an.116.012765
  4. Köseoglu E, Talaslıoglu A, Gönül AS, Kula M. ORIGINAL ARTICLE The Effects of Magnesium Prophylaxis in Migraine without Aura.
  5. Ozolinya LA, Анатольевна ОЛ, Overko AV, Вячеславович ОА, Bakhodurova KA, Азизовна БХ. The role of magnesium in the treatment of premenstrual syndrome. VFSnegirev Archives of Obstetrics and Gynecology. 2020;7(2):102-107. doi:10.17816/2313-8726-2020-7-2-102-107
  6. Rylander R. Bioavailability of Magnesium Salts – A Review.